ダウンタウン熱血行進曲~それゆけ大運動会~オールスタースペシャルのレビュー行くぜ!
ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会~オールスタースペシャル~: 公式
度重なる延期の末、
2015年3月5日にアークシステムワークスから5184円で発売されたPS3用パッケージソフトだ。
開発はエープラスが担当。
何気に今も1年に1本のペースで新作が発売され続けているくにおくんシリーズ最新作。
かつてファミコンで発売されて絶大な人気を誇った「ダウンタウン熱血行進曲」のリメイク作品となる。
ダウンタウン熱血行進曲とは!
「クロスカントリー」「障害部屋」「玉割り競争」「勝ち抜き格闘」の4つの種目で競い合う対戦ゲーム!
内容は運動会なわけだがそこはくにおくんシリーズ。
素手や武器での殴り合いOKで、はちゃめちゃなコースを舞台に大暴れ出来るようになっているのだ。
シンプルな操作性ながらとにかく対人戦が白熱する傑作対戦アクション。
足の引っ張り合いでグダグダになったりするのもまた楽しい1本。
今回のPS3版は基本的なゲーム内容はそのままだが、
4チーム24人だったキャラクターが15チーム100人以上に大増加。
自分だけのキャラクターを作成するクリエイト要素やオンライン対戦なども追加されたのだ。
もちろんPS3ということでグラフィックも進化しているぞ。
ファミコン版のこのシーンがPS3版だと……!
こうなる!
……あんまり変わってない?!
いや、でもリアルな背景グラフィックのステージに、
ファミコンそのままのドット絵キャラがみっちり埋まっているのが
遊んでいて妙に迫力あったりするんだわこれが。デカいテレビだとなかなかいいぞ。
主なモードは4つ。
オリジナルキャラを作成してストーリーを追っていくシングルプレイ。
チームや競技、ルールを自由に設定して試合を行なうフリーバトル。
オンラインで他のユーザーと対戦するオンラインバトル。
オリジナルキャラやオリジナルステージが作成可能なクリエイトだ。
ストーリーモードであるシングルプレイは熱血高校の1人として試合に参加。
会話デモは脇役キャラの出番が中心でくにおくんやりきの出番は少なめなんだけど、
それでむしろくにおくんの存在感が際立っているし、
影の薄い脇役キャラの掘り下げにもなっていてなかなか楽しいストーリーだ。
ストーリーモードはくにおくんが俺の分身キャラを褒めてくれたりするのがすっげぇ嬉しいんですよ。
あの熱血硬派な世界で一緒に戦える感がステキ。
作成したキャラは試合結果でステータスが上がって新しい必殺技を覚えたりする。
その度に技を入れ替えることが可能なので自分にあった技を選ぶべし。
隠しボスを除くとストーリー分岐はなく、
シナリオも1つだけなので熱血高校以外の高校として戦うことは出来ない。
宇宙から来た転校生風に作るとこんな感じ。
熱血硬派ぐれいさん。
操作方法は方向キーかスティックで移動、移動方向に素早く2回入力でダッシュ。
3つのボタンでジャンプ、キック、パンチ操作。キーコンフィグ有り。
操作は単純だが落ちている鉄アレイや棒、鉄球を武器にしてライバルを殴り倒したり、
キャラ固有の必殺技を生かして暴れまわったりと実に多彩なアクションが可能だ。
本作に収録されている競技は
「クロスカントリー」「障害部屋」「玉割り競争」「勝ち抜き格闘」とファミコン版と同じ4つ。
クロスカントリーは4人で走ってスピードを競う競技。
学校前からスタートして公園、民家の中、マンションの壁、川の中となんでもあり。
走りながらのエルボーで横を走ってるライバルを妨害したり、
先頭を走っていたライバルに鉄アレイを投げつけてダウンさせたり
マンションの壁をよじ登って進もうとするライバルにジャンプキックを叩き込んだり。
走りながらの攻防がとにかく熱い競技だぜ。
障害部屋はクロスカントリーに近いが、
ジャンプ台を乗り継いでいったり、壁から飛び出す腕を避けながら進んだりと。
よりテクニカルな操作を要求される競技。
複雑な地形のおかげで泥沼になりやすい。
玉割り競争は登り棒をよじ登っててっぺんにある玉を素手で破壊する競技。
玉を割った人間に高得点が入るが、
なかなか割れないし玉を殴るだけでも得点が入るので考えて立ち回る必要があるぜ。
玉を割ってるヤツのケツを殴りつけて棒から引き摺り下ろしたり、
逆に下から登ってくるヤツを蹴りで叩き落したりするのが楽しい。
選手同士で足の引っ張り合いをしてる間に、
マイペースに玉を殴り続けたヤツが独走しちゃうのはよくある。
間違いなく本作で一番人気の競技、勝ち抜き格闘。
4人で最後の1人になるまでバトルロイヤル!
体力がゼロになれば失格だが、場外になっても失格!
ランダムで配置されるアイテムの使い所も重要と、
大乱闘スマッシュブラザーズの先祖と言っても過言ではないぜ。今遊んでも白熱する面白さ。
4競技ともファミコン版と同じ内容だが、
ファミコン版では勝ち抜き格闘でしか使えなかった必殺技が他の競技でも使用可能になったのが大きな違い。
クロスカントリーで「オーラパンチ」や「旋風脚」が炸裂!
試合展開がより派手になったし、必殺技を持っていなかったキャラに必殺技が追加されていたり、
新キャラ、新必殺技も大増加したので新たな立ち回りが必要になっている。
あと、ファミコン版だとクロスカントリーで武器を拾って壁に投げるだけで5点入ったが、
PS3版だと1点なので稼ぎ辛くなっていたり、
水中での当たり判定が狭くなったので
水中武器ハメが非常にやり辛くなっていたりするのが細かい修正かな。
そんな本作最大の問題点は競技ボリュームがマジでファミコン版と同レベルな点。
新競技が存在していない上に、グラフィックが一新されただけでコースの作りもファミコン版とほぼ同じ。
一応、障害部屋に関しては床が氷になるとか、
落とし穴が開いているとか通常とは多少変化するコースも用意されているし、
玉割り競争も棒が撤去されて大きな台が置いてあるだけのステージがある。
勝ち抜き格闘もフェンスやステージの大きさが変化したりはする。
……が、それだけ。
本当に小手先レベルの変化しかないため、ファミコン版を遊んでいるとすぐ飽きが来るし、
単体で見てもPS3のパッケージで4800円取るボリュームとは言い難いな。
「競技の数自体はファミコンと同じでも、PS3で今出すんだからコースは沢山増えてるんでしょう?」
そう考えていた時期が俺にもありました。
次に問題なのがバランス。
ファミコン版も強キャラが決まっていてバランス悪いところがあったが、
PS3版では必殺技を使える競技が増えた上に、
新たなチート必殺技の出現で更にバランスが悪くなってしまった。
2段ジャンプが特に凄まじい。
ジャンプボタンを2回押すだけで障害部屋のほぼすべての地形をショートカットしてぶっちぎりの1位に。
玉割り競争では2段ジャンプで玉のすぐ下に移動してもいいし、
玉を殴ってるライバルを直接ジャンプ攻撃で叩き落せるから完全にチート。
他にもごうだの頭突きの判定が強化されて凄まじい性能になってるし、
クロスカントリーでは棒術アタックや人間ドリルを連発してれば圧勝。
ファミコン版のれいほうも強チーム扱いだったけどここまで酷くは無かったよ!
全競技が終わると試合での活躍に応じて「個人賞」がもらえる。
個人賞の得点で逆転もありうる?!というのがファミコン版だったんだけど、
PS3版は個人賞でバカみたいな高得点がジャンジャン入るので興ざめもいいところだ。
最後の個人章で貰える点数が、試合で獲得した合計点数の数倍という。
ここまで勝敗に関わってくるのに、貰える条件がゲーム内でハッキリ提示されないのも良くないよなあ。
そんな調整で、全体的にはファミコン版よりも大味なゲームになっていると感じたね……。
これだけでもかなり辛いがメインとなるストーリーモードが完全に作業。
クロスカントリー、障害部屋、玉割り競争を各2回。勝ち抜き格闘は3回以上。
対戦相手を変えてこれを何度も何度も繰り返すだけ。1周するだけでもかったるい。
プレイしてるとコースは変化するんだが、
単に順番を入れ替えるとか、同じ地形が何回も出てくるとかそういう変化の付け方なので余計にうんざり。
なんでクロスカントリーで水中戦を何回もやらなきゃいけねーんだよ!
輪をかけて酷いのがキャラ出現条件の厳しさ。
キャラ数がファミコン版から大増加してるのはいいんだが、
1人モードを延々とプレイしないと増えない仕様。
「○○チームで○○に勝つ」みたいなのが大半でフリーバトルでもいいんだけど、
出す場合は「4つの競技をすべて2回ずつ行なう」というデフォルト設定じゃないとダメ。
ストーリーモードだけでもめんどくさいのに更なる苦行である。
っていうか、熱血行進曲は元々
「対人戦は最高に面白いけどCPU戦はそんなでもない」ってゲームだろ?!
なんでCPU戦を死ぬほどやらないとキャラ増えない仕様にしたんだよ!なめてんじゃねぇぞ!
元がファミコンの歴史に残る、いや、残さなければならないレベルの傑作対戦アクションなだけあって
オンライン対戦は抜群に面白い。
操作が単純な分、ちょっとした動きでもプレイヤーのクセや狙いがハッキリ出るので
読み合いと差し合いが熱い。
足の引っ張り合いでグダグダになってもなんだか楽しいし、
チート技で暴れるヤツに鉄アレイをぶつけてダウンさせたスキに1位取ったりすると笑いが止まらなくなる。
「くにおくんをオンラインで顔の知らない相手とやって面白いのか?」
という意見もあったが面白いと断言させてもらうぜ。
もちろん、オフラインで友人同士集まってやったら更に楽しいことは保証付き。
やる相手がいないから俺は出来ないけど!
選択したチームによって試合中に背景で応援する生徒が変わるとか、
中間発表の時のサポーターとそのセリフも変わるとかは芸が細かくて好きだし、
なんだかんだでキャラの多さは良いと思うんだが他がなあ……。
オールスタースペシャルという割にみすずがいないのも個人的に不満。
体操服のみすずのドットを新規で打てよな!
本作がここ数年、くにおくんが新作を展開してる3DSではなくあえてPS3で発売したのは
オリジナルのファミコン版みたいにまたテレビの前にみんなで集まってワイワイ遊んで欲しい
というメッセージが込められているんだと思う。
メニュー画面でもくにおくんたちがテレビの前で白熱し過ぎて喧嘩したりしてるからね。
その心意気は買う。
ただ、PS3の5000円近いパッケージソフトとして販売する内容にはなっていないし、
それを誤魔化すために面倒なだけの仕様を大量に入れて残った魅力すらも薄れさせてしまった。
結局のところ、面白い部分は全部「ファミコン版が面白かったから」ってのに尽きるんだよなあ。
せめてもっと楽しく遊びながらキャラを増やしたり出来る仕様なら……。
色々と残念な1本でした。