『void* tRrLM2(); //ボイド・テラリウム２』のレビュー行くぜ！
パブリッシャー：日本一ソフトウェア
機種：PS4/Switch
ジャンル：お世話ダンジョンRPG
発売日：2022/6/30
価格（税込）：7478円
日本一ソフトウェアが、
「かわいい女の子がかわいそうなのはかわいい」
という思想で作ってそうなダンジョンRPGの続編だ。
レビュー書いてて思ったけど定価7000円越えなんだなぁ……。
汚染された滅びた世界で、
人類最後の生き残りであるトリコさんという女の子をお世話しながら、
様々なダンジョンを突破していく内容となる。
すべてが壊れた世界の上で、キミは少女をどう愛でる？『void tRrLM(); //ボイド・テラリウム』レビュー！【PS4/Switch/PC】 - 絶対SIMPLE主義
前作レビューはこちら。
ゲームとしては微妙だけど雰囲気やコンセプトは好きだったので続編も購入。
しかしシナリオは強引でシステムは進歩が無く、
無理矢理続編出したような内容だった……！
前作はトリコさんを犠牲に人類復興を目論むクラウドAIと戦うストーリーで、
エンディングは犠牲にするかしないかで分岐。
本作はクラウドAIを倒したエンディングの続きとなる。
前作ラスボスをぶっ倒し、
主人公のロボットさんとサポートするファクトリーAIは、
再びトリコさんのお世話に戻ったが……。
トリコさんの体がどんどん朽ち果て、手がちぎれたりする症状が発生し始める。
情報収集のためにダンジョンを探索したり、
「VR空間」で人類の過去を探ったりとしていくうちに
明らかになるトリコさんの「やりたいこと」。
ロボットさん達はトリコさんを救うことが出来るのか？
というストーリーだ。
前作で残った謎である
「トリコさん、どう考えても普通の人間じゃないけど何者なの？」
というのが話の軸になっている。
基本的な内容は前作と同じ。
ダンジョンで素材や食料を集めて
トリコさんに与えたり、住居であるテラリウムを豪華にしながら、
様々なクエストをクリアしていく構成だ。
新しい家具やコスチュームが増えていたり、
複数のテラリウムの管理が可能なっているのが続編らしいところ。
今回もテラリウム作りはメインシナリオにそこまで絡まないので、
プレイヤー好みに飾り付けられる。
ダンジョンパートは、
『トルネコの大冒険』辺りから続く昔ながらのターン制ローグライクRPGだ。
レベルアップ時にランダムで覚えるスキルを取捨選択して、
自分ならではの最強キャラを目指したり……。
素材集めてテラリウム作りに使う家具と、
基礎ステータスが永続でアップするのでやればやるほど楽になるなど、
最近のローグライクっぽい仕様も盛り込まれている。
「ロール」という職業アイテムをセットすることで、
出現するスキルの傾向を弄ったり、
レベルアップ時に出現するスキルの数を増やせたりも出来る。
つまり繰り返しプレイしてステータスを底上げしつつ、
スキル運をプレイヤー好みに弄り、
強キャラを作り上げて無双するのを目指すシステムって感じかな。
そして「お世話ダンジョンRPG」なので、
ダンジョンに潜ってる時でもトリコさんのお世話をする必要がある。
ごはんを与えたりトイレを掃除したり……。
たまごっち風の画面じゃないと許されない表現！
時間経過で減っていくトリコさんの体力がゼロになったらゲームオーバーだ。
前作同様、トリコさんは環境が悪かったり、
汚染された食べ物を与えて汚染レベルが高まったりすると、
病気になってしまうことがある。
そうなったメインストーリーを中断して、
治すためのアイテムを探すことにあるぞ。
病気は体がねじれたり、腕がちぎれてしまったり、
骨が見えるまで自分に噛みついたり、
風船みたいにパンパンに膨れたり、ミイラみたいに干からびたり……。
酷い症状ばっかりだが全部に専用のグラフィックがあるし、
新しい病気が追加されているのが続編の最大のポイントだ！
日本一ソフトウェアはさぁ……女の子をかわいそうな目に合わせるのが好きな人？
好きな人だったわ。
前作はトリコさんの食料に「黒光りする虫」があり、
食べさせると嫌な顔をされたりしたが今回も健在。
ファクトリーAIの
「いや～～～トリコちゃんが好物の黒光りする虫をおいしそうに食べる姿は
いつ見てもいやされますね～～」という畜生発言が飛び出すイベントもあるぞ！
やっぱりこいつ破壊した方が良いんじゃないか？
トリコさんに黒光りする虫を食べさせるか、
それとももうちょっとマシそうな缶詰とかを探すか……。
それはプレイヤー次第！というゲームである。
ちなみに今回やたら「黒光りする虫」推しで、
イベントで何度も出てくるし、ダンジョンで巨大なヤツとバトルすることもある。
巨大なヤツは動きが全盛期の『ブレスオブファイア』並みに気合が入っていて、
苦情が来たのでアプデでフィルター機能が実装されました。
上の画像はフィルターONです。
フィルター無しの姿は君自身の目で確かめてくれ！
そして新たに行けるようになったVR空間では、
現実世界では既に滅びた人間たちが生活している。
ここで様々なサブクエストを受けられるのが新要素。
前作では分からなかった滅亡寸前の人類の様子が分かるし、
このドット表現じゃないとZ指定喰らいそうなイベントもあるぞ！
そういう攻め方は良し。
という続編になっているが……。
新要素が少ないため、プレイの感覚は前作から変わらない。
同じ種類の武器を使っていくと熟練度が上がってダメージがあるとか、
「不思議の小部屋」というボーナス部屋が出現するようになって、
ランダムで大量のアイテムが手に入ったり
装備の合成が出来たりするとか、
メインストーリーが進むと一部ダンジョンのスキップが可能とか、
改善&強化点はあるものの、
「ゲーム進行が作業的かつバランスが大味」という点は前作と一緒だ。
普通にステータスを底上げしながら進むだけで、
主人公がめっちゃ強くなっていくので、
序盤過ぎたくらいからほとんど負けなくなる。
ザコ過ぎるザコを散らしながら同じダンジョンに何度も潜り、
目標のアイテムを取ってくる作業を延々繰り返すだけになる。
死ぬほど見辛いダンジョンのグラフィックもまるで改善されてねーッ！
地形のグラフィックが無駄に凝っているので
どれがモンスターでどれが床でどれがアイテムなのか一目で分からない！
サブクエは「ダンジョンの〇〇階に落ちてる〇〇を取ってこい」
「〇〇というモンスターがたまに落とす○○を〇〇個集めろ」
の繰り返しだし、トリコさんの病気を治すのも面倒になった。
前作は病気が発生すると病気用のミニダンジョンに潜るだけだったが、
今回は通常ダンジョンをあちこち回ってアイテムを集める必要がある。
病気を治すアイテムは病気にならないと出現しないので、
普段から病気に備えておく……というプレイは不可能だ。
最近の日本一ソフトウェアがよくやるボリュームの水増しを感じるぜ！
ストーリーもちょっと微妙だった。
今回もエンディング2種類なんだけどどっちも納得いかない……。
前作のエンディングは「かわいそうなのがかわいいよね！」
「プレイヤーはトリコさんをどうしたい？」を貫いた2択で、
その選択が正解かどうかはプレイヤーの想像と解釈に委ねられていた。
まず「トリコ」というキャラが笑ったり泣いたりはするけど
喋らなくて何を考えているかは分からない。
だからプレイヤーが自分の解釈で愛を注いで可愛がる。エンディングもそう。
そこが前作で一番好きなところだったんだけど、
今回はゲーム側からエンディングで「TRUE」「false」とハッキリ言われてしまう。
しかも「false」は「その行動はプレイヤーのエゴだよ」ってことなんだろうけど、
「TRUE」側の流れが強引過ぎて、
本当にこれが「TRUE」であっちが「false」なの？
とモヤモヤしたまま終わってしまう。
これは今回のシナリオで重要な「VR空間」が
最後までよく分からん場所なのが問題だったと思うなぁ。
現実世界の物資を持っていくことが出来るし、
謎のパワーで現実世界に大きく干渉してくることもある。
どういう場所なんだ……。
サブクエ全部クリアしてエンディング2つ見るまでやって30時間以上。
強すぎる主人公でザコ散らしてアイテム取る作業が大半だった。
システムはそこまで進歩が無くてダルい部分が増えているし、
ストーリーは続編のために無理矢理ひねり出したような箇所が目立つ。
前作譲りの雰囲気とBGMの良さや、
トリコさんの胸が締め付けられるようなかわいさ、
えぐい展開もあるサブクエストなどは楽しめたけど、
全体的には微妙な続編だったぜ！
「こういう状況のトリコさんに何をしてあげられるか」
を考えるシナリオは好きだったんだけどね。
「TRUE」から続く3作目はあるんだろうか……？
