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【レビュー】異世界描写が超絶すごい!あとは前作以上に空虚!『クレヨンしんちゃん『炭の町のシロ』』【Switch】

 

クレヨンしんちゃん『炭の町のシロ』 | ネオス株式会社

 

『クレヨンしんちゃん『炭の町のシロ』』のレビュー行くぜ!

 


パブリッシャー:ネオス

機種:Nintendo Switch

ジャンル:冒険アドベンチャー

発売日:2024/2/22

価格(税込):6980


 

株式会社ネオスが『オラと博士の夏休み』に続いて送る、クレヨンしんちゃんゲーム第二弾だ。秋田の村と異世界にある炭の町。この二つを行ったり来たりしながら冒険するアドベンチャーゲームになっているぞ。

 

『ぼくのなつやすみ』シリーズを手掛けた綾部和氏が今回はスーパーバイザーとしての参加だったり、メイン開発が前作から変わって株式会社ハ・ン・ドになっていたりと、開発体制はかなり変化している。

 

前作はこのブログでレビューしているが……。

 

 

最高のクレしん×夏風景!しかし空虚さも……「クレヨンしんちゃん 『オラと博士の夏休み』 ~おわらない七日間の旅~」レビュー!【Switch】 - 絶対SIMPLE主義

 

雰囲気は最高だったけどシナリオが破綻してたり、システムにも粗が目立ったりと気になるところは多かった。今回は前作の取っ散らかった部分や分かり辛い部分を整理してシンプルな作りになっている。が、その結果尖った部分も無くなって淡々と進むゲームになってしまった。

ゲーム部分の薄味さ凄かったぜ!

 

 

辞令で故郷の秋田に転勤となり、古民家を借りて滞在することになったひろしと野原一家。隣人たちと秋田での生活を楽しむしんのすけだったが、ある日シロに連れられて不思議な電車に乗り、どこか懐かしい「炭の町」へとたどり着く。

 

というストーリーになっているぞ。

しんのすけが秋田の古民家で目覚めるシーンから始まるので導入がめっちゃスピーディである。

 

 

仕事でソウルフード探しに秋田までやってきたひろし。

ひろしに新しい食のサービスとか言われると「昼飯の流儀のことかな……」と思ってしまう。

 

 

今回もメインストーリーを追いながら、寄り道で虫取りや魚釣り、野菜の栽培やミニゲームを楽しむ構成で、様々なサブイベントが用意されている。

前作同様、美しい背景美術で表現された大自然を、見事に3D化された「アニメそのままのクレしんキャラ」が動き回る画作りが圧巻だ。

 

 

もちろん今回もダッシュ操作がケツだけ星人!

雄大な田園風景を爆走するケツだけ星人の勇ましい姿を堪能できる。

 

 

町を歩き回ってると時間が過ぎていき、朝と夜には家族揃ってご飯を食べる。この制作スタッフではお馴染みの、毎回食べるものが変わる演出も健在だ。

日数制限や時限式のイベントなどは無いのでゆったりと遊べる作り。前作はマップが少し入り組んでいたが、今回はそこら辺も分かりやすい作りになってるね。

 

 

昆虫狂いのカズコさんというヤベー人がおり、集めたものを渡すと図鑑が完成していく。

 

 

図鑑はカズコさんが描いてくれるけどプロの仕事過ぎる……。何者だよ!?

 

 

そしてシロに連れられてやってくる炭の町は背景美術がバケモン過ぎて度肝抜かれる。

 

 

湯浅監督がやってた初期の劇場版クレヨンしんちゃんと比較しても負けてないぞこれ!?しんのすけ目線のカメラワークとか町の導線がまた上手いんだわ。

 

 

この路地裏のパースのかけ方とかセンスの異次元迷宮で鳥肌立つ。

3Dキャラと2D背景の融合は前作から更に磨きが掛かっていて、手放しに絶賛出来る素晴らしさだ。誰も見たことが無いクレヨンしんちゃんゲーム!

 

作品履歴 | アニメ,・ゲーム背景画(背景美術)制作会社Y.A.P

 

美術制作したY.A.Pの公式サイト見たら実績が百戦錬磨にもほどがあった。

 

 

しかしゲームとしては「素材アイテムの〇〇を〇〇個持ってこい」のおつかいイベントをひたすら繰り返す構成で非常に単調。本当に最初から最後までおつかいを繰り返すだけだ。

素材アイテムはあちこちに落ちており、画面を切り替えるとランダムで復活する時があるため、ひたすら画面切り替えて素材を集める作業がゲームの大半となる。

メインストーリーを進めるだけでも、結構な数の素材が必要になるので高まる作業感。

 

 

いらない素材は日替わりで入れ替わる掲示板で交換することになるが、それでも大変。

 

 

ストーリー自体も薄い。

大半のNPCがおつかいイベントを振ってくる駒でしかなく、掘り下げになるイベントは「俺、イベント5個くらいすっとばした?」と言いたくなるくらい唐突に関係性が進む。

前作の魅力だったクセが強くて印象に残るセリフ回しや、「毎日やるラジオ体操」「町を闊歩する恐竜たち」みたいな強烈なイベントが全部無くなっているから、おつかいイベントとの合わせ技で虚無感が強い。

 

 

「かすかべ防衛隊のそっくりさん出してお茶を濁すやり方から脱却したか!」

と思ったら序盤以降は完全空気のマガランジャーゼットとか悲しくなったよ!

 

 

しんのすけがシロに連れられて不思議な町にやってきた!待っていた謎の少女に天才美少女発明家!というワクワクする流れなのに、なんかフワッとおつかいイベントで町の手伝いする流れになるし……。

 

 

「無駄を無くす」を追求して炭の町を壊す今回の悪役ダンシャーリ。

イッちゃった目付きとネーミングは最高だが、こいつも意外と出番が少なく掘り下げが唐突。前作の「あくの博士」は序盤から出てきて話を引っ張るし、あの「心から悪人にはなれなかった寂しい人」感がめっちゃ好きだったんだけどなぁ。

すべては、一瞬のできごとであった……!

 

2時間の映画にしたら良作になれそうだったが、10時間のゲームにしたので全部ダメってシナリオだったなぁ。特に最終決戦からエンディングの流れは映画だったら上手くまとまりそう。

 

 

集めた食材で新メニューを作るイベントは、同じ素材集めでも個性的な料理のビジュアルもあって楽しかった。秋田の食材を使って炭の町で料理を作る構成で、片方の町でレアな食材がもう片方ではありふれていたりと、2つの世界であることを活かせてる。

 

 

今回の目玉ミニゲームであるトロッコレースは、ブレーキ操作によるスピード調節で遊ぶレースゲーム。

 

 

お金や素材を集めることで買えるカスタマイズパーツで、加速やカーブでのミス無効や、敵への攻撃などが可能になる。どんどんゴテゴテしていく見た目も含めて、ミニゲームとしては凝っててそこそこ良かったかな

 

 

クリアまで10時間ほど。

新次元の画作りと、歌詞もメロディーも絶品な主題歌『磁石でいうとNとS』は120点だが、トータルでは前作の方が好きだった。

町から無駄を無くす過程で魅力まで壊すダンシャーリに抵抗するストーリーだったが、このゲーム自身、続編として無駄を無くし過ぎて良さまで消えてしまってる。

 

前作に続いて「ちょっと期待し過ぎたか……?」という感想に。

試行錯誤してるのは伝わってくるので3作目こそ期待!次は普通にこのクオリティでカスカベが舞台の新作を待ってるぜ。