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狂気で編まれた夢の大傑作。ワクワクしたいすべての人へ!『RPGタイム!~ライトの伝説~』レビュー!【PS4/Switch/Xbox/PC】

 

 

家庭用ゲーム「RPGタイム!~ライトの伝説~」公式サイト | 2022.3.10 発売

 

『RPGタイム!~ライトの伝説~』のレビュー行くぜ!

 


パブリッシャー:アニプレックス

機種:PS4/Switch/Xbox Series X|S/Xbox One/Windows

ジャンル:手作りノートアドベンチャー

発売日:2022/3/10(Xbox/Microsoftstore)2022/8/18(Switch)

2022/9/13(Steam)2022/10/13(Switchパッケージ版)

価格(税込):3650円


 

小学生がノートに書いた手書きのRPGを遊ぶゲーム。

日本のインディーゲーム開発会社であるDESKWORKSの作品だ。

構想15年、開発9年という超大作で、

インディーゲーム関連のイベントで毎回話題になっていた。

いつ発売されるんだろうとずっと待っていたんだが……。

その「いつか」がついに来た!

 

PVの段階でこれはとんでもないぞと思わせてくるゲームなのだが、

実際やるともう「凄い」「凄すぎる」以外の言葉が思いつかない。

人生を費やした狂気的な作り込みの洪水。

ワクワク出来るゲームを求めるすべての人に向けた、前人未到の大傑作だ!

 

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小学生のけんた君がノートに書いた手書きのRPG「ライトの伝説」を、

プレイヤーが遊ぶという構成。

机に広げたノートの周りにはドットビーズで作られたステータス画面や、

けんた君がゲーム進行に使うえんぴつや消しゴム、

残り体力の長さを表現するメジャー、ゲームを操作するボタン、

BGMを流すための音楽プレイヤーなどがズラリと並ぶ。

この大冒険は、すべて学校の机の上で進行するのだ。

もうワクワクが止まらなくなってきた。

 

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最初にけんた君から見せられる分厚い説明書がまたスゴイ。

表紙の時点で気合の入りっぷりが伺えるが……。

 

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中身は4つのスターを探す「説明書ダンジョン」という構成になっていて、

主人公である勇者や姫の紹介、パラパラ漫画ムービーや、

ちょっとしたミニゲーム、制作したけんた君の好きなゲーム紹介コーナーなどなど。

この時点で仕掛け絵本何冊分だよと言いたくなる密度。

プレイヤーがいじれる箇所がいくつもあって飽きさせない。

最近のゲームは説明書が無くて寂しいという人も、

これを見れば「ここまでしろとは言ってないよ!」と感動することでしょう。

 

説明書、別に遊ばなくてもゲーム開始出来るのが凄いわ……。

 

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ゲーム本編は1本道のアドベンチャーゲームに近い。

画面内をあちこち調べて、次のページに進むための方法を探す。

魔物とのバトルや様々なミニゲームも待ち受けている。

分かりやすい作りだが画面に込められた物量と熱意が圧巻だ。

 

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小学生の手書き風で統一されたイラストがウネウネ動きまくるし、

ページの隅々にまで小ネタが満載。

場面が変わる度に新鮮な驚きと楽しさが待っていて、

いちいちゲームを進める手が止まってしまう。

ゲーム進行に関係ない「画面にラクガキできる機能」なんてのもあって、

画風にハマってるし遊び心の塊。

 

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手書きノートを机の上で広げている設定を活かして、

定期的にリアルな道具をドン!とぶち込んできたりもする。

 

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モンスターとの戦闘シーンはすべてイベント。

主観視点となり、弱点を探して剣で斬る!

モンスターは表情豊かに動きまくるし、

周りに落ちている道具を利用する必要があったりと趣向を凝らしてある。

全然関係ないところ斬ってもちゃんとリアクションがあるのが細かい。

ページの上下にモンスターのプロフィールや、

フレーバーテキストが書かれているのもいい味出してるね。

 

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マンガ、紙芝居、ダンボール工作、リアル文房具やおもちゃなどなど。

あらゆる表現を駆使してプレイヤーを楽しませてくれる大冒険だ。

中だるみする瞬間がまったく無く、最初から最後まで

「このシーンのためだけにこんな手間かけてるの!?」

と驚く演出が切れ目なく続くので気が遠くなる。

メニュー画面もまた凄い。

 

 

消しゴムの列車で「メニュー画面用の机」に移動して、

ダンボールや紙の工作で作られた施設や、

粘土で作られた実績メダルなどを確認できる。

メニュー画面だぞ!?

 

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ゲームとしては一本道で、そこまで難しい謎解きも無い。

何度でもやり直せるし、賑やかなゲームオーバー画面ではヒントも見れる。

でも、失敗した時もちゃんと個別の演出があるし、

やり直すとセリフが変わるイベントも沢山あるから、

自然とゲームオーバーのパターンが全部見たくなっちゃうのが上手い作り。

 

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登場キャラのセリフとナレーションはすべて、

ゲームを作ったけんた君が自ら担当!

お姫様のセリフも魔王のセリフも全部けんた君が演じる。

細かな脇役までみんな魅力的に表現出来ているし、

お約束通り喋らない勇者ライトも、表情や動きから性格が伝わってくる。

 

加えてプレイヤーの選択肢に合わせてページを書き換えたり、

アクシデントに合わせて即興でゲーム展開を変更したりと、

名ゲームマスターっぷりも光る。けんた君、タダモノではない。

 

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ガチガチにゲーム進行のナレーションをするんじゃなくて、

プレイヤーと雑談をしながらの進行だから、

本当にけんた君と一緒に遊んでるような感覚がたまらないんだ。

こっちの細かい操作に合わせてずっと喋ってる。

ちょいちょい挟まる豆知識は学校の授業でやったんだろうなぁとか、

図鑑で見たんだろうなぁとか推測出来て暖かな気持ちになるね。

 

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このゲーム、文字が全部手書きなのがまずヤバいんだけど、

海外版のローカライズも全部手書きでやってるそうで。マジで途方もない。

そもそもけんた君のセリフ量が凄いからそれだけで大変そうなのに!

 

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とんでもない作品。

欠点はセーブデータを1つしか作れないのに、

ステージセレクト的な物が無い点かな。

あそこだけ何度も遊びたい!あそこをまた見たい!

ってシーンがめちゃくちゃ多いだけに辛いね。

 

あと、現状だとXboxとMicrosoftStoreでのPC版でしか遊べない。

INSIDE」や「4gamer」のインタビューによると、

マイクロソフトからの支援があったこともあり、

まずは作りやすいXBOXとPCに向けて集中した。

iOSとAndroid版は開発中で、

それ以外は発売元であるアニプレックスと相談して決めるとのことだ。

地球上に存在するすべてのプラットフォームで出してもらいたいね!

『DOOM』並みにマルチ展開してくれ!

 

と言ってしばらくした後にPS4/Switch/Steamが発表されて本当に良かった!

次はスマホ版だな!

 

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10時間掛からないくらいのボリュームだけど凄まじい濃さ。

遊んでる間、ずっと楽しい気持ちが止まらなかった。

詰め込まれた遊び心が高密度過ぎてブラックホール化してる。

人を楽しませることに全力投球した剛速球だけどスピードが光速を超えてる。

「常軌を逸したおもてなし感覚」で作り上げられた大傑作だ!

 

近年、インディーゲームという単語が極めて曖昧になっているが、

これぞ、これこそがインディーゲームという1本だ。

まあ、こんな規格外の労力が掛かってる作品を

インディーゲームの基準にされると、

世の個人クリエイターがみんな困っちゃうけども!

 

公式ジャンルは「手作りノートアドベンチャー」なんだけど、

けんた君と一緒に勇者ライトの冒険を楽しむ感覚は間違いなく「RPG」だったなぁ。

小学生が作ったという設定なのでストーリーは素朴だけど、

けんた君の優しさが伝わってくる展開は凄く胸にしみたね。

 

夢と想像力に溢れた傑作。

子どもから大人まで、あらゆる人に遊んでもらいたい!