ハーヴェステラ HARVESTELLA | SQUARE ENIX
『ハーヴェステラ』のレビュー行くぜ!
パブリッシャー:スクウェア・エニックス
機種:Switch/PC
ジャンル:生活シミュレーションRPG
発売日:2022/11/4
価格(税込):7680円
スクウェア・エニックスが送る新規IPで開発はLiveWire。
元ネバーランドカンパニーやCAVEのスタッフが2018年に起こしたメーカーだ。
公式は「生活シミュレーションRPG」を名乗ってスローライフを推しているが、
内容はガッツリRPGでノリとしては一昔前のスクウェアっぽかった。
育成重視のアクションRPGとして面白かったし、
ストーリーめっちゃ良かったぜ……!
まずは簡素なキャラクリで主人公の見た目を作る。
男/女/ニュートラルの性別、
8種類の外見、15種類の瞳の色、12種類の髪の色、2種類のボイスから
それぞれ選んで本編スタートだ。
舞台となるのはシーズライトと呼ばれる巨大な結晶体が四季を司り、
その恩恵で人々が暮らす世界だ。
平和だったがシーズライトに異変が起き、
季節の変わり目に「死季」と呼ばれる現象が発生するようになる。
「死季」の間は作物が枯れ人は外を歩くことが出来ない。
非常に危険な現象だ。
記憶喪失で行き倒れの主人公は謎の少女に導かれ、
シーズライトに起きた異変を探る旅へと出発する。
つまり……4つのクリスタルを巡る物語ってことだな!
世界観はファンタジーではあるんだが、
未来からやって来たヒロインのアリアが出てくるし……。
「魔族」って呼ばれてる連中が出てくるけど
どっからどう見てもサイボーグみたいな見た目でめっちゃカッコいい。
背中からガチャガチャ変形する剣を出してボス戦がはじまったりする。
序盤からSFの予感がするぜ!
あ、飛空艇も出てきます。
主人公は助けてくれた女医さんと村の村長の計らいで、畑仕事を勧められる。
どっかからやってきた妖精も協力してくてくれるので、
冒険と同時進行で畑作りもやっていくぞ。
やっぱりこういうゲームは、
畑にデカい岩がゴロゴロしてるところから始まるんだなぁ。
ゲームを進めるとボタン長押しで広範囲への種まきや水やりが可能になるし、
スプリンクラーを設置すればある程度は育成を自動化できる。
農作物を加工するドリンクメーカーやスイーツメーカーなども登場だ。
カニ歩きで水を上げられるなど操作回りもしっかりしてるね。
4つのシーズライト巡りがメインシナリオで、
気が向いたら街でサブクエストや仲間クエストをこなしてもいい。
クエストクリア報酬が結構良いのでやる気になる。
時間制限などは無いのでゆっくり農作業だけやってもいいが、
明確な本筋があるゲームなのでそれだけだと話は進まないし、
メインシナリオを進めることで解禁される要素も多い。
基本は一本道のRPGなのだ。
新しく辿り着いた街で事件を解決する度に新しい仲間が増えていく。
4つすべて巡った後は更なる超展開が待っているぞ。
複数のジョブを切り替えつつ、
仲間二人と共に戦うアクション部分は結構簡素なシステム。
防御やパリィ、緊急回避や仲間への指示も無く、
とにかく通常攻撃と時間経過で使えるスキルでボコボコ殴るのが基本。
ボスの広範囲攻撃の予兆を見切ってダッシュで範囲攻撃を上手く避ける!
みたいな要素はある。
装備も2つあるスロットにアクセサリーを付けて、
状態異常への耐性やステータスアップをするくらいで、
それ以外の武器や防具を交換する要素は無い。
素材を集めて鍛冶屋で手持ちの武器を鍛えるのが強化要素。
アクションの腕やカスタマイズ要素ではなく、
経験値によるレベルアップと回復アイテムの確保が大事な作りだね。
また、攻撃する度にスタミナが減る作りで、
これがゼロになると攻撃やダッシュが不可能になる。
スタミナは料理を食べた時に回復。
胃袋に料理が入ってると少しずつスタミナが自然回復する要素もあるぞ。
お腹が減ると力が出ないゲーム!
そしてこのゲーム、店売りの回復アイテムや料理が存在しないため、
農作業で回復アイテムや料理を作るのが必須となる。
簡単な回復ドリンクなら農作物をドリンクメーカーに突っ込めば作れるし、
街やダンジョンでレシピを手に入れて、
素材を集めて料理を作れば一時的にステータスに補正も掛かる。
ボスが強いなと感じたら回復ジュースを大量生産して、
ガブ飲みしながらブン殴ればなんとかなるぜ!
料理の種類はかなり豊富で、うまそうなイラストが1つ1つ用意してある。
セーブポイントで食べると普通に食べるより効果がアップだ。
仲間会話が発生することもあるぞ。
アクションRPGパートも農業パートも結構ゆるい作りではあるんだが、
ショートカットを細かく開通させながらのダンジョン攻略と、
たまにいる通常より格段に強いザコを狩るのは面白いところ。
農業パートも本作ならでは!という要素はまったく無く、
そこまで凝ったことも出来ないんだが、
この手のジャンルらしいチマチマと収穫作業しちゃう魅力はしっかりある。
季節が切り替わると植えられる種が変化する、
合間に死季が来て育ててる作物が全滅するという仕様で、
種の収穫日数を計算するスケジューリングが問われるぞ。
まあ、それは『牧場物語』とかも同じではあるが。
本作の見所はやっぱりストーリーだなぁ。
ヒロインである未来から来たらアリアを主軸に進む
中盤からの怒涛の展開は引き込まれっぱなしだったし、
終盤明らかになる世界の真実と、それを巡る構図もSFとしてとても美しかった。
ずっと「この構図~~~~~~ッ!」ってなってたわ。
アリア、ちょっと口は悪いけど芯のあるキャラで、
ボケもツッコミもこなせるからかなり好きになれたね。
他の仲間キャラもみんな魅力的で、
合間に挟まるちょっとした会話も各キャラの持ち味がしっかり出てる。
主人公が重要な決断を迫られてる時に、
短いけどグッとくるセリフを掛けてくれたりするのが上手い。
謎多き魔族のディアンサスもめっちゃ好き。
多くは語らないが、まさかこんな魅力的なキャラになるとは思わなかった……。
イスティナさんも好きなんだけど、
「街で影のアサシンの手掛かりを探す」というイベントで孤児院に入ったら、
どう見てもアサシン以外着ない服を着たイスティナ先生が出てきて、
案の定そうだったって展開はだいぶギャグだったと思う!
いやイスティナさん、
過去めっちゃ重いからそんなネタに出来るキャラではないんだけども!
サブイベントも良く出来ていて、
友情や恋人に関するコテコテの「ちょっといい話」から、
濃ゆい変人に振り回されるドタバタのギャグエピソードまで。
サブイベントはこういうのでいいんだよ!
というお手本のようなショートエピソードで楽しませてくれる。
まあ、記憶喪失の奴と、
戦えないのに森や洞窟にカチこむ奴が多いのは少し気になったが……。
一番好きなのはやっぱり「桜のいたずら」です。
サブイベントで度々主人公がおせっかい扱いされる性格付けが、
ちゃんとメインシナリオにも関連してくる構図なのも好きなところ。
一昔前のスクウェアRPGっぽいと書いたが、
モロに『クロノトリガー』のオマージュがあったりと作り手も意識してそう。
街で事件を解決する度に新しい仲間が増えて行って、
最後は仲間全員をゾロゾロ引き連れながら
世界の真実に挑む流れがなんだか懐かしい。
こんな分かりやすい「ボス戦の前のセーブポイント」も久々に見たぜ!
3Dモデルの表情差分が少なくてチープに感じるのが惜しいところだが、
マップの画作りはかなり上手い。
四季の彩りが反映された街も、
個性豊かなダンジョンもバリエーション豊かだ。
謎に近代的な場所から幻想的な場所まで、雰囲気作りバッチリ。
椎名豪によるBGMも絶品。最高。文句無し。
血管が沸騰し涙腺が爆発する名曲揃い!マジで最初から最後まで素晴らしかった。
BGMを聞くだけでシーンが思い出せるのは良いゲーム。
ダンジョンで強いザコと戦う時に流れるBGMもカッコ良すぎるぜ。
難点を上げるなら農業パートが明らかにシナリオから浮いてるのと、
スプリンクラーレベル2などの上位の道具を作るためのレア素材が手に入れづらく、
効率アップがやり辛いところ。
収穫物を売る時はボックスに入れて一日経過すると売却になるんだが、
ボックスに入れる時に売値が表示されないのが少々不便。
料理の材料が揃えにくいので、結局同じような料理ばかり作ることになる。
妖精から提示されるミッションをこなしていくと、
消費スタミナ軽減が手に入るのがやや分かり辛い辺りかな。
アクションRPGパートはこれはこれで手軽で楽しめたけど、
立ち回りの幅は狭いので、手応えを求める人だと好き嫌いが別れやすいね。
いやー、予想以上に面白かった!
クリアまではサブクエストをほどほどにやって50時間ほど。
クリア後はやり込み用のダンジョンや更なる仲間との個別イベントがあり、
完璧に遊ぼうとすると100時間以上掛かりそうだ。
なんだよ……ほどほどのボリュームの新規IPかと思ったら割と大作じゃねーか!
これが日本一ソフトウェアだったら10時間で終わってるぞ。
良い意味で90年代のスクウェアRPGを思わせる
捻りの効いた王道展開がたまらない作りだった。
これを「農業やスローライフ要素のある生活シミュレーションRPG!」
って売り出し方したのは完全に宣伝ミスじゃねーかな!?
サブクエストが沢山あっておまけで農業もあるアクションRPGだよ!
現在、製品版にセーブデータを引き継げる体験版がSwitchで配信中なので、
気になる人はまずそこで雰囲気を掴んでもらうと良いかも。
オススメです!