ついに日本一ソフトウェアが世界一なゲームを作った!
世界一長い5分間のレビュー行くぜ!
メーカー:日本一ソフトウェア
機種:VITAパッケージソフト/Switchダウンロード専用ソフト
ジャンル:アドベンチャーRPG
発売日:2016年7月28日(Vita)2018年(Switch)
価格:3980円(ダウンロード版は2857円)(Vita) 3058円(Switch)
開発はスマホで独特なタイトルを配信しているSYUPRO-DX。
文字を読み進めて選択肢を選んでいくADVパートと、
ファミコン時代を思わせる2DのRPGパートを交互に遊ぶ形式のRPGだ。
ここ数年で数が出過ぎて、
もはや懐かしくもなんともなくなってしまった懐かしのレトロ風ゲーム!
物語はいきなり勇者である「バック=フラッシュバック」が
魔王と戦うラスボス戦からスタート!
しかし仲間と旅をして
ついにここまで来たはずの勇者がいきなりこのタイミングで記憶喪失!
自分が誰なのかも分からない状態で戦闘は不可能。
仲間が頑張って時間を稼いでいる間に
これまでの思い出を取り戻していく!という内容である。
魔王との戦いが終わるまでの僅か5分間で、
勇者はこれまでの長い道のりをすべて思い出していく……世界一長い5分間!
テキストを読み進めて、
合間合間に勇者はどう行動するか?という選択肢が挟まるADVパートと、
勇者の過去の記憶を追体験するRPGパートを交互にプレイする構成。
RPGパートをクリアする度に勇者は過去の記憶を取り戻していくのだ!
魔法使いの両親の間に生まれたけど
吟遊詩人になりたいリーゼント=ナイトフィーバー。
引っ込み思案だけど優しくて
困ってる人を放っておけない僧侶のヨツバ=シロツメクサ。
姉御肌で口より先に手が出ることも武闘家のユズ=ナナコロビ。
これに勇者を加えたいかにもな4人パーティで冒険は進んでいく。
この他にも数多くのキャラが登場するぜ。
ホントか!?ホントに由緒正しい魔法使いの家系なのかその名前?!
RPGパートは「普通のRPG」をエピソード毎にプレイしていく仕様。
「生まれ育った村から仲間と一緒に旅立つエピソード」
「次の街に行くための船を出してもらうよう、船長に頼み込むエピソード」
「研究を完成させるためにダンジョンに必要なアイテムを取りに向かうエピソード」
などなど、いかにも昔のRPGにありそうな展開が多いぜ。
ワンエピソードは大体「イベント→ダンジョンを1つクリア→ボス撃破」くらいの長さ。
「主人公の過去の記憶」なのでいくら戦ってもレベルは上がらないし、
所持金や手持ちのアイテム、装備などもエピソード毎にリセットされる。
「レベル16の時の思い出」だったらいくら戦ってもレベルは16で固定。
いくらアイテムを沢山買っても次の思い出には引き継がされない。
その代わり経験値では「思い出補正レベル」が上がっていく。
これが高ければ高いほど思い出が美しく補正され、バトル時のステータスがアップするのだ!
エピソード毎に用意されたサブイベントをクリアすることで経験値がもらえたりも。
ゲーム自体はドラクエ風のシステムと雰囲気になっているが。
登場キャラの立ち位置や会話シーンでキャラがチョコマカと動くのは
かなりファイナルファンタジーVっぽいね。チビキャラの動きがとても可愛い。
レトロ風RPGとして個人的にポイント高いのはテキストがちゃんと面白いところ!
街の通行人との会話がクスリとさせるものや、
「ああ…」ってなったりするものまであって会話が楽しい。
こういう無駄な凝り方とかすげぇ昔のRPGっぽくていい!
敵モンスターのデザインもなかなか面白い。ナイス尻!
てめぇのゴリケツにアツアツの炎魔法をぶち込んでやるぜ!
もちろんゲームを進めると色違いで強いモンスターが出てきます。
RPGらしくミニゲームもシューティング、スロットマシン、アクションの3つを収録。
これはシューティングで、ディスガイアシリーズのプリニーが出てくる。
敵を撃って破裂した時に飛び散る星を別の敵に当てて倒して、
どんどん連鎖をつなげてスコアを稼ぐ内容なんだけど、
これ絶対スーパーマリオRPGの「ばくれつカブトムシ」が元ネタですよね?!
世代だから分かるわ!!!!!!!
見た目は昔のRPGっぽいが、遊んでいてストレス溜まらない作りで徹底してる。
画面切り替えは早くロード時間は全くないし、戦闘のエフェクトなどもサクサク。
主人公が低燃費でエンカウントをゼロにする「ノーエンカウント」の呪文を
最初から持っているので、これを使いまくっていればアッという前に先に進める。
戦闘は「とりあえずこれを使えばOK」
って呪文や技が非常に分かりやすいのでかなり簡単。
思い出補正レベルをまったく上げなくても問題ないくらいだね。
冒険に出た勇者たちが各地で魔物と戦いながら苦しんでいる人々を助け、
挫けそうな時もあるけど諦めずに前へ進み、ついに魔王との決戦へ!
キャラ、ストーリー共に超が付くほどのド王道展開。
分かりやすい燃える展開や泣ける展開をしっかりやってくれるし、
怒涛の勢いを見せる後半も盛り上がるぜ。
メインキャラ以外もいい味出してるキャラ揃いでクロエ推しです。
勇者が記憶喪失で右往左往してる時も、
イイ感じの語りかけで場を繋いでくれる魔王さんの大物感。
ピアノ主体の音楽も絶品。
戦闘BGMやフィールドBGMも良かったしスタッフロールの曲も素晴らしい。
サントラ付の限定版買ってよかったわ。お気に入りはマニーヘヴンの曲。
□『オモイデクエスト』楽曲集 - 世界一長い5分間|日本一ソフトウェア
ちなみに公式サイトにはユーザーがジェネレーターでランダム生成した思い出を元に、
作曲担当がBGMを作るというかなりの無茶ぶりコーナーがあって面白いので必聴。
なかなか面白かったんだけど
RPGパートはホントに最初から最後まですべてイベント戦闘と言っていいくらい簡単で
詰まるところが一切なく進むので遊んでるとダレてくる。
せっかく、レベルや装備がリセットされる仕様なんだから、
ボス戦では手持ちのカードでどう戦うか?
みたいなパズル的なバランスにしても面白かったかも。
ウリである
「いきなりラスボス戦から始まって、
記憶喪失になった勇者が徐々に記憶を取り戻していく」
ってアイデアもあんまり生かせていないと思う。
たまに全然違う時系列の思い出が単発で挟まったりはするものの、
基本的に旅立ちの村から時系列順に思い出していくから
やればやるほど
「あれ?これ普通のRPGを普通に遊んでるだけじゃないか?」
ってなってくるんだよね。
限定版についてきた冊子を見ると
時系列をシャッフルし過ぎると混乱するからということみたいなんだけど、
だったら後半の展開の伏線はもっと濃くても良かったな。あれはかなり唐突。
ADVパートも選択肢やRPGパートでの行動で変化するものの、
展開がちょっと変わるだけで大筋にはまったく影響無い。
エンディングは最後の最後の分岐で変わるだけだ。
ゲームクリア後にセーブされないため、
全エンドのコンプを目指すなら
ラスボス撃破からスタッフロールの間に手動でセーブする必要がある。
あと、理不尽気味なミニゲームに挑まないといけないのもつらい。
なんだよ、VITAの背面タッチでしかジャンプ出来ないジャンプアクションって。
勇者が過去の思い出を回想するように、
プレイヤー自身が過去に遊んだRPGを思い出しながら楽しめる作品。
勇者=プレイヤーであり、冒険の思い出=昔遊んだRPGの思い出なのだ。
アイデアとかシステム、
バランスは全体的にあと一歩という作りで色々惜しい内容だったが、
気持ちいいくらいの王道展開と魅力的なキャラ、昔のRPGっぽさは良かった。
難易度が低くサクサク進み過ぎて物足りないと書いたけど、逆に言うと
「昔はよくRPG遊んでいたけど、最近のは難しそうに感じてあまり遊んでいない」
なんて人にはかなりドンピシャな1本。
ここ数年でこういうレトロ風ゲームがあらゆる媒体で死ぬほど出ているので
VITAで定価3000円~4000円のタイトルとして考えるとどうしてもインパクトが弱い作品だが、
もし興味があったら思い出してみてくれ!