PS3「月極蘭子のいちばん長い日」のレビュー行くぜ!
SHORT PEACE 月極蘭子のいちばん長い日 | バンダイナムコゲームス公式サイト
「月極蘭子のいちばん長い日」は1月17日にバンダイナムコゲームスから発売されたPS3用ソフト。
ゲームだけど、オムニバス短編映画「SHORT PEACE」の5番目の作品であるという位置づけで、
SHORT PEACEとの同梱版でのみの発売となっている。
SHORT PEACE単独でのBDが6090円。
SHORT PEACEと月極蘭子をセットにしたハイブリッドBDディスクが6980円。
なので、月極蘭子自体は映画のオマケについてくる900円くらいのゲームということになるか。
単品販売が無いからこの表現も難しいところではあるんだけども。
SHORT PEACE本編の感想はこっちね。この記事はゲームに関してだ。
本作は原作/脚本/総合ディレクターがグラスホッパーの須田剛一。
開発はトーキョージャングルでお馴染みのクリスピーズ。
販売はバンダイナムコゲームスだ。
須田51×クリスピーズ×バンナムによる低予算ゲーム!
正直言ってかなり覚悟を決めて買ったが……まあ、悪くは無かったぜ。
ちなみにこのゲーム。
男性キャラの声はすべて鈴村健一。
女性キャラの声はすべて内田真礼となっております。
ジャンルは横スクロールの2Dアクションゲーム。
操作はアナログスティックで移動、スティック下でスライディング、
×ボタンでジャンプ、×長押しでホバリング、壁に張り付いて×で壁を蹴ってジャンプ、
□で剣による攻撃、R1かL1でショットだ。
ルールは単純で、敵を倒し、障害物をジャンプで飛び越えながらゴールを目指す。
後ろから秘密結社という、
プレイヤーにも正体が秘密でなんなのかよく分からない連中が追ってくるので掴まるとアウト。
敵を倒すと溜まるゲージで撃つショットで一時的に追い払えるので、
出来るだけ敵を倒しつつ先へ進む必要がある。
ボスと戦うボスステージも存在。
こちらは画面上へ進みながら時々接近してくるボスを倒すステージだ。
つまんないシューティングステージもあるぞ!
須田51は自分の作るゲームに
面白くないシューティング面を入れないといけない死ぬ呪いでも掛けられてるんですか?
前世からの因縁か何かですか?
非常にオーソドックスな横スクジャンプアクションだね。
敵を倒した時のエフェクトには敵への攻撃判定があるので、
一撃をザコ敵をまとめて吹き飛ばしたりも出来る。
発売前は「エフェクトで敵を倒す斬新なゲーム」とか紹介されてたが、
簡単に言うとザコを倒した爆風で他のザコを巻き込んで倒せるゲームなので別に全然新しくない!
ステージは多少分岐があるが基本的には右に進むだけ。
ボス以外はほとんど初見でクリア出来る難易度でステージの数も少ない。
やり込み要素はステージのどこかにあるギフトボックスを回収したり黄金の敵を倒すなどの条件を満たすと、
エクストラで設定資料を閲覧できるようになっていくくらい。
主人公のコスチュームを着替えられる要素もあるんだが、
着せ替えが適応されるゲーム中に主人公がアップになるシーンがまったく無いから実感わかない。
攻撃パターンを見切っていくボス戦などは古き良きアクションゲームの楽しさがあると言えばあるが……。
純粋にゲームとしてはあんまり見るところは無い。
ストーリーは神風動画による3Dムービーで語られる。
主人公の月極蘭子は日本の月極駐車場を支配する月極財閥のお嬢様。でも実は暗殺者!
夜になると制服を脱ぎ、白いドレスに身を包んでターゲットを暗殺しに出かけるのだ。
「日本中に死ぬほど存在する月極駐車場は、実は月極グループという名前の企業が管理している」
というギャグからの設定なんだが、それを生かして蘭子の住んでる場所も駐車場!
特殊なキーでロックを解除すると駐車場の入り口に玄関が出現し、そこから入る。
中には車に混じって「居間」「玄関」などと書かれたコンテナが設置されていて、
その中を飛び回りながら着替えていくオープニングはかなりワクワクする。
もちろんお嬢様なので内装は超ゴージャス。
そんなオープニングから始まるストーリーは……ムチャクチャだ!
最初のステージで会話デモみたいなのが始まって
「あれ?メッセージをボタンで送れない?」って思ったら
いきなり画面にL字で「これはアニメの一部です」みたいな注意書きが出たり。
3Dのムービーがいきなりマンガみたいになったり、
話がいきなり別のジャンルになったり、別の画風になったりとノリと映像表現がコロコロと変化。
超展開の連続で、ハッキリ言って登場キャラで素性の分かるヤツが1人もいねーぞこれ!
主人公はなんでお嬢様なのに殺し屋やってるの?って部分もイマイチよく分からないし
(そういう細かい部分がどうでもよくなるムチャクチャっぷりなんだが)、
主人公の友人もそのアニキも正体不明だし、敵もなんなのか分からない連中ばかり。
須田51なので謎のマスクマンも出てくる。
素性が分かるのはパッケージの一番目立つ場所にいるキララ(ピンク髪のキャラ)くらいかな。
お前なんでそんな良いポジションにいるの?!脇役じゃんよ!
正体不明のキャラが次々に出て来て説明無しの唐突な展開を繰り広げる。
「これは超展開というより単に支離滅裂なだけ!」と言われたら反論は出来ないぜ!
エンディングで「うーん、○○ってことなの?」って推測は出来なくもない話ではあるけども……。
ムービー含めてもクリアまで1時間掛からないボリューム。
めんどくさいやり込み要素を全部こなしても+2~3時間程度だろうか。
主人公が剣を使う殺し屋で、覆面レスラーが出て来て、
8bitオマージュがあって、面白くないシューティングステージがあって、
キャラデザがコザキユースケで、萌え要素だかなんだかよく分からない要素があって、
超展開の連発で最後は投げっぱなしでと。
振り返ってみると最近の須田ゲーの特徴は全部入ってるなー。
低予算ゲームとして作れる範囲内で全部詰め込んでる感じ。
「映画のBDのオマケゲーム」と割り切った上で、バカゲーが好きならまあ楽しめるかな?という1本。
良くも悪くも予想のつかないハチャメチャなムービー。
なんとなくそれっぽい蘭子のエンディングでの語り。無駄に能天気なスタッフロールとエンディングテーマ。
この辺は気に入ったので個人的にはそこそこ楽しめた。
サウンドセレクトやムービーセレクトがあるのもありがたい。
オススメするほどではないし、買おうとすると映画BDとの抱き合わせしかないのが難点だが……。
1000~1500円くらいのDLゲームとして単品販売もするか、
いっそ最初から映像作品として出すかすればよかったかも。