ちょっと前の話だが、
『クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』のブルーレイを買ったゾ！
タイミングが合わなくて当時劇場で見れなかったのだが
最高傑作という評判をチラホラ聞き、
「クレしん映画を褒める時に最高傑作なんて単語は軽々しく使えないだろ！？」
と思いつつ、その言葉を信じてみたくなりブルーレイを即買いした。
マジで最高傑作で腰が抜けたぜ……。
ここ数年ずっと良作が続いてたクレしん映画の中でも更に凄い
今回の舞台は超エリート学であり、
学園のカーストがAIで管理されている「私立天下統一カスカベ学園」。
略して天カス学園だ。
風間くんと一緒に体験入学したカスカベ防衛隊の面々だったが、
そこでは謎の「吸ケツ鬼」に襲われておバカになる生徒が続出しており、
風間くんもついにその毒牙にかかってしまう。
事件解決のためにしんのすけの名推理が光る！
ぶっ飛んだ展開が多いクレしん劇場版としては結構地味な舞台で、
悪の組織みたいなのも出てこない。
しかしシナリオの完成度だけで勝負できるレベルになっていて、
1本の劇場版として見応え申し分無しだ。
まず落ちこぼれ生徒会長である阿月チシオちゃんを初めとする
濃ゆい生徒たちが実に魅力的に描かれている。
鉄仮面の番長、人間嫌いの野生児、しんのすけに優しいギャルなどなど。
カスカベ防衛隊とのやり取りは見てて楽しいし、
「風間くんを襲った吸ケツ鬼は誰か？」
っていうミステリー部分もちゃんとミステリーしている。
真相で「なるほど！」と納得できる作りで、
それでいて「そんなバカなことがあるか！」と
言いたくなる頭の悪い展開に笑わせられる。
AIに管理されてる歪みがあるとはいえ、
楽しそうに部活してる様々な生徒の描写があったりと、
天カス学園自体は楽しい場所なのがしっかり描かれてるのも好きなところ。
これがあるから後半の展開が引き立ってる。
今回出番が少ないひろしとみさえの使い方も、
ポイントを押さえていてめっちゃ美味い。
冒頭、体験入学で1週間しんのすけに会えないから、
1週間分抱きしめるみさえのシーンとかいちいち良いし、
この2人の「青春」に対するちょっとしたセリフがあるから、
本作のテーマがグッと味わい深くなっている。
クレヨンしんちゃんの映画って「今回はこのジャンルをクレしんでやろう！」
という作りで方向性がどれも違っているから、それぞれに熱いファンがいるし、
最高傑作1本は決めづらい。
俺も一番好きな作品は『ヘンダーランドの大冒険』だけど、
一番泣いたのはやっぱ『オトナ帝国』だなぁ。でも『ブタのヒヅメ』も最高だよな……。
近年だと『ユメミーワールド』がかなりお気に入りだし、
『サボテン大襲撃』のモンスターパニック&アクションも好きだし、
『ラクガキングダム』も色々と柔軟なクレしんらしい、
今の時代だからこその物語構成で良かった。
などと、色々考えてしまうんだが、今後「最高傑作を1本選べ」と言われたら
この『天カス学園』になるかもってマジで悩むくらいの完成度。
少なくともこれぞ青春！という終わり方の爽やかさと納得感はぶっちぎり。
映画シリーズ28作品で試行錯誤を続けてきたからこそ出来た集大成であり、
今の時代に合った、すべての世代に向けた
「最高におバカな青春ミステリー」の傑作だった。是非見て欲しい！
そして風間くん好きな人は見る前に心臓を慣らしておいた方が良いぞ！
