『カテゴリーⅠ～死線上のサバイバー～』のレビュー行くぜ！
パブリッシャー：オレンジ
機種：Switch
ジャンル：推理アドベンチャーゲーム。
発売日：2022/5/26
価格（税込）：980円
備考：PS4/Steam/iOS/Androidでも近日配信予定
近年の『探偵神宮寺三郎 シリーズ』や
『イヌワシ』を手掛けたオレンジの最新作だ。
VR空間を舞台にした人狼アドベンチャー！
と言ってもシステムは単純なので、
一本道のノベルゲームと思って貰えればいい。
キャラデザは『LUX PAIN』『アークライズファンタジア』の岸和田ロビン氏。
シナリオは有限会社ハイボリュームが担当しているぞ。
あの『THE鑑識官』シリーズを手掛けた利波創造氏が代表を務める会社で、
本作にもシナリオで参加している！
短編の人狼アドベンチャーゲームとしてはなかなか面白い1本だったぞ。
こちらがタイトル画面。仮面ライダー龍騎かな？
舞台は人間そっくりなAIや、五感も含めたフルダイブVRが実現している近未来。
爆発事故で瀕死の重傷を負った10人が病院に運び込まれるが、
優先的に手術を受けられるのは、設備や人員の都合で3人まで。
手術の順番はVR空間で行われる人狼風ゲーム、
「インフェクテッド・ゲーム」の勝敗で決めることになる。
その辺の説明は医療用AIであるレッテと、運ばれた病院の院長がしてくれる。
VR人狼で手術の順番決めるとかイカれてんのか！
だが瀕死の10人はこのゲームをやるしかない……！生き残るために！
というストーリーだ。
10名の登場人物は普通の学生から消防士、
スポーツジムのインストラクターにホスト、不思議ちゃんまで様々だ。
個性豊かな面々が、生き残りをかけて3回戦のインフェクテッド・ゲームに挑む。
「インフェクテッドゲーム」は正常者と感染者の陣営に分かれ、
それぞれが勝利を目指して戦うゲーム。
正常者の中に潜んだ感染者を見つけるために議論をし、
怪しい人物を処刑していく。
感染者は議論を誘導して自分が処刑されないように立ち回りつつ、
毎日1人ずつを殺害して数を減らしていく。
基本的には人狼ゲームとほとんど同じだね。
ゲームが進むと徐々に新しい役職が追加されていく。
ルール説明の画像だけ見ると難しそうに見えるが、
人狼ゲームを知らない登場人物が多く、
徐々にゲームに慣れていく構成になっている。
詳しくないプレイヤーでも入りやすい作りだ。
人狼ゲームを知ってるかどうかで既に差が生まれているのに、
勝敗で手術の順番決めるのはやっぱりどうかしてるな！
最終的に生死には関わるものの、
VR空間でやっているので殺害されても本当に死ぬわけではない。
1試合が終わったらリセット。配役を振り直して仕切り直しだ。
3回戦してエンディングという構成なので、
人狼ゲームの醍醐味な展開が顔を出すのが早い。
初戦から役職である「検査技師」を名乗る人物が2人出てくるぞ。
疑心暗鬼が早くて助かるぜ！
そしてこちらの古賀イサオくん。
頭良くなくて少し乱暴なので周りに説明を求めまくるという、
この手の作品に1人は欲しいキャラである。
君みたいな奴が場を引っ掻き回しつつ
ちょっといい所を見せる展開をみんな待っているんだ！
不思議ちゃんキャラである星野ココアは
イサオくん以上に行動が読めないキャラ。
妖精の声が聞こえると言って色々やってくるので、
なんなんだこいつ……怖……ってなる。
議論で存在感あるのはホストらしいトークの上手さで
場の流れを持っていく木瀬タクヤに……。
職業不明で議論に鋭く切り込んでくる間宮キイチ辺り。
2人ともゲームの内外でいい味出していて、
今回のゲームで信用出来るかどうかを考えながら進めるのが楽しい。
アイドル好きが滲み出てる白雪サツキも普通の高校生って感じが良かった。
真面目故に割を食いがちだった須藤マサヨシさんも好きだったね。
1戦終わると休憩コーナーにワープして色々会話するんだけど、
そこで消防士らしい知見を見せるのが頼もしい。
主人公である長谷部ミライは普通の高校生だが、
人狼ゲーム知識はあって察しが良い。
どの配役でも主人公らしい立ち回りを見せてくれるぞ。
最初にも言ったがゲームとしては1本道のノベルゲームで、
選択肢を間違えてもその場でやり直しになる場面がほとんど。
途中のちょっとしたバッドエンドを除けばエンディングは2種類。
真エンディングの条件も教えてくれるので詰まるところは無いぞ。
短編なので3時間掛からず終わるボリューム。
その尺で登場キャラ10人以上出して人狼ゲーム3回やって
キャラをちゃんと立てて綺麗に終わらせてるのは巧い作りだ。
ただ、それだけにもっと長いゲームで
1人1人の掘り下げをじっくり見たくはあったな。
終盤の流れも強引かつ安直では……と感じてしまったが、
世界観を活かした展開ではあってそこは好き。
値段も考えれば十分な1本だったぜ。
