アクトレイザー・ルネサンス (Actraiser Renaissance) | SQUARE ENIX
『アクトレイザー・ルネサンス』のレビュー行くぜ!
パブリッシャー:スクウェア・エニックス
機種:Switch/PS4/PS
ジャンル:クリエイション・アクション
発売日:2021/9/24
価格(税込):3520円
スーパーファミコン初期の1990年に発売された『アクトレイザー』のリメイク作だ。
アクション+シミュレーションという変則的な構成で描かれた「人と神の物語」に、
古代祐三による度肝を抜く超ハイクオリティサウンドで根強い人気を誇る1本。
30年の時を越えてまさかの復活!
人間たちは神様のことを忘れていなかった……ってわけだな!
開発担当はなんとソニックパワード。
『鉄道にっぽん!路線たび』『ぼくは航空管制官』が代表作なので、
なかなか意外なメーカーだ。
『邪聖剣ネクロマンサー NIGHTMARE REBORN』や、
『お姉チャンバラモバイル』なんかも有名ではあるかな。
公式には「リマスター」らしいんだけど内容はほぼ別物なので、
感覚的にはリメイクって呼びたいところ。
ニンテンドーダイレクトで発表&即配信という電撃降臨を果たした神様で、
俺もその後光にひれ伏す形で即購入。
スーパーファミコン版は大好きで何度も遊んだけど、
難し過ぎてクリア出来なかったので、今回リベンジを果たしたぞ。
リメイクで厚みが増した部分もあれば、
明らかに余計だろうというデカい新要素もあって、
評価が結構分かれる内容だけど俺は好き!
オリジナルの『アクトレイザー』はまず全体マップから解放する地域を選択。
アクションパートが始まるので、ザコを倒しながら進んでボスを撃破。
次に、復活した人間を導いて
街を大きくするクリエイションパートがスタートする。
かよわき人間の悩み事を聞きながら文明を発展させる。
神は人間の信仰心で強くなるので、
人口が増えるほどステータスが伸びていく作りだ。
厳しい環境で健気に生き抜きながら、神に祈り願う人間の姿がいじらしい。
メインイベントをすべて終わらせると、その地に潜むボスが姿を現すので、
再び、アクションパートでボスの待つステージへ突入。
倒せばその地域が完全開放となるので、また次の地域を目指す。
この繰り返しだ。
スーパーファミコン初期のゲームとしては非常に凝った構成だね。
喋らない寡黙な神に変わってゲームを引っ張るのがこのエンジェルだ。
人間を見下した態度を取りつつも、神にはとても従順でクリエイションパートでは大活躍。
これがリメイク版になると……。
こうなる!
見た目の解像度上がり過ぎだろ!
これなら「アクトレイザーのエンジェルってこんなに可愛かったのか!」
って広告を打っても許される。
これは個人的に許さなかったやつ。
リメイクされても「アクション+シミュレーション」という基本的な流れは同じだが、
アクションパートには新アクションが追加されて動きがほぼ別物だし、
クリエイションパートには魔物から街を防衛するタワーディフェンス的なパートも追加。
新キャラ大量登場でストーリーも厚みが増した。
全体的にボリュームアップがされているぞ。
まずアクションパートは空中制御が効きやすくなった上に、
新アクションとしてバックダッシュ、突き上げ、切り降ろしが追加。
新アクションはどれも摩訶不思議なくらい無敵時間が長いため、
敵の攻撃を避けつつ連続攻撃をガシガシ叩き込める!
これが神の力だと実感できるハイスピードアクションだ。
スーパーファミコン版の操作性は
当時としてはそこまで悪かったわけでは無いんだが、
今遊ぶとさすがに動きが硬く、ジャンプの制御に苦戦する。
敵の攻撃や地形ダメージも大きい。
「神さまは石像に憑依して地上で戦っているわけだが、
コンニャクにでも憑依した方が良かったんじゃないか?」
って言いたくなるのでリメイクの快適さはありがたい。
オリジナルでは1つだけだった魔法をすべて持っていけるようになり、
状況に応じて使い分けられるようになったのも良いね。
新アクションが強いから回復魔法だけ使うのが安定なところはあるが……。
ザコを倒してゲージを溜めると段階的にパワーアップする要素もあり、
最大まで溜めると攻撃力と魔法力が倍になった上に1度だけ復活可能だ。
ギリギリの戦いでは頼りになる。
ミノタウロス、狼男、火炎車、ファラオと、バラエティ豊かなボスもそのまま。
グラフィックが進化してカッコ良くなっているし、
スーパーファミコン版から攻撃パターンが増えているのも嬉しいところ。
例えば1面ボスのセントールは
しゃがみを軸にしたヒット&アウェイで勝てる相手だったんだが、
リメイクでは下突きが追加されているので同じ戦略は通じない。
オリジナルをやっていると「おっ!」ってなるポイント。
個人的にお気に入りはファラオの追加アクションである巨大化。
いかにもスーパーファミコンの回転・拡大・縮小機能を使った
アクションゲームでありそうなギミックだぜ!
ただ、難易度ノーマルだと適当に新アクションを振ってるだけで
ボスを完封できるので、さすがに簡単過ぎる。
そこで難易度ハードにすると被ダメージがグッと上がり、
新アクションの無敵時間で攻撃を着実に避けないと一瞬で死ぬ!
攻略パターンを見極め、一瞬の隙を突いて連続攻撃を叩き込む感覚が痛快だ。
オリジナル版に近い感覚になるし、
アクションゲームに慣れてるなら初手ハードをオススメするぜ。
まあ、それでもオリジナル版の方が3倍くらい難しいんだけどね!
クリア後のスペシャルモードではさらに難易度を上げたステージに挑めるので、
物足りない人はそちらで暴れよう。
クリエイションモードではすべてのステージに新キャラである英雄が登場。
オリジナルのシナリオを元にしつつ、新たな会話イベントが盛り沢山。
キャラ立ちまくりの英雄たちの苦悩と成長を軸にした
「人と神の物語」はとても良かったし、
それに合わせてボス側のドラマも掘り下げられているのが嬉しかったね。
あの人狼やファラオにそんな物語が!
モブキャラにステージ毎に異なる立ち絵が付いたのも細かい。
カサンドラに着いた時は……。
「アクトレイザーがエッチなゲームになっている!?」って衝撃を受けた!
英雄だと好きなキャラはアロンゾとミグラナかな。
新キャラとして魅力的な「人間を導く英雄」が大量に登場したことで、
彼らがいれば神が導かなくても人間は発展していけるだろうし、
天使の声が聞こえるのも英雄だけだから、寿命で死んだら
神と人間の距離は更に離れやすくなるだろう……なんて思えるところが好き。
まあ、「でもこいつめっちゃ長生きしそうだな!」って英雄もいるし、
「この流れですぐ追加シナリオはちょっと情緒が無くない?」ってとこもあったが!
そして文句無しに存在感あるのが天使。
性格はオリジナル版そのままに、可愛い立ち絵つけてセリフ増やしたら、
めちゃくちゃ今のニーズに合ったキャラになったの大発見だわ……。
生意気で調子の良いところあって人間を見下すけど、
人間のこと自体は可愛く思っているし、プレイヤーである神をとても信頼している。
英雄たちと直接会話して感情を爆発させてる姿も愛らしい。
このゲームで一番人間臭くて可愛いの、お前じゃないか?
『アクトレイザー』と言えばスーパーファミコン初期とは思えない、
ハイクオリティなオーケストラ調のBGMだが、
今回はオリジナルを担当した古代祐三が、貫禄を感じる王道アレンジを施している。
オプションでオリジナル音源にも切り替え可能な配慮もありがたいね。
やはりフィルモアのBGMは血が滾る……。
追加ステージと新曲もあるんだが、
新曲にもわざわざスーファミ音源のverを新規に作ってあるのがさすが。
と、アクションパートとシナリオなどに関しては良いアレンジだと思ってるが、
クリエイションパートは余計な要素が増えすぎた印象だ。
まず魔物の巣を封印する際に、
取ってつけたような小型のアクションパートが挟まるのがちょっといただけない。
魔物の発現器を破壊するというものなんだが、
小部屋で戦うだけなので単純にゲームとして面白くないし、
「普通の魔物なら人間で何とかできるが、
強大な力を持ったボスには神が降臨して挑まねばならない」
というオリジナルの方が流れとしてもしっかりしてる。
アクションパートを何度もやり直して指定のザコを倒す作業クエストがあるのも、
一体何を考えてるんだ!?と驚いた。これまた取ってつけたようなイベントだ!
まあ、これに関してはコンプ目指してない限りスルーしてもいいんだが……。
新たに追加されたタワーディフェンス風の防衛パートは、
英雄をユニットとして誘導し、
防衛用の施設を要所に設置して魔物を迎え撃つ構成。
しかし魔物の動きが読み辛く、有効な攻撃が分かり辛い上に難易度が高い。
英雄が必殺技で敵を一掃する瞬間はなかなか気持ちが良いが、
基本的には遊んでいてかなりストレス溜まるしテンポが悪いぜ。
そもそも、クリエイションは方向を指定するだけで
ポコポコ街が発展していくお手軽さがウリのパートだったのに、
そこに特定の建物を守るとか、
時間経過で溜まる資源で防衛用の施設を設置&強化する新要素は、
明らかに噛み合わせが悪い。
後半はかなりシビアで、何度も街を作り直すリセマラ染みた作業が必要になったりも。
このゲーム、パート毎の難易度をいつでも個別に変更可能なので、
「アクションはハード、クリエイションはイージー」で遊ぶことを推奨したい!
元々、歯応えあるアクションと、
ゆるく楽しいクリエイションの緩急が楽しいゲームだったと俺は思ってるのでね。
難易度やクリエイションモードの歪さはどうにかならなかったのか……とか、
細かい演出はオリジナルの方が良かったってところはあるんだが、
原作を踏まえた上でしっかりリメイクしようという気合は伝わってくる。
回転演出などスーパーファミコン版のお約束も押さえてある。
アクションとシナリオは楽しかったし、BGMも文句無い。
難易度をいじりながら遊べば新規プレイヤーでも入りやすいし、
個人的には「アリ」なリメイクだったな。
タイトルは聞いたことあるって人や、天使のキャラが気になった人、
アクション+シミュレーションの変化球に興味が湧いた人は遊んでみて欲しいぜ。
PS4®『アクトレイザー・ルネサンス』本日9月24日配信! リマスターの方針や追加要素を開発者が自ら語る! – PlayStation.Blog 日本語
PSblogでは開発者によるコメントが公開されており……。
ポジティブな評価もネガティブな評価もすべて受け止めたうえで、開発側としては『アクトレイザー』の次の取り組みへつなげていきたいと思っているので、原作ファンの方も、原作を知らないけれど興味を持っていただけた方にも幅広く、ぜひ手に取っていただき、感想の声をいただければと思っています。
最後にこう発言しているので期待しちゃうぜ!
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