ガールズメイドプディング | 神椿物語研究開発部 KAMITSUBAKI STORY R&D DIV
『ガールズメイドプディング』のレビュー行くぜ!俺がプレイしたのはSwitch版ね。
パブリッシャー:KAMITSUBAKI STUDIO
機種:Switch/PC
ジャンル:ガールズトーク・ツーリングADV
発売日:2025/4/10(Switch)2025/4/9(PC)
価格:1200円
「誰かに見られていないと消えてしまう」
という現象が発生し、人間が消えていく世界を女の子二人がバイクで旅するADV。消えてしまわないように、2人は視線と言葉を交わしながら、誰もいない街をどこまでも走る。
旅を続けるうちに世界の謎も少しずつ明らかになるけど、メインの目的は「思い出のプリンが食べたい!」。ひたすら他愛のないガールズトークで進行するゲームだ。
システム甘いところもあったが、雰囲気全振りのゲームとしてしっかり楽しめたしテキストも良かったぞ。
主人公の一人であるスミビ。
行きつけの喫茶店で食べたプリンを、もう一度食べたいというのは彼女の発案だ。プリン頭なのは意識してるところだろうか。
その喫茶店で働いてたのがもう一人の主人公であるニコミ。
オーナーの趣味で店員がメイド服を着ている喫茶店だったので、文明崩壊後もそのまま猫耳メイド服だ。
あまり社交的ではないスミビと、明るくマイペースなニコミのお喋りがシナリオの軸。現状と目に映る風景を踏まえたスミビの独白と共に、これからどうするかの話や喫茶店の思い出話、世界についての話、どうでもいい雑談などをゆるく展開していく。
「誰かに見られていないと消えてしまう」ってことは、2人ともずーっとお互いを見てるの?寝る時も?という疑問に関してもちゃんと答えてくれます。詳しくは君たちの目で確かめてくれ!
旅の途中では「何故か消えていない人」と出会うこともあり、彼女たちの物語と共に世界の謎が少しずつ明らかになっていく。
本作の独自性と魅力の大半を占めているのが「バイクを走らせるとテキストが進む」という表現。しばらく走ってるとテキストが次に進むし、止まるとテキストも進まなくなる。進む速度はオプションで調整も可能だ。
プレイヤーの操作に合わせて会話が進み、流れていく景色と合わさり物語になる。「ボイスが無いゲーム」だからこその表現。拾ったカセットテープで好きな曲を流せる要素があり、最初に再生するのが主題歌という演出は痺れた!
ゲームとしてはランダムで順番が変わる一本道のマップをひたすら進んでいくゲームで、「話題」に関連した条件を満たすことでシナリオが進行していく。
特定の料理を作る、特定のマップにたどり着く、特定の場所を調べるなどなど。
ステータスとしてゼロになったらアウトの空腹、正気、体力に、廃屋の探索で食糧や道具集め、ランダムイベントなどのサバイバル要素もある。
が、これらは完全に雰囲気作りのためのシステム。適当に走ってるだけで食糧が捨てるほど手に入るので、まったく食い物に困らない。
食糧を組み合わせて作れる料理も数十種類。
カレーにハンバーグに寿司、シーザーサラダ、チョコレートケーキ、チジミ、おはぎまで多種多様だ。ポストアポカリプス作品とは思えない飽食っぷりだ。
ドラえもんが同行してるのか?中にカツ丼が入ってるカブを出せ!
「正気」のステータスは甘いものを食べたり、偶然遭遇した猫を撫でたりすると回復する。ポストアポカリプスの世界で猫を撫でまくり正気を保つのだ!
そんなわけでゲームとしては単調なのが難点。
同じような景色を走って、作業的に食糧をかき集めてステータス回復を挟むだけ。ステータスの減少率はいつでも選べる「NORMAL」「CASUAL」「STORY」の3つのモードで変化するが、ステータスがまったく減少しなくなる「STORY」以外を選ぶ意味がまったくない。
物語を進めるために特定の料理を作らないといけないのはまあ良いとして、ランダムでマップが変化する一本道を進むゲームなので「特定の場所に着く」「特定の建物を調べる」がやや面倒だ。
使うとマップをすっ飛ばせる燃料アイテムがいっぱい拾えるので、基本的には困らない。しかし条件の1つである「小屋を調べる」「研究所を調べる」が分かり辛い。上の画像が小屋なんだけど、どのマップに出現するか教えてくれないし、初見だと見た目も分からないのだ。
雰囲気ゲーとして割り切るにしてもシステムの詰めが甘く、細かいところでテンポ悪くなるのは惜しいところだったね。
ここは完全に好みの話だが、エンディングMV(公式チャンネルで公開してるので触れる)について。映像も歌詞もゲーム内の旅を落とし込んでいて出来が良いけど、エンディングで流すには空気違くない!?という感想だった。ちょっと余韻が薄れちゃったなあ。
クリアまで4時間ほど。
システム面で甘さはあるし、ゆるい会話がひたすら続く空気感が好みかどうかになるんだが、世界の終わりのガールズトークADVというコンセプトとテキストに関しては満足だ。
弱火で煮込むように温まる二人の関係。現代社会の戯画化とも言える世界の謎と、一時的に旅が交わることがあってもそれぞれの道を行く人々。すべてが二人の物語に収束していく構成が胸にしみる。
コンセプトが刺さったら買いでOKだぞ!