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求めていたご当地ミステリーがここに!『Root Film ルートフィルム』レビュー!【PS4/Switch】

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『Root Film ルートフィルム』公式サイト|角川ゲームミステリー

 

角川ゲームミステリー最新作!

『Root Film ルートフィルム』のレビュー行くぜ!

 


メーカー:角川ゲームス

機種:PS4/Switch

ジャンル:ミステリーアドベンチャー

発売日:2020/07/30

価格(税別):6800円


 

島根を舞台にしたミステリーアドベンチャーゲーム。

映像作家の主人公が様々な事件に巻き込まれていく内容で、

シナリオもシステムも王道の作りになっている。

登場するヒロインたちの声やEDテーマをi☆Risが担当してるのもウリの一つだ。

 

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PS4/VITA「√Letter ルートレター」レビュー!合体事故が生んだサイコ主人公が島根を襲う!どうしてこうなった - 絶対SIMPLE主義

 

角川ゲームスが送る完全新作のミステリー『角川ゲームミステリー』。

第一弾として2016年に華々しく射出されたのが『√letter』だったが、

フタを開けてみれば存在そのものが怪奇事件のようなゲームに。

 

真面目にADVとして期待していると緑色の泡を吹くゲームではあるが、

ぶっ飛んだ内容でカルトなファンも獲得することとなった。

ビジュアルの力と世界展開のおかげか意外なヒットも記録する。

あと、俺がレビューでめちゃくちゃ書いたら公式実況に呼び出しを喰らった

 

PS4/Switch/Vita「√Letter ルートレター Last Answer」レビュー!島根サイコパス一人旅、狂気の実写ゲーム化!ここまで来たら俺の負け! - 絶対SIMPLE主義

 

2018年の年末にはなんとその『√letter』のグラフィックを実写化し、

追加シナリオを加えた『√Letter Last Answer』が発売。

無駄に気合の入ったビジュアルで好事家たちの度肝を抜く1本になっていたが、

追加シナリオでちょっと悪ノリ感が出ちゃっていたのが気になる点だったね。

 

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そして!ついに発売された実質、第二弾である『Root Film ルートフィルム』!

今回も舞台は島根でキャラデザも前作同様に箕星太朗だが、

シナリオは新たに河野一二三が担当しているぞ。

『クロックタワー』『御神楽少女探偵団』を手掛けた大ベテランだ!

 

テキストの密度と展開で真っ当にミステリーとして引き込んでくるし、

登場キャラもみんな魅力的で、オチも含めて非常に心に残る1本だった。

 

限定版を予約した『√Letter』を遊んでズッコケたあの日から早4年……。

俺の期待と応援(?)は無駄じゃなかったよ!

 

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ストーリーは映像作家の八雲凛太朗こと八雲MAXが主人公の八雲編と、

デビューしたばかりの新人女優であるリホが主役のリホ編を交互に進めていく。

1話完結で様々な殺人事件の捜査に挑んでいく構成だ。

 

八雲が参加することになる「10年前に一度お蔵入りになったミステリードラマ」の謎に、

その撮影の最中に次々に発生する殺人事件。

2人の主人公の関係、様々な思惑などなど。

島根の各所を舞台にしつつ描かれる展開が巧み。

 

証拠やトリックなど様々な形で「映像」が事件に絡んでくるし、

中盤から後半、エンディングにかけての盛り上がりが怒涛!

「そういうことだったのか……!」「そこと繋がるのか!」

を畳みかけてくるのが遊んでいて気持ち良いぜ。

 

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登場キャラも魅力的で、八雲MAXのアシスタントである曲 愛音がキュート!

元ヤン疑惑があって口が悪く、常に気怠い態度だがアシスタントとしてめっちゃ有能。

「しょ~がないっすね~」とか言いながら、

生活能力のない八雲MAXを甲斐甲斐しくサポートしてくれる姿がいい……!

 

俺が好きなのは目薬を上手く差せない八雲MAXに

文句言いながら目薬を差してあげるシーンですね!

 

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背中で島根を語るスカジャンとかファッションセンスの凄さも魅力。

どこで買ったんだよこれ!

 

 

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ミステリードラマの主演として同行する天方一葉も可愛い!

柔らかな物腰と素敵な笑顔、そして時折見せる鋭い洞察力に唸るぜ。

 

カメラクルーとしてニンジャのように気配を消して同行する金出 杏一も、

めちゃくちゃ重要な働きするし、八雲との掛け合いが寡黙ながらいい味出してる。

ただ、こういうキャラにするなら公式サイトで

立ち絵載せない方が良かったのでは……と、少し惜しく感じてしまったっす。

 

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そして主人公である「今回のマックス」こと八雲MAX!

新進気鋭の映像作家らしい無茶な勢いで、

序盤は「お前これ殺人事件だって分かってるか?!」と言いたくもなったが、

進むにつれてカッコいいところや成長も見せてくれる。

遊んでいるプレイヤーと一緒に、

悩みながら進む主人公としてしっかり造形されてるね。

 

この4名で進行する八雲編もキャラ同士の掛け合いが非常に面白かったし、

リホ編はリホ編で、ちょっと天然なところのある売り出し中の女優であるリホと、

しっかり者のマネージャーで真鍋祥子による、

お互い長い付き合いだからこその、遠慮の無い掛け合いが聞いてて気持ち良い。

 

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メインキャラや女性陣以外にも存在感のあるキャラが大勢いて、

八雲編で出会うことになるベテラン&新人の刑事コンビは、

もうコテコテにも程がある凸凹コンビ。

でもきっちりと見せ場があるし遊んでいると好きになれるキャラだ。

 

八雲MAXの上司である五十神プロデューサーも、

これまた「何十年前の業界人キャラだよ!」って言いたくなるコテコテっぷり。

だがこの安定感のあるキャラ付けが良いのだ!

 

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登場キャラたちを彩る一枚絵の美麗さと可愛さも素晴らしいんだが、

通常シーンでの立ち絵と背景の組み合わせがまた面白い。

 

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横からの立ち絵や背中を映した立ち絵もふんだん使い、

キャラの位置関係に合わせて縮尺を変える。

2DのADVだけど奥行きが感じられて画が単調になってないし、

キャラとの対比で、背景になっている島根の名所も魅力的に映っているぜ。

 

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行く先々で妙に濃いモブキャラと遭遇するのも見所。

「OBASAN」って服着てるおばさん初めて見た!島根では一般的なんですね?!

 

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突然登場して島根クイズをかましてくる芸人のネゴシックスもいるぞ。

実在の芸人で声は本人が担当している。

普通のADVだと強引過ぎるぶっこみだと感じるところだが、

ご当地を舞台にした角川ゲームミステリーだとスッと入ってくるから強い。

 

また、後半に某ADVのキャラがゲスト出演するシーンあって、

好きなゲームだからマジでびっくりしたし、

ちゃんと「箕星太朗の絵」になってて感動した……!

こういう思わぬ素敵な出会いがあるのも島根なんですね!

 

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と、最初にストーリーとグラフィックについて書いたが、

ゲームとしては前作同様に昔ながらのオーソドックスなADVだ。

島根の各所を移動しながら画面内をあちこち調べて情報収集。

必要な情報が集まったら、次の場面へと進んでいく。

 

調べられる場所は決まっているので、

どこを調べていいか分からない……となることは無いぞ。

 

 

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捜査で事件解決に繋がるキーワードが登場すると、

主人公の持っている「共感覚」が発動。自動で情報を覚えてくれる。

 

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そして、重要人物との対決では前作でもあったマックスモードが発動!

共感覚で集めた情報をぶつけて相手の証言を崩し、真相を明らかにしていくのだ。

まあ、ゲームとしては選択肢を選んでいくだけなので非常に簡単だ。

 

前作同様にマックスモードがあって主人公のあだ名もマックスで、

舞台が島根だったりはするが、『√letter』との繋がりはまったくない。

ストーリーの方向性や完成度もまったく違う。

 

しかし、BGMは一部同じものを使っているし、

『√letter』を遊んでいた人間をニヤリとさせるセリフやキャストも

あちこちに散りばめられている。

ちゃんと『√letterに続く角川ゲームミステリーの最新作』になっていて、

なんだかんだ思い入れある人間として嬉しいところだったなぁ。 

 

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今回、テキストがしっかりしていて、同じところを調べた時や、

ゲーム進行に関係ない場所に移動した時にもちょっとした会話がある。

これが登場人物や島根成分の掘り下げになっており、

なんというか本当にしっかりしたADVになったなぁ……としみじみ思ってしまった。

 

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ただ、システム面での不満は多め。

マックスモードは選択肢を選ぶだけと簡略化された上に、

難易度が低いからまず負けることはなく、ゲームとしては大分物足りない。

まあ、読むだけのゲームと割り切ればいいんだが、

その割に次にどこに行けばいいのか分かり辛かったりと、

導線があんまり上手くない印象。

 

シナリオは基本的には良いんだけど、

序盤の推理パートでプレイヤーが知らない情報を主人公が急に持ち出して来たり、

犯行に関連した論理が飛躍気味なところがあるのは気になったね。

 

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フローチャートがあるんだが、

単に「どのシナリオを最初から遊ぶか?」が選べるだけ。

あのシナリオのあの部分から再開したい!

という使い方は一切出来ないので非常に不便。

この仕様もあり、PS4でトロフィーのコンプを目指すとちょっと面倒。

狙う人は、マックスモードの手前でマメにセーブしておくことをオススメするぞ。

 

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グラフィックはよく出来てるんだが、「表情の差分が少ないな……」と

感じる場面がちょいちょいあるのは惜しかった。

 

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殺人事件の調査というのが軸にあるのでしょうがないんだが、

島根ゲーとしては観光地をざっと巡る構成なので、

『√letter』に比べるとその土地の人々と交流する要素が薄め。

突然黒光りするマッチョが出てきたりはしない

 

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画風の関係もあるんだが、美味そうなメシの表現に関しても『√letter』の圧勝だ。

一枚絵をドン!と出してマックスの食レポが挟まるから、

やたら美味そうだったんだよなー。

 

『Root Film ルートフィルム』はADVとして進化しているんだが、

比較すると『√letter』にも良いところは色々あった……と思いを馳せてしまうぜ。

まあ、先代マックスはもう成仏して良いとは思っているがな!

 

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そんな『Root Film ルートフィルム』!

完全な一本道でクリアまでは10~15時間くらいかなぁ。

突っ込み所や「謎の少女」の出番もっと見たい!

という食い足りなさはあったが、オープニングからエンディングまで、

「映像制作を題材にしたミステリー作品」として、芯を通してやり切った1本だ。

 

『√letter』にガッカリした人。

『√letter』にハマった人。

純粋に昔ながらのADVが好きな人。

それぞれにオススメ出来る「角川ゲームミステリー第二弾」になっていたぜ!

 

角川ゲームミステリーは島根以外を舞台にして今後も続ける予定のようだが、

登場キャラが本当に魅力的だったので、このメンバーでの次回作も見たい。

次の旅を楽しみにしておくぜ!