void tRrLM(); //ボイド・テラリウム | 日本一ソフトウェア
ちょっと前にトロコンした『void tRrLM(); //ボイド・テラリウム』のレビュー行くぜ!
メーカー:日本一ソフトウェア
機種:PS4/Switch
ジャンル:ローグライクお世話RPG
発売日:2020/01/23
価格(税抜):6980円
日本一ソフトウェアの完全新作であるローグライクお世話RPG。
人類が滅亡した後の世界で生き残った女の子であるトリコをお世話していくという内容だ。
ゲーム進行によって女の子が酷い目にあったり大変なことになったりする!
システムは意欲的なもののゲームとしての作りはかなり粗く、低予算さも感じる作り。
日本一ソフトウェアの新規IPでよくある内容って感じだな!
しかし良くも悪くもエンディングまでコンセプトは貫かれており、そこは印象的だった。
ちなみにアップデートでゲームバランスが大きく変化している。
俺がプレイしたのは現在の最終バージョンである1.0.2だ。
文明崩壊後、汚染された世界のスクラップ場で目を覚ました一台のロボットが、
奇跡的に生き延びていた女の子「トリコ」と出会う。
衰弱した彼女を助け、生活できるテラリウムを作成するために、
施設を管理していた人工知能であるファクトリーAIの導きの元、
ロボットは汚染されたダンジョンへ材料集めに出発するのだった……というストーリー。
こういうストーリーだと「何故人類は滅亡したのか?」みたいなのがキーになりそうだが、
一緒にトリコちゃんを育てるファクトリーAIが人類滅亡の張本人なので爆速解決!
しかも勢い余って滅ぼしたとか、
人間がいなくなってせいせいしたのは最初の数年だけで後は寂しかったとか、
ノリが軽いからタチが悪いぜ……!おい、こいつからスクラップにしていいのか?!
しかしトリコちゃんを助けるにはファクトリーAIの持つ情報が必要。
悪魔と相乗りしてテラリウムを作るしかないのだ!
いきなり前作ラスボスが仲間にいるみたいな感覚。
ファクトリーAI、このどこまでも自分勝手なのがキャラとしての魅力でもある。
ゲームとしては「テラリウム作りに〇〇が必要だから〇〇ダンジョンの〇〇階に行こう」
を繰り返してストーリーを進めていく構成だ。
最初は小さなダンジョンで段々と深いダンジョンになっていく。
入る度に構造が変わるオーソドックスなターン制のローグライクRPG。
行動する度に減るバッテリーを任意で消費し、様々なスキルを発動させることも可能だ。
バッテリーがゼロになると体力が減り続けるので、
拾ったアイテムで回復させないといけない。まあつまり満腹度だね。
やられたら持っているアイテムはすべて素材に変換され、
ストーリー進行に必要な重要アイテムはそのまま持ち帰りとなる。
これはダンジョンの最深部から帰還する時も同じなので、
死亡ペナルティが非常に軽いゲームになっているぜ。
敵を倒してレベルアップすると画面にスキルがランダムで2つ表示され、
どちらを覚えるか選択していく。
スキルは覚えると常に効果があるパッシブスキルと、
バッテリーを消費して任意で発動させるアクティブスキルの2種類だ。
スキルはレア度によって星1~5まであり、ぶっ飛んだ性能のスキルも多く存在する。
普通のパッシブスキルだったら単純なステータスアップなどだが、
レアになると「必中」「50%の確率で2回攻撃」「一定確率で敵を眠らせる」
「毎ターン自分の周囲8マスに自動でダメージ」
「特定の種類のアイテムを拾う度に最大ステータスを上昇」とかあるし、
アクティブなら「部屋内の敵三体に大ダメージ+状態異常」
「HPを30%消費しておとりになる分身を召喚」「3回攻撃」など強い。
レベルアップ時に出現するスキルはランダムなので、
序盤からレア度の高いスキルを引けて一気に楽になったりもするし、
凶悪な組み合わせのスキルも多数存在。
低レアでも、吹っ飛ばし効果のある攻撃スキルや、
遠距離攻撃スキルなど重宝するものは多い。
手持ちのアイテムや現在のスキルとにらめっこしながらの取捨選択が楽しいぜ。
ダンジョンから出るとレベルは初期化されるが、
テラリウムに設置できるアイテムを開発すれば最大ステータスが底上げされていく。
「スキル抽選排除枠」を増やしていけば、いらないスキルを出現しないように出来るし、
7種類ある「ロール」という職業のような装備アイテムをセットすることで、
出現するスキルの傾向も弄れる。
繰り返しダンジョンに潜り、素材を集めて色々作ることで、
ランダム要素をプレイヤーが自分好みにコントロールできる。そこが本作の特徴だ。
序盤は手探りだが、ゲームのコツが掴めて強いスキルが分かってくると、
一気にプレイが安定してメキメキ強くなるから気持ち良い。
最終的に強力スキルをバンバン取得して、敵をなぎ倒す最強ロボが出来上がっていくぞ。
そして本作は「ローグライクお世話RPG」なので、
ダンジョンに潜ってる間もトリコちゃんの体調管理を気にしないといけない。
食料を見つけて食べさせないと体力が減っていくし、
汚れたままにして掃除しないと病気になっていくぜ。
たまごっち風のドットだから許されてる表現だなこれ!
体調が最悪の状態で放置するとゲームオーバー!
最後のセーブからやり直しとなるぞ。
食料は缶詰や果物といったものから、「黒光りする虫」なんてのも……。
もちろんアレであり、ちゃんと専用のグラフィック付き!
不味いのか、トリコちゃんは食った後にちょっと嫌そうな顔します。
実は食料がゼロの状態だと拠点にこの黒光りする虫が必ず出現するので、
ダンジョンで食料を探さなくても、最低限の食料は確保できるようになっている。
でもトリコちゃんに毎回そんなものを食わせていいのか!
少しでも良いものを食べさせてあげたいじゃないか?
それとも虫を食べさせて嫌な顔が見たいと思うタイプかい!?
っていうゲームですね!
トリコちゃんの病気も体が溶けたり涙が止まらなくなったり、大量の虫がたかったり、
全身の筋肉がねじれたり、体から羽が生えて痛みが走ったりと、
無駄に種類が多い上に痛々しいものが満載。
それぞれにグラフィックをしっかり用意するところにこだわりを感じる。
制作スタッフの性癖にブレがないな……。
テラリウムを飾り付け出来るアイテムも沢山用意されているので、
プレイヤーのセンスで可愛いテラリウムから物々しいテラリウムまで色々作ってみよう!
と、そういう構成のゲームなのだが、基本的に素材集めのために
ダンジョンを行ったり来たりするだけなのでストーリーは薄味だしかなり作業的。
素材集めとアイテム作りでロボを強くするシステムも底が浅く、
慣れてきて有用なスキルの組み合わせが分かると
まず死ななくなるのも退屈さに拍車をかける。
ゲームのコツが色々分かってくる序盤から中盤くらいの時期が一番楽しかったなぁ。
トリコちゃんのお世話要素も普通にやってるとまず困ることは無い。
一応、お世話要素無視して無限に潜れるやり込み用のダンジョンもあり、
育て切ったキャラを試せる場があるのは良いんだけど、
あんまり遊んでて面白くはなかった。
倒すと自爆して付近を毒沼にする敵が序盤からワラワラ出てきたり、
遠距離攻撃をしてくる固定砲台の敵が大量に出てきたり、
終盤は接近されたら確定で混乱になる敵が出てきたりと、
ただ面倒なだけの敵が多いのもイラッとさせられたぜ。
グラフィックがかなり見辛いのも地味にストレス溜まるところだった。
視認性を考えずにグラフィックを描き込んだせいで、
アイテムやトラップ、敵の位置などが一目で判別し辛いぜ。
壊れた世界の片隅で繰り広げられる、人類最後の少女に寄り添うロボットの物語。
システムは意欲的だったしBGMやグラフィックの雰囲気は良質。
しかし、色んな部分で物足りない作りでちょっと褒められはしない内容だ。
ただ、本作は終始、「かわいいトリコちゃんをどう愛でますか?」と、
プレイヤーに問いかけてくるゲームになっている。
ちゃんとした食料を与えるか、虫を食べさせるか。
きっちり体調管理をして健康体を維持するか、
弱らせてやたら凝った病気の描写を見るか。
ストーリー的にもシステム的にも、
素直に愛するか、歪んだ愛をぶつけるかの二択をプレイヤーに要求してくる作り。
そこが最後までブレていなかったのは良かった。
登場キャラクターたちの言動は突き詰めれば傲慢で、
そこも含めて、この作りだからこそ、
選択と解釈をプレイヤーに委ねたあのエンディングが印象に残る1本だった。