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【レビュー】金子彰史の初期作!パワーアップしたリリカルRPG続編『天使の詩II』【PCエンジン/Switch】

 

天使の詩COLLECTION | テレネットリバイバル

 

Switchソフト『天使の詩COLLECTION』に収録されている『天使の詩2』のレビュー行くぜ!

 


パブリッシャー:日本テレネット

機種:PCエンジン/Switch

ジャンル:リリカルRPG

発売日:1993/3/26(PCエンジン)2024/9/25(Switch)


 

1993年にPCエンジンで発売されたRPGで『天使の詩』の続編だ。

今回も豪華スタッフ。1991年に発売された前作では企画補佐だった金子彰史がディレクター・脚本を担当しており、BGMはなるけみちこが続投。声優は矢尾一樹に山本百合子などなど。『ワイルドアームズ』のプロトタイプとして語られることもある作品だ。

 

キャラデザは前作の冨士宏(ワルキューレの伝説)から結城信輝(天空のエスカフローネ)に変わっているのでかなり雰囲気が違うぞ。

 

 

ストーリー繋がってる作品でここまでテイスト違うのは珍しい。

 

前作レビューはこちら。

 

【レビュー】豪華スタッフで送るケルト神話RPG!『天使の詩』【PCエンジン/Switch】 - 絶対SIMPLE主義

 

やはり1993年のRPGなので今だと面倒な部分もあるものの、前作から大幅にパワーアップしていて満足度は高かった!終盤の盛り上がりは名作の貫禄あったぜ。

 

 

舞台は前作とは別時空の地上界。

主人公はノリが軽くて女好きな青年フェイトで、記憶喪失の女の子リアーナを助けたことから大冒険が幕を開ける。スタート地点の村が焼かれて旅立つことになるとか、親友のシオンがこじらせて色々大変なことになるとか、ヒロインが色々凄い力持ってて世界の命運を左右するなどめっちゃ王道!前作同様に光と闇の戦いを描きつつ、カルト教団や民族差別などヘビーな要素も盛り込まれている。

人間は愚か!いやそれだけではないはず……!をストレートに描く王道シナリオ。

 

 

ゲーム開始直後から絶対悪いヤツだろ!感が凄いダーク教団。実際かなり悪い。

 

 

RPGとしては前作同様にオーソドックスなドラクエタイプのRPG。システム的に大きな変更は無いものの、細かい部分で改善点が多い。

 

前作はアイテム欄が1キャラ8枠というドラクエに近い形式で制限が厳しかったが、今回はアイテム欄が統一されて持てる数も大幅に増えた。回復アイテムをちょっと持っただけで、アイテム欄がパンパンになるようなことは無い。一度訪れた街にワープする魔法も登場したし、戦闘は使う行動のON/OFF設定が可能なオートバトル機能が便利。

 

 

重要な情報が保存されるメモ機能は、ゲーム進行に合わせて仲間と相談する機能になり、各キャラの掘り下げや世界観への理解が深まる。こういうのは細かくチェックしたくなるね。

 

 

魔法の効果説明がゲーム内に無く、名前が頭にスッと入ってこないから混乱するのは前作同様だが……。とりあえずアプシャル(バイキルト)とラスタム(ルカニ)とルバリド(スクルト)とルシール(マホトーン)でなんとかなるぜ!

 

この時代のRPGなのでやはりザコ戦をひたすらこなすゲーム展開だが、前作に比べるとめんどくさいダンジョンは少なくなったし、大味なバランスも大分改善されてテンポが良くなっている。使うと魔法の効果がある装備アイテムをフル活用して、MPを節約しながら着実に進む作りは結構好き。

 

乗り物が手に入ると一気に世界が広がり、各地の探索やサブイベントで、最強魔法や強力なアイテムが手に入るという、この時代のRPGらしいワクワク感も健在だ。

 

全滅するとセーブしたところからやり直しなのでそこは難易度上昇している点で、ラストダンジョンも手強い。敵から全然逃げられないし、即死攻撃を使うザコがバンバン出てくるし、長いのに前のフロアに戻される罠もある。

まあ、チェックポイントがいくつか用意されてるので手心はある構造だ。

 

 

前作に比べると仲間キャラが増えて入れ替えが激しく、関連したイベントで見せ場もあるシナリオの密度が濃い。状況が次々に変わるから遊んでいて続きが気になるし、一度抜けた仲間が再加入すると、装備アイテムが強いものに更新されてるのもありがたい仕様だ。たまに裸一貫で再加入するヤツもいるが……。

 

 

ダーク教団を信じる親友のシオンはいったん仲間から離脱し、「お前それやったらもう仲間には戻れないだろ……」というやらかしをするが、それを理由に仲間に戻れない展開をやるのがちゃんとしてる。

 

 

王道の記憶喪失ヒロインであるリアーナはデモシーンの作画が良すぎる……!

 

 

作画の良いデモシーンが豊富なのも前作からパワーアップした点だ。

 

 

前作と別次元が舞台だが、中盤からドラクエ3的な感じでガッツリ前作と繋がり、前作主人公であるケアルも登場!テンション上がって来た!

 

 

って、本当に同一人物なんですか!?キャラデザ変更にしても凄い変わりっぷり。

前作エンディング後に呪いを受けて死ねない体になり、孤独に100年間戦い続けたという衝撃的な展開で、それならこのくらい逞しくもなるか……。しんみりしてきた。

 

 

ボスキャラもかなりクセの強いキャラ揃いで、謎の殺し文句で登場する敵幹部のバラヴァとは何度も戦うことになる。

 

 

一度負けてモンスターと合体して再登場した時はこのセリフ!

 

 

どんどんキモい造形になっていくのがいいボスキャラしてる。

 

 

前作ほどではないが、街にあちこちにパロネタが仕込んであったり。唐突に南斗水鳥拳を出すんじゃない!

パロネタを除いても街の住人のテキストは凝っていて、街の探索が楽しいのは長所。

 

 

『天使の詩』と言えば各町にセーブ用のお姉さんがいるのがお約束だが、ゲームが進むとどんどん動きが変化球になってくる。セーブするとバク転する、看板を調べると画面外からすっ飛んでくる、雪だるまの中に潜んでる、カメの着ぐるみを着て回転して空を飛ぶガメラネタなどなど……セーブポイント大喜利状態だ!どれも妙にドットの動きが細かいのが笑える。

 

 

クリアまではいつでもセーブ&ロード機能を使って15時間くらい。

Switch版はエディアの移植なのでフルプライス取る癖に便利機能がいつでもセーブ&ロードしかなく、前作からパワーアップしてるとはいえ、今遊ぶのは色々と面倒だ。

 

それでも前作との繋がりが濃くなってくる辺りからシナリオが一気に盛り上がるし、辛い道程を乗り越えた後に待っているラストバトルの燃えっぷりと、前作を踏まえたあまりにも綺麗なエンディング、それを彩るなるけみちこの名曲を堪能した後だと「名作!」と言いたくなった。前作よりノリノリになった通常BGMの時点で「おっ!」と思えるのに、ラスボス戦のBGMでそれを更にアレンジしてくるのが最高だぜ!

 

節々の「人間」を描くテキストと、サブタイトルである「堕天使の選択」の意味が分かる展開は印象的だし、前作主人公であるケアルの戦いに決着が付いたのもしみたなぁ。完全初見プレイだったけど満足。

 

この後は三部作完結編であり、PCエンジンではなくスーパーファミコンでリリースされた『天使の詩 白き翼の祈り』の移植版が控えてる。移植予定があるので、そっちも来たら遊ぶぞ!