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徹底した原典リスペクトと快適性が光るリメイク作!『マリーのアトリエ Remake ~ザールブルグの錬金術士~』レビュー!【PS5/PS4/Switch/PC】

 

 

マリーのアトリエ Remake ~ザールブルグの錬金術士~

 

『マリーのアトリエ Remake ~ザールブルグの錬金術士~』のレビュー行くぜ!

 


パブリッシャー:コーエーテクモゲームス

機種:PS5/PS4/Switch/PC

ジャンル:スローライフRPG

発売日:2022/7/13

価格(税込):6380円


 

アトリエシリーズ25周年を記念した作品で、シリーズ1作目である

『マリーのアトリエ 〜ザールブルグの錬金術士〜』をフルリメイクしたものだ。

元々は1997年に初代プレイステーションで発売されたタイトルだが、

グラフィックが3Dになり、機能面も大幅に改善されているぞ。

俺はアトリエシリーズはマリーとエリーしか遊んでないので、

このリメイクを見逃すわけにはいかなかった。

 

 

錬金術士になって5年という期間を自由に過ごすスローライフRPGで、

素材を集めて様々なアイテムを作り、

仲間キャラと交流をしながら様々なエンディングを目指していくゲームだ。

今となっては珍しくない作りだが、

当時のコンシューマ機ではこんなスタイルのゲームはほぼ存在せず、

魅力的なキャラたちも相まってヒット。

ガストの知名度を一躍高めることになったのだ。女性人気も高くて、

当時の電撃プレイステーションでめちゃくちゃ特集されてた記憶あるなぁ。

 

今回のリメイクは基本システムからシナリオ、ボイスまで昔のままだが、

便利機能盛り沢山で大幅に快適になっており、リメイクとしては安定感がある。

ただ、ボリュームやフラグの分かり辛さなどは据え置きなので、

そこら辺をどう見るかって内容になってるね。

 

 

ちなみにダウンロード版限定の『Digital Deluxe』か、

パッケージ版にも適応できるDLC『Digital Deluxe Upgrade』を購入すると

1998年に発売された完全版である

マリーのアトリエ Plus ~ザールブルグの錬金術士~』が

そのまま遊べるようになってるぞ。

ありがたいが単品発売して欲しいところではあったな……!

 

そして差し替え可能な歴代BGM1000曲以上をパックにしたDLC

「アトリエ」シリーズ歴代BGMパック』も無料で配信中だ。

ガストはこういう「うちの音楽はインフラなんで」みたいなことをたまにやる。

 

 

起動した際のタイトル画面は何種類かあって毎回変化する。

ここで流れる名曲「好きだった絵本」の時点でもう懐かしい。

発売から25年経ち、多くの人間にとって本作自体が

「好きだったゲーム」になっているんだよなぁ。

 

 

主人公は王立魔術学院に通う錬金術師の卵であるマルローネことマリー。

成績が酷すぎて先生にブチ切れられ、

卒業試験として「5年間の期限で成果を上げなければ留年!」と言われてしまう。

それを留年と言うのでは?というネタはこの25年間ずっと突っ込まれているが、

それはさておき学院から貸し与えられたアトリエを舞台にマリーの5年間が始まる!

というストーリーだ。

 

マリー本人のバックボーンは全然語られないし、

本当に「卒業試験に挑む!」がシナリオのメインで空気感もゆるい。

1作目ということもあってかストーリーはあっさりしてるね。

ただ、街は平和だけど過去に隣国との戦争があり、

その爪痕があちこちに残っているってところを、

イベントで少し覗かせる作りはなかなか味わい深い。

 

 

拠点となる工房で様々なアイテムを調合したり、

素材集めに冒険者を雇って冒険に出かけたり、

酒場でアイテムを納品する依頼を受けてお金を稼いだり、

溜めたお金で新しい本やを買って調合レシピをゲットしたりして、

5年の錬金術師ライフを過ごしていく構成だ。

5年経過するとエンディングとなり、特定の条件を満たすことで分岐する。

 

絶対やらなきゃいけないイベントなどは無いため、

ゲーム開始してすぐにベッドで5年間寝続けてもエンディングになるぞ。

もちろんバッドエンドだがな!

 

 

冒険先で敵と遭遇するとコマンド形式でバトル開始。

場所によっては強力なボスも待ち構えているので、

レベル上げや装備の強化、回復アイテムの準備が大事になってくるぞ。

ここは結構しっかりRPGしてる点だね。

 

 

オリジナルだと冒険は自動で素材を探すだけで、

ランダムで戦闘が挟まる形式だったが、

今回は3Dのマップをあちこち歩き回り、うろついてる敵にぶつかると戦闘となる。

素材の場所がある程度決まっているので狙った素材を集めやすくなったし、

ランダムで素材を探す「簡易採取」を選ぶとオリジナルに近い感覚になるね。

 

 

工房の隅にある樽を調べるとボイス付きで「た~る」と喋り、

PSハードだと「元祖たーる!」のトロフィーも入手できる。

ちょっとした小ネタだったのが妙に受けて、

25年間方々で擦られまくった伝説のはじまりである!

 

 

『無双スターズ』だと呂布まで「樽!」とか言い出してたからな!

 

 

どんどんアイテムを作成して図鑑を埋めるのが基本となるゲームだが、

色々なアイテムの基礎になる蒸留水をガンガン作ることになりがちだ。

蒸留水はなんぼあっても良いですからね!

 

 

ゲームをちょっと進めると妖精さんを数人雇えるようになるので、

蒸留水みたいな簡単なアイテムの作成や、低レアの素材集めは彼らに任せることになる。

慣れてくると効率よくスケジュールを組んで進められるぞ。

段々と個人事業主から人を雇う側に回っていくゲームなのである。

 

 

ちなみに材料不足などで指示が実行不可能になると妖精は

「材料がなくなったので踊ってる」

などの楽しそうなコメントを残して無駄メシ喰らいモードに入るぞ。

地味にコメントの種類が豊富なのが好き。

 

 

「レベルを上げると大量のアイテムを一瞬で作れるようになる!」

「高いアイテムを作れるようになると所持金の桁が跳ね上がる!」

みたいなインフレ要素は控えめで、作れるアイテムの種類もそこまで多くは無い。

結構地道な展開が続くんだけど、調合を繰り返して知識を付けると

アカデミーの図書館で新しいレシピが手に入るようになったり、

新しく行ける場所が増えると一気に新しい素材が手に入るようになったりと、

段階的かつ着実にゲームが進んでいくバランスはよく出来ていて、

つい黙々とプレイし続けてしまう。ここは今も変わらない魅力があるね。

 

 

主人公であるマリーもかなりいい性格してて、

テンポの良い口の悪さと危機感の無さが凄い。

これはアカデミー最低成績だという説得力に溢れている。

めっちゃ優秀になった時のエンディングでも、

ダメダメなエンディングでも本人の態度がそんなに変わらず、

この一か八かの大物感はなんだか凄く魅力的だ。

親友であるシアとの「本当に仲が良いんだなぁ……」ってやり取りが特に好き。

 

 

シアも戦闘に引っ張り出してレベルを上げていくと、

「お前のどこが体弱いんだよ!」ってくらい強くなるから

令和も変わらぬ最強コンビ過ぎる。

 

 

マリーに卒業試験を課したイングリド先生も

凄くいい先生してて節々のセリフでグッと来ちゃう。

昔遊んだ時も「鬼先生みたいな扱いだけど普通に優しくない?」とは思ったんだけど、

今遊ぶとまた違った魅力が見えるね。

 

ちなみに本作のボイスは昔の音源をそのまま使ってるため、

兼役がめっちゃ多くて立木文彦の声をやたら聞く事になるマダオ祭りもそのままだし、

追加イベントはボイス無しで通してる。

これはこれで当時の雰囲気そのまま味わえて良し!

 

 

特に子安武人がクールな盗賊のシュワルベと、

ツンデレ同級生のクライスの声を両方やってて一粒で二度おいしいぜ。

 

 

シュワルベ、マリーにボコられたので盗賊やめて冒険者になる!

ってのをわざわざマリーの自宅を訪ねて宣言する辺り、ちょっとヘンな奴ではある。

 

 

とにかく「昔のままフルリメイクする」を徹底している作りで、

原作でたまに発生する変なミニゲームもフル3D化して収録だ。

ミニゲームのことすっかり忘れてたから普通にかなり困惑したよ!

オリジナルにこんな気持ち悪いクマが出てくるミニゲームあったか~!?

って調べたらクマのデザインそのまんまだったから徹底してる。

25年前の亡霊を蘇らせるな。

 

それでいてオートセーブに演出の高速化、操作性の向上、

5年の制限無しで遊べる無期限モードの追加など。

システム面は快適性に振っていて非常に遊びやすくなっている。

イングリド先生がとりあえずの目標となる「課題」を定期的に出すイベントもあり、

初めて遊ぶ人でも取っつきやすくなったね。

BGMをオリジナルとリメイクで切り替え出来るのも気が利いてるぜ。

 

 

仲間の好感度を上げると見られる追加イベントは分量こそ少ないけど、

雰囲気を壊しておらず、世界観とキャラの掘り下げとして丁寧な仕上がり。

オリジナル、シア以外のキャラは全然イベント無かったから、これは良い追加要素だ。

 

そして各種イベントの発生条件や、

エンディングの分岐フラグの分かりにくさはそのままだが……。

 

 

イベントリストから見てないイベントの発生条件を確認できる。

アイテム図鑑コンプ辺りは攻略情報無いと厳しいと思うけど、親切にはなってるぞ。

イベントリストにキャラの掛け合い付いてるのいいねぇ。

 

追加エンディングは無くボリュームは据え置きなものの、

特定の条件を満たすと貰える「称号」の要素や、

周回プレイでイベントリストを埋めていくやり込みなどはあるぞ。

 

 

グラフィックはデフォルメされた3Dキャラと3D背景になっているが、

キャラは表情豊かで可愛く、ジオラマっぽいマップの雰囲気もいい味出してる。

元々2Dのチビキャラを操作するゲームだったから、

普通の等身でリメイクするよりは合ってると思う。

当時の雰囲気そのままに、3Dで世界を拡張したってバランスだね。

 

 

NPCを自由に配置してポーズや表情も変えられるフォトモードも結構凝ってて良し。

 

 

街の被写界深度が変でやたらボケて見えるのは少し気になったな……。

 

 

キャラデザの変更と3D化は好みは分かれそうな点で、

当時は斬新なシステムでも今の基準で遊ぶと色々あっさりした作り。

そこをどう見るかって話になるがリメイクとしては丁寧で、

俺のように「昔好きだったので久々に遊びたい」って人や、

「アトリエシリーズの原点を体験してみたい」という人には申し分のない1本だ。

久々に遊んだけど面白くて他のアトリエシリーズも遊びたくなってきた。

 

次は『エリーのアトリエ 〜ザールブルグの錬金術士2〜』のリメイクを

よろしくお願いします!