探偵 神宮寺三郎 プリズム・オブ・アイズ | ARC SYSTEM WORKS
コンプしたので『探偵神宮寺三郎 プリズム・オブ・アイズ』のレビュー行くぜ!
PS4/Switch『探偵 神宮寺三郎 プリズム・オブ・アイズ』収録シナリオ簡易レビュー! - 絶対SIMPLE主義
短編集なので個別に簡単な感想も書いたのだが、
長くなったのでそちらは別記事にしておくぞ。
メーカー:アークシステムワークス
機種:PS4/Switchソフト
ジャンル:アドベンチャーゲーム
発売日:2018/8/9
価格:5800円(税込)
ファミコン時代から続く『探偵 神宮寺三郎』シリーズの最新作だ。
新宿歌舞伎町を根城にする探偵、神宮寺三郎となって様々な事件を解決していく。
昔ながらの雰囲気の探偵ADVである。
元々は今は亡きデータイーストから発売されていたタイトルで、
様々なメーカーを転々としながらアークシステムワークスの元に落ち着いた。
急に発売間隔が途切れて忘れた頃にひょっこり帰ってくるシリーズでもあるのだが、
今回は去年の3DS版に続いての発売なので結構なハイペースに感じるぜ。
長らく携帯機でのシリーズ展開が続いていたが、
PS2の『探偵 神宮寺三郎 KIND OF BLUE』以来、
実に14年ぶりとなる据え置きゲーム機での発売だ。
内容は新作シナリオ3本に、携帯アプリで配信されていた短編10本のリメイクを加え、
恒例のギャグシナリオである『謎の事件簿』や、
2018年発売予定のシリーズ新章
『ダイダロス:ジ・アウェイクニング・オブ・ゴールデンジャズ』
の体験版も収録した内容。
合計すると13+αのシナリオで構成された短編集となっているぞ。
っていうか、『ダイダロス』が今年だから、
2018年は神宮寺の新作が2本も出る年なんだなー。突然の探偵バブル!
色々とチープだったりで最新作として見ると不満もあるが、
再録メインの短編集として見れば満足度は高い。
2時間ドラマか探偵小説かというノリでサクサクと堪能できる作りになっている。
やっぱり神宮寺三郎はいいなぁ……ってなったわ。
13+αのシナリオは共通して登場するサブキャラなどはいるものの、
それぞれ独立したシナリオになっている。
番外編『謎の事件簿』以外はどこから遊んでも楽しめるぞ。
シナリオライターはそれぞれ異なり、『ファイナルファンタジー』『ヘラクレスの栄光』シリーズでお馴染みの野島一成や、
『ダンガンロンパ』の小高和剛といった有名ライターも名を連ねているぜ。
まあ、2人とも神宮寺三郎で先に書いてたんだけども!
主役は歌舞伎町に事務所を構える探偵、神宮寺三郎。
顔は不愛想だが情に厚く、熱心に頼まれると断れないし、
依頼人のために割に合わないような仕事もしてしまう。
神宮寺三郎の頼れる秘書が御苑洋子。通称、洋子くん。
美人で有能、六か国語を使いこなすパーフェクト秘書で、
張り詰めた事件の合間に癒されることもしばしば。しかし怒ると怖いぞ。
新作が出る度に双葉理保もビックリなくらい顔が変わる人でもあり、
携帯アプリのシナリオを1本をまとめて収録された時などは
「シナリオ毎に別人だこれ?!」ってなるのが毎度のパターンだったが、
今回は立ち絵が統一されているので区別が付くぜ。
番外編である謎の事件簿ではアンテナ付きのロボになる。
神宮寺三郎の頼れる友人がこの道30年のベテラン刑事である熊野参造。
通称、熊さんだ。立派なおヒゲがキュート。
どこまでも事件解決のために食らいつく熱い男である。
神宮寺三郎とは親子ほどに年が離れているが、
気心の知れた中で事件の度に協力している。
渋い探偵、美人の探偵秘書、ベテランの老刑事。
なんてコテコテな人物配置……!
しかしこの王道っぷりと、そこから繰り出される地に足の着いたエピソードの数々、
ベタだからこそ揺るがない雰囲気などが、2018年になってもシリーズが生き残ってる理由でもあるのだろう。
ゲームとしては依頼を受けて調査のために聞き込みをし、
現場を調べ、証拠や情報を集めて事件を追っていくアドベンチャゲーム。
シリーズではバッドエンドやルート分岐のある作品も存在するが、
本作は番外編を除けば完全に一本道のシステムで、基本的に詰まるところは無い。
出てきた選択肢や調べられる場所を順番にチェックしていけばゲームが進行するぞ。
それでもちょっと分かりにくいところがあるので、
そういう時は「タバコをすう」コマンドを使用!
神宮寺三郎がカッコいい1枚絵付きでタバコを吸ってリラックスし、
事件のヒントを思いつく。ファミコン時代から続くお約束のコマンド。
ちょっとした要素だけど雰囲気作りに大きく貢献していて、シリーズを象徴する要素と言える。
ちなみにタバコが吸えそうにない場所では、
空気を読んで「今はタバコを控えよう…」と自重しつつ、
それでもヒントはしっかり出してくれるぞ。さすがベテランの探偵である。
現在までのストーリーの流れや人物図鑑、相関図もメモから確認できる親切設計。
登場人物が増えて来たらここで確認をしよう。
神宮寺探偵事務所に舞い込む依頼はオーソドックスな物から、恐ろしい呪いに纏わる依頼に、顔も名前も分からない相手を探す依頼、賭け将棋に関連した誘拐事件などなどバラエティ豊か。
登場人物も実に魅力的なキャラクター揃いで、
善人にしろ悪人にしろ一言では語れない奥深い造形になっている。
神宮寺三郎の地道な捜査によって謎と人が繋がり、事件を通して描かれていく人間ドラマが見所だ。
感動的なシナリオからほろ苦いシナリオに、スカッとして終わるシナリオもある。
神宮寺三郎はボクシング経験があるので、
シナリオによってはここぞという場面で敵をぶちのめすシーンがあって盛り上がる!
相手が武器持ちで「さすがに危なくない?」って場面でも瞬殺するから気持ちいい。
これはBBTAG(ブレイブルー クロスタッグバトル)参戦待ったなし。
まあ、逆に不意打ちでボコられることも多いんだけどな!
神宮寺三郎がBBTAGに参戦決定したら使いたい画像。
シナリオは4部構成でどれも2~3時間ほどで終わるが、
短いながらもきっちりとまとまった作りになっていて、
2時間ドラマ、あるいは小説を読むような感覚でサクサク楽しめる。
そういう意味では携帯モードで遊べるSwitch版が向いてるかもしれんね。
とは言っても全13+α話なので全部読むとかなりのボリュームだ。
ジャズを中心としたBGMも絶品でハズレ無し。
シナリオによって通常BGMが変化するが、
どれも良曲揃いなので新しいシナリオを始める時の楽しみになる。
本編はほとんど詰まる箇所は無いものの、
番外編である『謎の事件簿』はふざけたノリながらしっかり推理しないとバッドエンド直行。この温度差もシリーズ恒例だ。
ただ、3本の新シナリオはやや物足りない。
短編集ということである程度予想は出来ていたが、
どれも一本道で完全に独立していて2~3時間くらいで終わる内容。
4話構成で区切りの良いところで「テレレレーン!」というアイキャッチと共に続くところも含めて携帯アプリ版と同じ構成になっている。
安っぽくて見辛いUIやフォントなども気になった。
選択肢が4つ以上あっても1画面に4つしか表示されないとか、
とても据え置き機のゲームとは思えない作りだ……。
アニメ調に統一されたビジュアルもちょっと浮いてるし、
途中で挿入されるカクカクしたムービーも微妙。
メインテーマである『PRISM OF EYES』も最高なOPムービーは何度も見返したくなるくらいカッコいいのだけど……。
携帯アプリ版のシナリオは、一枚絵含めてすべてグラフィックを一新してるので
かなり労力は掛かっているのだが、
元の作品では個別だったメインキャラの立ち絵が共通のものになっていたり、
背景の流用が多かったりするのは気になるところ。
関東明治組の親分である豪造の部屋のグラフィックが、
別のシナリオで全然関係ないキャラの自室に使いまわされてたのと、
殺人事件があった地下室が、関係ないシナリオの地下室に
死体の痕跡付きで使いまわされてた辺りが特にひどかったな……。
『ダイダロス:ジ・アウェイクニング・オブ・ゴールデンジャズ』の体験版は、
本当にチュートリアルだけで終わるので何とも言えないが、
本編とはベツモノと言っていい凝ったビジュアルに、
辺りを見回しながら探索するシステムで期待が高まる。
凝り過ぎてちょっと選択肢が選びにくく感じたくらいかな。
久々の据え置き機新作として見ると不満もあるんだが、
短編集とはいえボリューム満点で完全クリアまで30時間以上は掛かるし、
総じてシナリオの質は高い。
個人的お気に入りは『果断の一手』『時の過ぎ行くままに』『連鎖する呪い』辺り。
『椿の行方』も好きだな。
難しい謎解きや多彩なストーリー分岐を楽しむのではなく、
2時間ドラマや小説を読むような感覚で遊ぶADVであることを踏まえれば、
シリーズ初心者も含めて十分オススメは出来る内容になっているぜ。
ゲーム内でもゲーム外でも「時代遅れの探偵」になりつつも、
変わらずタバコを燻らせながら事件に挑む神宮寺三郎の姿は、
2018年になってますます味わい深い。
興味がある方は名作ドラマのDVD-BOXを買うような感覚で是非、ってトコかな。
PS4/Switch『探偵 神宮寺三郎 プリズム・オブ・アイズ』収録シナリオ簡易レビュー! - 絶対SIMPLE主義
冒頭でも書いたが、各シナリオの個別感想はこちらの記事で。