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1998年の名作が復活!丁寧なリメイク作『人形の傷跡:姉の謎を追うサイコホラー』レビュー!【Switch】

 

人形の傷跡:マメクジラ公式サイト

 

人形の傷跡:姉の謎を追うサイコホラー ダウンロード版 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)

 

『人形の傷跡:姉の謎を追うサイコホラー』のレビュー行くぜ!

 


パブリッシャー:マメクジラ

機種:Switch

ジャンル:ノベルアドベンチャー

発売日:2022/8/18

価格(税込):1500円


 

1998年にRPGツクール95で制作されたアドベンチャーゲームのリメイク。

当時、ミステリー専門誌の「メフィスト」で取り上げられるほどの好評を博し、

現在もノベルゲーム化したものがスマホやSteamなどで配信されている。

黎明期の国産インディー推理アドベンチャーとして評価の高い1本だ。

 

シナリオはChild-Dreamが担当。

近年だと『千里の棋譜 ~現代将棋ミステリー~』を手掛けており、

そっちのファンである俺としては見逃せない1本だぜ!

 

今回のNintendo Switch版はグラフィックとシステムを一新し、

後半部分を加筆し、サブキャラ視点でのシナリオも追加したフルリメイクとなる。

 

 

Steam: Scar of the Doll 人形の傷跡

 

せっかくなのでオリジナル版に近いSteam版をプレイしてから挑んだぞ。

ツッコミ所はあったが今遊んでも面白かったし、

現代風のビジュアルノベルとして遊びやすい丁寧なリメイクだった。

 

配信当初はセーブデータ破損バグがあったが現在は修正済み。

問題なく最後まで遊べた。

 

 

タイトル通り、主人公の上条明日美が行方不明の姉を追うストーリーだ。

東京の大学院に通っているはずの姉と連絡が取れなくなり、

上京して直接姉のことを探しに行く。

しかし大学院に行ってみても誰も姉のことを知らないと言うし、

姉のアパートの様子もどこかおかしい。

そして調査を進める明日美に忍び寄る恐怖……。

明日美は姉を見つけることが出来るのか?という内容だ。

 

 

ゲームとしては一本道のアドベンチャーゲーム。

オリジナルで写実的だった登場人物たちは現代風のイラストになり、

マップ移動や選択肢はあるものの次に行く場所や正解は分かりやすい。

選択肢によって即死することもあるが、すぐに直前からやり直せるぞ。

ヒントも増えているので、Steam版と比べても格段に遊びやすくなってる。

 

 

加筆修正はされているが、基本的なシナリオは同じ。

選択肢によっては子猫の前で牛乳一気飲みする明日美も健在だ!

パソコン調べた時の無意味なビックリ演出もまんま。

あれなんだったんだよ!?

 

 

リメイクで一番印象変わった登場人物は柿崎。

ナイスデザインの暗いイケメンだが……。

 

 

オリジナルは緑スーツを着た不審者!あまりに別人過ぎて笑ったわ!

リメイクはよく見るとこの口元をちゃんと意識して描かれているし、

オリジナルはどう見ても博士課程二年には見えないので変えるのは納得。

ただの臆病な学生で出番少ないのに見た目がこれだから、

出る度に笑っちゃって集中力が削がれてさ……。

っていうかオリジナルの緑スーツはどういう意図だったんです!?

 

 

大学の研究室の面々に聞き込みをし、

図書室やコンピューター室を回っていくうちに、

明日美と姉、そして研究室に関する謎が少しずつ紐解かれていく。

あからさまに怪しい人物もいたりで気になる~!

 

 

数々の謎で引っ張り、怒涛の伏線の回収で引き込む作りと、

出番の少ない登場人物でも印象に残る人間ドラマの描き方が上手い。

ただ、クライマックスに至るまでに「そういう世界観なの!?」

って驚かされる飛躍した仕掛けを差し込んでくるので、

全体としてかなりB級感が強い印象が残った。

ここは色んな意味で『千里の棋譜』に通ずるものがあるな!

 

後半部分の加筆は良い意味で作品の印象が変わったし、

クリア後に読めるサブキャラ視点の追加シナリオは、

分量は多くないものの本編の補完としても良く出来てたね。

 

 

クリアまでは4時間掛からないくらいのボリュームで急展開の連発なので、

あんまりネタバレ出来ないんだが、リメイク作として丁寧。

加筆部分や一枚絵による演出の強化は元のシナリオに上手くハマってるし、

原点のちょっとチープな演出を、

あえてそのままにしてるところもそれはそれで味があって良い。

 

サウンドテストや一枚絵のギャラリーも欲しかったが、

未プレイならオリジナル遊ばずにこっちだけで十分と断言できる作りだ。

キャラデザは好み分かれそうだけど俺は上手いアレンジだと思う。

実写版とアニメ版みたいな感じで違いを楽しんでもいいかも。

 

ビックリ演出が数回ある程度でホラー要素はそこまで強くなく、

そもそもこれ「サイコホラー」かなぁ!?という疑問はあるものの、

矢継ぎ早に起こる事件と匂わせ描写でプレイヤーを引き込み、

中盤から後半の怒涛の展開で感動のフィナーレへ雪崩れ込む。

ツッコミ所や古さを感じる部分はあってもダレる部分はまったくなく、

テンポ良く最後まで遊びきれるのは今の目で見ても構成が上手いね。

 

20年以上前に話題になった伝説のホラーアドベンチャー。

興味があれば遊んでみてくれ!