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3DS「探偵 神宮寺三郎 GHOST OF THE DUSK」レビュー!シリーズ30周年記念作品!先が気になる安定感ある仕上がり!

 

 

探偵 神宮寺三郎 GHOST OF THE DUSK | ARC SYSTEM WORKS

 

探偵 神宮寺三郎 GHOST OF THE DUSKのレビュー行くぜ!

 


メーカー:アークシステムワークス

機種:3DSパッケージソフト

ジャンル:推理アドベンチャー

発売日:2017年8月31日

価格:税込5800円


 

ファミコン時代から続く「探偵 神宮寺三郎」シリーズの最新作だ。

今回はメインとなる新作エピソードの「GHOST OF THE DUSK」に加えて、

昔携帯アプリで配信されていた短編である

「鬼姫伝」「愛ゆえに」「勿忘草の想い」「揺らめくひととせ」の移植版。

そしてギャグノリの番外編だけど

最高難易度である謎の事件簿の合計6本を収録している。

 

本当に今時珍しいくらいにオーソドックスなシステムのADVだが、

メインストーリーは先が気になる展開で引き込まれたし最後まで面白かった。

 

新作を含めて収録タイトルはどれも1話完結のオムニバス形式なので、

シリーズを1本もやっていない人でも入りやすい内容になっているぜ。

 

 

メインである「GHOST OF THE DUSK」はとあるホームレスの不審死から始まる。

真相はすぐに明らかになった、舞台となった屋敷に眠る数々の謎、30年前の事件、

そして亡霊と呼ばれた男と、事件は思わぬ広がりを見せていく。

挑むのは歌舞伎町に事務所を構える探偵、神宮寺三郎!

 

 

 

六か国語を使いこなす有能チート助手の洋子さんや、

新宿淀橋署で30年働くベテランで、立派なヒゲがトレードマークの熊野警部。

同じく新宿淀橋署で鑑識官を務める美人だが変人の三好志保などなど。

シリーズお馴染みの仲間たちと共に捜査をしていくのだ。

 

 

 

移動したり、その場にある物を見たり、持ち物を調べたり、

現場を捜索して情報を手に入れたりして進行する、

古き良きコマンド選択タイプのADV。

難易度は非常に低く、

どんな場面でも次にするべき行動が分かりやすい作りになっている。

 

 

重要な場面ではTPS(トーク・プロファイル・システム)が発動。

目の前の相手の様子を伺い、会話内容を選択し、

時には手持ちの証拠品や情報をぶつけて事件の核心に近づくトークバトルだ。

これも基本的には選択肢やアイテムを選ぶだけの単純な作り。

間違えてもペナルティなどは無し。

 

 

探偵神宮寺三郎シリーズと言えばお馴染みの「タバコを吸う」コマンドも健在。

選択すると小気味良いSEと共に神宮寺三郎がタバコを吸ってリラックス。

気分転換して次にするべき行動を思いつくヒント機能だ。

 

吸えない場所や吸ったらおかしい場面でこのコマンドを使うと、

「今は吸うのを控えよう」とか言いつつ結局ヒントを出してくれる。

さすが探偵は空気が読めるぜ。

 

変わったシステムはこのくらいで、

本作から新しく追加された新システムみたいなのも一切存在しないのが潔い。

三郎が!タバコを吸って!ヒント出す!

神宮寺はそれでいいんだよ……。

 

まあ、過去作ではザッピングシステムや脱出ゲーム風の操作パート、

成長システムなどをウリにしていた作品も色々あったから、

今回は歴代シリーズでもシステム面はかなりシンプルな方だと言える。

原点回帰ということであえてそうしたのかな。

 

ストーリーの構成は上手かった。

序盤は急展開の連続でこちらをグイグイと引っ張り、

登場人物が出揃って落ち着いてからは

それぞれの掘り下げや見せ場を丁寧に持ってくる。

 

シリーズ30周年だから30年前の事件が絡む話にしました!

って内容なんだけどそれを前面に出すことはせず、

登場人物の立場の違いや心境の変化、

調査で明らかになる情報などで「30年」という時間の流れを自然に描く。

派手さは無いがクリアした後に

30周年記念作品であることが素直に納得できる作りになっていて、

この古き良き探偵ADVには相応しい匙加減だったわ。

 

新キャラもみんないい味出してて、堅実に頑張る公安の加賀くんが好きだったな。

真犯人も存在感あって良かった。

 

 

携帯アプリから移植となる4本も簡単に紹介しとこう。

それぞれ別のスタッフが手掛けていて個別に配信されていたが、

今回の3DS版に合わせてシステムやUIはすべて統一されている。

 

「鬼姫伝」は昭和初期に書かれた小説と、

それを原作とした映画の撮影にまつわる事件に迫る物語だ。

神宮寺三郎が浮気調査を受けるところから始まるが、

なんと疑惑が掛かっているのは助手の洋子さんという衝撃の幕開け。

 

調査のことをどうにか誤魔化す神宮寺三郎と洋子さんのやり取りは面白かったし、

バカっぷりが笑える結城圭一や、無理しつつ一生懸命な未央も好き。

話の規模の割に事件の畳み方が駆け足なのが残念だったが、

エンディングは綺麗で良し。

 

 

「愛ゆえに」はとあるスナックの地上げ問題と、それに関連する親子の物語。

どことなく神宮寺三郎のセリフが他のシナリオより饒舌で皮肉っぽい印象。

悪くはなかったが、やたら「愛」を連呼するポエムっぽい語りや、

最後の取ってつけたような衝撃展開も含めてちと好みじゃなかった。

少年は強く生きて欲しい。

 

 

身分を偽って情報を聞き出すシーンで

「国税庁の方から来ました(国税庁から来たとは言っていない)」

で乗り切る神宮寺三郎は笑った。ダメだろそれ!

 

 

「勿忘草の想い」は神宮寺三郎が駆け出しだった頃に受けた依頼に纏わる物語。

依頼は受け取った封筒を8年後にある人物に届けて欲しいというもので、

8年前と現代の二つの視点が交錯していく内容だ。

 

 

ゲームを開始すると失敗した花京院典明みたいな髪型の神宮寺三郎が

昼間から酒飲んでる過去シーンから始まるのが強烈!

 

依頼に込められた想いが明らかになっていく流れと、それが伝わるシーン。

そしてあの多くを語らないラストがとても良かった。

かなりベタベタなキャラだが琴音かわいい。

 

 

「揺らめくひととせ」は「ひととせ」という骨董品屋と、

それを経営する二人の青年の物語。

収録作品は家族絡みの話が多い中でこれは友情が主題になっているのと、

骨董品屋が舞台になっているせいかメインテーマが和風なのが印象的だった。

鑑識の三好さんもメインで絡むし、時にぶつかり合う二人の友情がいい。

うっとうしくならない程度のウンチクネタも面白かった。

今回の移植シナリオの中では一番のお気に入りだぜ。

 

 

探偵神宮寺三郎シリーズは新作出るたびに洋子さんの顔が変わるのがお約束なんだが、

今回も収録シナリオで全部別人なのがやっぱり笑う。双葉理保もビックリだ。

キャラデザが変われば見た目も変わるものだけど、

髪型すら統一されてないのは珍しい。

 

 

おまけの「謎の事件簿」では頭に謎のアンテナをつけて登場。

これも過去作だともっとロボっぽい見た目だったんだが……。

 

ボリュームは本編は6~7時間。

携帯アプリからの移植はそれぞれ1~2時間ってところかな。

ストーリーは良かったんだけど欠点を上げるならシステムが簡素過ぎることか。

色んな選択肢や行動が取れるものの、完全な一本道シナリオで、

常に正解が表示されているようなものなので味気ない。

簡単だけど幅があるようなシステムというわけでもないし、

TPS含めてかなり簡略化されているので物足りなさの方が強かった。

 

寄り道が全然出来ないのも不満。「バーかすみ」にも全然寄れない。

何かを調べた時のテキストが割と共通だったりするのも寂しいところだ。

 

前述したが過去作ではもっとシステム凝ってる作品もあるし、

「灰とダイヤモンド」なんかは選択肢での分岐やマルチエンドもあったからね。

頑張ってはいるが低予算っぽい作りなのでそこら辺は次回に期待か。

 

 

というわけで「探偵 神宮寺三郎 GHOST OF THE DUSK」。

過去作だとちょっとアレな作品もあったりしたが、

今回は安定感のある仕上がりで新規ユーザーにもオススメできる。

 

神宮寺三郎は「探偵」であって「名探偵」ではないんだよね。

名推理で事件をズバリ解決!というノリではなく、

その行動力と冷静さで着実に事件や謎を追いかけて、依頼人と向き合い、

どうすれば依頼人のためになるかを考えて全力を尽くす。

このハードボイルドな雰囲気はやっぱりいいなって思うわ。

 

『探偵 神宮寺三郎 GHOST OF THE DUSK』発売記念インタビュー、

シリーズ制作者たちが語る『探偵 神宮寺三郎』シリーズへの想い - ファミ通.com

 

今回の神宮寺はアークシステムワークスが主導で開発した初の作品らしいが、

内容的には上々の滑り出しだった。

これで携帯アプリで配信されていたタイトルはすべて移植し終わったから、

これまでDSなどでやってきた

「新作+携帯アプリの移植」という構成は出来なくなるね。

次の新作でどういう内容にしてくるか楽しみにしてるぜ。