『Cling to Blindness 目隠し必須ホラー』のレビュー行くぜ!
パブリッシャー:PLAYISM
機種:PC
ジャンル:目隠し必須ホラーゲーム
発売日:2025/11/7
価格(税込):690円
『7 Days to End with You』を手掛けたLizardryの最新作だ。
サブタイトル通り、目隠しをして音だけでプレイするホラーゲームになっているぞ。
ありそうであんまり無かったタイプのホラーゲーム。
かつて発売された音だけのADV『リアルサウンド ~風のリグレット~』の続編で、発売中止になった『霧のオルゴール』がホラーゲームだったらしく、ちょっと思い出した。
発想は面白かったんだけど、シナリオとシステム共にちょっと詰めが甘く、一発ネタの域は出なかったな。

主人公はとある儀式に挑戦することなったサツキ。
目隠しをしたまま歩き回り、追いかけて来る「あしおとさん」を振り切って5枚のお札を集めるストーリーだ。
サツキの声は伊瀬茉莉也さん、協力してくれる案内役さんの声は三石琴乃さんが担当。音だけのゲームだけあってしっかり実力派の声優さんを呼んでいる。
案内役さんが「こっちよ!」とかサポートしてくれるの、めちゃくちゃ「行きなさいシンジくん!」の時のミサトさんを思い出してしまう。

音だけのゲームなのでヘッドホンやイヤホン必須の作り。
操作はマウスのみで、マウスを左右に動かして向きの変更、左クリックで前進、止まっている時に右クリックで聞こえる音の切り替えとなっている。
お札に取り付けられた風鈴の音を頼りに進んでいくが、こちらを追尾してくる「あしおとさん」に掴まったらアウトなゲームだ。風の音や水の音、虫の羽音などで惑わされる。個人的には虫の羽音が一番キツかった。普通に歩いていても焦らされるのに、壁で道が区切られている箇所もあるからたまったもんじゃない!壁くらい破壊しろと言いたくなるぜ!
難易度はそこまで高くなく、マップの構造も単純なので、落ち着いてプレイすればそこまで迷わないぞ。落ち着いてプレイ出来ないように色んな音をガンガン鳴らしてくるんですがね。
いきなりデカい音を出してビビらせる箇所はなく、こちらに少しずつ近づく「あしおとさん」のピタピタした足音でプレイヤーを追い詰めて来るホラーになっている。
キーボードのPキーを押すとペンギンモードになり、足音がポヨポヨしたコミカルなものになるんだが、捕まったらアウトなのは変わらない。近づいてくる怪異が、近づいてくる殺人ペンギンに変わったくらいの感覚である。
オプションで視覚補助ONにすると画面にセリフ字幕と現在位置とゴールが視覚的に表示されるので、どうしても分からない時は使う手もあるし、他の人と一緒に遊ぶ時にも有効。これを使ってゲーム実況して、コメント読み上げONにすると面白そう。第三者が方向を指示するからスイカ割りみたいになる。一人用のゲームだけどこういうところは上手い作りだ。
Cling To Blindness 目隠し必須ホラー | Game | PLAYISM公式サイト
公式サイトで目隠しの素材を配布しており、実況配信でガンガン使ってくれよな!という意気込みに溢れている。検索するとサムネにこの素材使った実況がいっぱい出て来るぞ。上手くやったな!
ただ、ゲームとしては一本調子であまり変化が無く、ストーリーが面白ければ良かったがこちらも捻りが無い筋書き。主人公の人物造形は短編ホラーとして起伏を出すためにアリだと思うんだけど、終わり方に捻りが無いから「喋りがなげー!」って感情が強くなってしまった。
登場人物のセリフが一言終わる度にマウスクリックで進める必要があるが、タイミングが分かり辛い。音だけのゲームだからボイスはオートで進むようにすれば良いのに、なんでこんな仕様になっているんだ?

クリアまでは1時間~1時間30分。
かなり神経を使うゲームなのでちょうど良いボリューム。
リアルな音響で音に導かれ、音に振り回される構成はかなり面白いが、低予算さを感じるシナリオとシステムはどちらももう一歩。悪くは無いがオススメするほどでもない……くらいの感想だった。ホラーゲームというより、複数人でパーティゲームとして遊んだ方が面白いかも。
音響に振り回される感覚を体験する価値はあると思うので、興味があるならサクッと遊んでみてくれ!