探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.2「海楼館殺人事件」 - G-MODEアーカイブス
『海楼館殺人事件』のレビュー行くぜ!
メーカー:ジー・モード
機種:Switch
ジャンル:推理アドベンチャー
発売日:2021/4/8
価格(税込):500円
ガラケーの名作を広く復刻する『G-MODEアーカイブス+』の1本。
2004年に元気モバイルから配信されていたタイトルだ。
ガラケー時代に好評を博した推理アドベンチャー、
『探偵・癸生川凌介事件譚』シリーズの2作目となる。
□幻のシリーズ1作目が復刻!『G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1「仮面幻想殺人事件」 』レビュー!【Switch】 - 絶対SIMPLE主義
シリーズ1作目に続いての復刻。
とはいえ、エピソードとして独立してるので本作からでも問題なしだ。
前作よりも短篇ミステリーとしての完成度が上がっていて、
大がかりな舞台設定も含めて面白かったぜ。
舞台は海底に作られた「海楼館」なる奇妙な館だ。
変わり物で知られる建設会社の元会長が建てたもの。
落成記念イベントに招かれた客たちだったが、どうにも様子がおかしい。
館の主人は現れず、管理人も急ごしらえの人選なので何も分からない。
そうこうしているうちに殺人事件が発生し、
招待客たちは海という密室に閉じ込められてしまう……。
という、館モノとして王道やりつつ一捻りした設定だ。
今回もゲームライターである「生王正生(イクルミ マサオ)」と
探偵事務所の助手である「白鷺洲 伊綱(サギシマ イヅナ)」の二人の視点で進行する。
割と口が悪い生正くんと、
ボケつつも推理にしっかりと頭を回転させる伊綱さんのコンビが楽しい。
登場人物たちもフリーのジャーナリストに刑事さん、大企業の重役に医者。
元々は窓際社員だったのに、突然海楼館に配属された管理人などなど……。
いかにも怪しい面々が揃っている。
姿を現さない元会長も謎が多い人物でいかにも怪しい。みんな怪しいぞ!
海楼館は3階建ての建物で、1階部分は完全に海に沈んでいるし、
通路で繋がれた浮島から通路を通らないと入れないという構造だ。
階段は無いため、階の移動はすべてエレベーターで行う。
どう考えても何か事件が起きそうな館……というようなツッコミは劇中でも入ったり。
こういう見取り図なんかも出てくるので、推理モノとしての雰囲気はバッチリ。
1作目同様にあちこち移動して調べてフラグを立てていく、
昔ながらのアドベンチャーゲームだ。そこまでシビアなフラグは無いし、
選択肢による推理をミスしてもゲームオーバーにならない一本道の作り。
ただ、選択肢をミスした回数で、
エンディング時に言われるセリフが変化するというおまけ要素はあるぞ。
人は死ぬし何故か入口は開かないし通信は繋がらないし、
迎えの船が来るまで数日かかる……。
海によって隔離された状況で、
次々に巻き起こる事件と様々な謎で遊んでいるこちらを引き込む。
クローズド・サークル作品として王道かつテンポ良い作り。
携帯アプリ作品ながら演出も頑張っていて、
主人の指示によって食堂に集まった来客者たちが無言で待つ中、
時計の音が鳴り響く……という序盤のシーンは特にお気に入り。
そして満を持して登場する名探偵の癸生川凌介!
推理力がヤバいけど人間性も大分ヤバいお方。
今回も「ちょっとずるくない!?」と言いたくなる怒涛の推理を展開して、
こちらを唖然とさせてくれる。
1作目に関しては怒涛の推理……というより、
単純に話が強引過ぎると感じてしまったが、
今回は細かい伏線を拾って納得いく流れを作っていたり、
ただ喋るだけにせず場面転換を挟んだりと、構成が大分上手くなってるね。
終盤に伊綱さんが自分の過去の話をする場面も印象的。
ちょっと細かいテキストで気になるところはあったものの、最後まで面白かった。
携帯アプリの作品ということで、
今回も2~3時間ほどでクリア出来るボリュームになっているが、
前作より着実に進化してるし満足。古い作品だけあってバックログが無かったり、
セーブファイルが1つだけなのがやや遊び辛いが、
そこ以外は今遊んでも楽しめる内容になってるぞ。
みんなも行こう!海楼館!