絶対SIMPLE主義

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3DS DLソフト「カスタムモンスターズ」レビュー!アイデアとノリは良いが極めて大味!

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カスタムモンスターズのレビュー行くぜ!

カスタムモンスターズ | COLLAVIER 公式

カスタムモンスターズはコラビエが9月3日に800円で配信した3DS DLソフトだ!

モンスターを召喚して戦うタワーディフェンス!

タイトルの略称は公式で「カスモン」なのでみんなも使っていこう。

コラビエといえば「コミック工房」や「お絵描き工房」などのお絵描きツールソフトや、

アーテインがかつて発売したDSソフトをDSiウェアとして復刻させたりしてることでお馴染みのメーカーだ。

オリジナルの新作ゲームは2012年の「阿・弥・陀」以来なので久々。

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ゲームを起動すると選ぶ項目に合わせて2枚のカードをスライドさせるように指示が出る。

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これに従うとガイド役のモンスターが召喚されてゲーム開始だ。

この流れは戦闘中の操作とまったく同じもの。

こういう基本となるゲームシステムをタイトル画面のメニューに組み込むやり方は

コラビエのオリジナル作品でよく見られる構成。

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DSiウェア「阿・弥・陀」レビュー!練りこみ不足で連打ゲーになってた : 絶対SIMPLE主義

過去作だと阿・弥・陀や不思議な点つなぎも同じだったな。

これ結構好きだったので継承してくれたのは嬉しい。

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ストーリーは「魔法学校が地獄の猛火に包まれて崩壊する」という本の物語を

プレイヤーが「何も起こらず学校は平和なまま」という内容にうっかり変えてしまうところから始まる。

ゲートくんというなんか青くて四角い顔のヤツに導かれて改変された物語の世界に飛び込み、

物語の修正を行いつつ、魔法学校を巡る防衛戦に参加していくというものだ。

正直言ってよく分からん内容だったな!

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かなり好戦的なお転婆娘のカトリーナと協力して、

夏休み中の魔法学校に攻め込んでくる不良生徒どもをぶちのめしていく。

会話や選択肢のノリはかなりふざけていて楽しい。

魔法学校の先生が登場するシーンで突然演歌調のBGMが流れ出して

「なんだこのBGM!?」って思った次の瞬間に

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この選択肢が出てきた時は完全にスタッフの手の上で転がされてると思った。

くそっ!模擬刀で先制攻撃しそうな顔しやがって!何が3割当たる占いだ!

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ゲームはステージクリア型のタワーディフェンス。

ステージ開始前にモンスターカードと、

モンスターを強化する進化の素カードを選択するカードゲーム的な要素があるのが特徴。

モンスターカードはゴブリン1種類のみ。進化の素カードは8種類だ。

ステージをクリアしてレベルアップしていけば持ち込めるカード枚数も増えていく。

一定時間ごとに使用可能になる魔法もセットしてゲーム開始。

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画面右から敵モンスターが攻めて来るので、

画面左の学校に侵入されないように味方モンスターを配置して防衛する。

ステージ内にはゴブリン用の魔法陣と進化の素用の魔法陣がそれぞれ2つずつ存在。

そして、ステージ開始前に設定したカードの中から4枚がランダムで配られるので、

タッチペンでカードを魔法陣にスライドしてゴブリンか進化の素を召喚だ!

ゴブリンはそのままだとクソ弱いので、進化の素カードと組み合わせてパワーアップさせる必要がある。

モンスターは下画面をタッチ&スライドで自由にステージ内を移動させられるので、

進化の素がある場所まで移動させれば進化!

ゴブリンに攻撃の素を使えば攻撃力が高くて2マス先まで攻撃できるドワーフに。

守備の素を使えば守備力が高いリザードマン。

距離の素を使えば遠くまで攻撃可能なエルフに進化する。

更に、進化の素はモンスターに2つまで組み合わせ可能。

ゴブリンに距離の素と攻撃の素を使えば強力な遠距離攻撃が可能なヴァンパイア!

攻撃の素と飛翔の素を使えば移動速度が速い上に攻撃力も高いワルキューレだ!

1つだけよりも強力なモンスターになるので積極的に使っていきたい。

タワーディフェンスなので味方モンスターの攻撃範囲に敵が入れば自動で攻撃をしてくれる。

こっちは移動と召喚に専念できる。

4枚の手札は1枚使う度に次のカードが補充されるが、

ランダムだし補充に時間が掛かるので狙ったカードが引けるかの運も絡んでくる。

ここはカードゲームらしい点ね。

4枚の手札をすべて捨てて補充時間無しに次のカードを引くことも出来るが、

持ち込んだカードを全部使い切ったら補充されないため、

迂闊に使うとカードが尽きてモンスターを出せなくなる。

長い目で見ると不利になることの方が多いんでほとんど使わなかったなー。

ステージには魔法陣の他にも移動するとダメージを受ける溶岩やトゲ、

空を飛べるモンスターじゃないと通れない穴、上に乗ると体力が回復する温泉など特殊な地形が存在。

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守備モンスターの後ろに回復モンスターを配置して時間を稼ぐ、

守備モンスターの後ろに遠距離攻撃モンスターを配置して敵を撃ちまくる、

ダメージ床の手前に味方モンスターを配置して、

敵モンスターがダメージ床の上に乗った状態で迎撃できるようにする。

移動力の高い飛行モンスターで守りの手薄なルートをカバーする。

そんな感じで4枚の手札、味方モンスターの攻撃範囲に移動速度に能力、

地形と敵のルートを考えながら臨機応変にモンスターを動かして防衛していくゲームとなっているのだ。

タワーディフェンス+カードゲーム!それがカスモンだぜ!

しかし……発想は良かったんだがゲームバランスが大味すぎる!

画面内の敵を全滅させると次の敵グループがやってくる。

すべての敵グループを倒したらステージクリアというルールなんだが、

時間制限も無いし配置したモンスターも自由に動かせるから、

守備型モンスターで敵を食い止めて時間を稼ぐ戦略が圧倒的に強い。

守備型モンスターで時間稼いでる間に回復モンスターで回復したり、

モンスターと進化の素を召喚しまくって

フォーメーションを完璧にするやり方で全ステージクリア可能。

時間稼ぎが簡単に出来ちゃうから4枚の手札と補充時間の制限も関係なくなる。

っていうか味方側のモンスターが全体的に強すぎる。

守備タイプの上位モンスターは全部強すぎると言っても良いし、

回復タイプの上位モンスターは回復力すげぇ高い。

安定して攻撃力が高くて移動速度もマッハなワルキューレと、

足は遅いが防御力がハンパ無く高いトロール辺りはどんな局面でも強いね。

後ろに回復モンスター設置したトロールをまともに突破できる敵モンスターいねぇぞ。

相反する属性で攻撃しないと倒すのに時間がかかる火と水属性のモンスターに、

飛翔の素を使ったモンスターじゃないと素通りされてしまう空飛ぶモンスターなど。

特殊な敵モンスターも存在することはするんだが、

火と水は前述の通り時間稼ぎにもってこいなのでむしろ歓迎。

攻撃力はそこまで高くないので脅威にならないし、

相反する属性で攻撃すると2発くらいで死ぬので弱い。

とりあえず火と水の進化の素を1枚ずつ入れておけば対処は完璧。

敵より味方の空飛ぶモンスターの方が単純に性能が上なので

こっちも適当に飛翔の素を何枚か入れておけば対処可能。

ワルキューレが飛翔なのでこいつが1人いれば瞬殺。

飛翔の素を使った回復モンスターや守備モンスターで足止めしてもいい。

こいつらは普通のモンスター相手でも十分強いからね。

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そんなわけで味方モンスターが強すぎるゲームなんだが、

ステージ中に使える魔法がこれまた強い。

時間経過で溜まるゲージがMAXにならないと使えないが、

全モンスターの攻撃力を上げる「アタック」がチート性能。

使うとこっちの攻撃で敵モンスターが蒸発しまくるし、なんと1回使えばステージ終了まで効果が切れない。

全モンスターの守備力を上げる「シールド」も同じく便利だし、

画面内の敵モンスターの体力をすべて半分にする「サンダー」も強い。

最初は1ステージに1回しか使えないが、レベルを上げていくと3回、4回と使えるようになっていく。

強すぎる……。

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全体的にプレイヤー側の強さに敵がまったく追いつけてない作りだなあ。

敵は単純に直進してくるだけ。味方は自由に動かせるし性能も高い。魔法もある。

そりゃ全ステージ同じような戦略でクリア出来るわ。

あと、これは欠点というわけじゃないんだけど、

「ベースになるモンスターはゴブリン1種類のみ」

「モンスターを進化カードでカスタマイズ」ってゲームなのに、

登場するモンスターに脈略が無さ過ぎる点は気になった。

ゴブリンに武器の素を与えて進化させるとドワーフ。

守備の素を与えるとリザードマン。距離の素を与えるとエルフ。

エルフに攻撃の素を与えるとヴァンパイア。エルフに守備の素を与えるとゴーレム。

と、「進化」のはずなのに出てくるモンスターや種族がバラバラ。

遊んでて違和感が強かったぜ。

まあ現状でそのまま進化だと出てくるモンスターが全部ゴブリンのバリエーションになって

やたらゴブリン臭いニッチなゲームが出来上がるだけなんですけども!

ベースモンスターがゴブリン以外にも複数いるとか、

もしくは全部オリジナルのモンスターにするとかだったら違和感無かったと思うね。

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脈略の無さは気になったが、

進化の組み合わせで36種類も存在するモンスター自体は評価出来る点の一つ。

登場モンスター自体はファンタジーモノでお馴染みの面子ばかりだけど、

既存のデザインから捻ったものが多くて面白いし、モンスター図鑑のゆるいテキストもいい。

ゲーム中の攻撃や移動のモーションも細かくて見ているだけで楽しいね。

ここは非常に力入ってる。

移動させると弓を一生懸命引き摺って移動するエルフの動きは特にお気に入りです。

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フェンリルが三輪車に乗った狼だったりするし、

ヴァンパイアが今にも死にそうな病人だったりする。

点滴に見えるのがコウモリで攻撃する時はこれを発射!

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ネメアの獅子とかあんまりゲームでは見かけないモンスターもいたり。

なんだか申し訳なさそうな顔をしている。

どのモンスターもいいセンス。

さすが、スタッフロールでプログラマーやテストプレイヤー含めてどの項目もスタッフが1人なのに、

デザイナーだけ3人もいただけのことはあるぜ!

あと、ストーリーはちょっと……。

エンディングがあまりにも投げっぱなしというか途中でプツリと終わると言っても問題ないレベル。

あの流れならアイツの裏がラスボスで出て当然だろ?!

「あれ?オープニングと繋がらなくね?」って箇所もあったし、全体的に中途半端。

キャラと会話のノリ自体は好きなんだけどね。

操作系統も細かいところで不満がある。

モンスターにモンスターを重ねると重ねられた方が吸収して体力を全回復出来るんだが、

キャンセルが出来ないのでうっかり弱いモンスターに強いモンスターを重ねちゃうと悲惨。

モンスターの移動ルートを細かく指定出来ないので、

わざわざダメージ床を通るルートで移動しちゃうことが多い。

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全50ステージでクリアまで6時間ちょっと。

アイデアやノリはいい。

状況に応じてモンスターを移動させたりフォーメーションを組んだりする楽しさもあるし、

つまらないわけではないんだけどやはりゲームとしての底の浅さが残念。ちとオススメは出来ない。

やや期待ハズレな1本だったなあ。

とはいえ、以前出した阿・弥・陀に比べるとオリジナルのゲームとしてのレベルは大分上がっているので、

今後もコラビエの新作ゲームが出たら追い続けていきたい。