World for Two ダウンロード版 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)
『World for Two』のレビュー行くぜ!
メーカー:room6
機種:Switch
ジャンル:アドベンチャー
発売日2020/09/17
価格(税込):1400円
スマホの無料タイトルからの移植となるアドベンチャーゲームだ。
DNAを合成して色々な生物を作り出し、荒廃した世界を再生していくゲーム。
Switch版はクリア後に見れる前日譚エピソードの追加に、
生物の追加、アニメーションのリニューアル、システムの改善などが行われているぞ。
room6が展開している「ヨカゼ」レーベルの1本でもある。
「ヨカゼ」は世界観に浸れるインディーゲームを発売するレーベルで、
『アンリアルライフ』に続いての登場だ。
このレーベルとして出てなかったら俺買ってなかったなぁ。
公式ページだけだとどういうゲームかピンと来なくてね。
ゲームとしては単純すぎてちょっと間延びしていたが、
画の力と音楽でグイグイ引っ張っていく。
貫かれてる圧倒的な「美しさ」にシビれる1本だったぜ。
舞台は大災害によってほとんどの生き物が死に絶えた世界。
主人公はアンドロイドで、
人間最後の生き残りである博士に作られた存在だ。
博士がいる安全な地下シェルターには、
DNAを合成して生き物を作れる凄いマシンがある。
これで、世界を復興していくのが目的だ。
最初は原始的な人工DNAを合成してアメーバなどを作り、
そこから抽出したDNAを合成し、どんどん複雑な生き物を作っていく。
合成は2つのDNAを選択して、組み合わせが合っていれば完成。
間違っていれば失敗という単純さ。
一度失敗した組み合わせで作ろうとすると警告してくれる親切設定。
決まった組み合わせで実在、あるいはそれに類する動物を作っていくゲームなので、
例えばカニとゴリラのDNAを合成してカニゴリラを作るぞー!とかは出来ない。
生物を合成することで、地上に少しずつ生命が溢れていくのだ。
ドットで表現された美しい自然と、その中で細やかに動く様々な生物たちが実に良い。
「サナギ」を作っても永遠にじっとしてるだけで、
DNA抽出して再合成しないと蝶にならないのは少し気になるが……。
作った生物からはDNAを3つまで採集可能で、取り切ってしまうと消滅する。
一回DNAを取った生物のDNAは復活しないし、
別に消滅させてもペナルティは無い。
効率的にプレイするなら、どんどんDNAを取りまくるべきなんだが、
生物が消滅する時の動きや、
それを見るアンドロイドのリアクションでこっちも寂しくなってくるのが上手い。
ゲーム的に意味は無くても、生み出した生物を完全消滅手前で残したくなる。
自然エネルギーを消費することで人工DNAの製造や、
イベントを進めるための特殊なアイテムの作成が出来る。
これは各地にある装置に時間経過で溜まっていくぞ。
自然エネルギーが溜まるのを待つ、人工DNAを作る、
それを元に生き物を作る、生き物からDNAを取って新しい組み合わせを探す。
基本的にはこの繰り返し。
探索できる地上のマップは狭いし、調べられる場所やイベントも多くない。
ある程度ヒントは貰えるものの、DNAの組み合わせを探す総当たりゲーで、
アドベンチャーゲームとしては結構単調ではある。
ただ、あまりにも美しい生命の表現と、
最初から最後まで心揺さぶる静かで暖かなBGM。
散りばめられた謎や意味が収束していくシナリオには感動した。
割とベタな話ではあるんだけど、
しっかりと起承転結のあるシナリオを圧倒的な画とBGMで支えてるから、
エンディングが素直に胸を打つ構成だ。
Switch版で追加された前日譚はクリア後に見れるんだけど、
より本編に深みが出る内容になっていたし、
アンドロイドの独白の数々や、後半は結構すごい生き物が作れるところも好き。
「DNA合成してどんな生物でも作れる装置、高性能過ぎない?」
「DNAを3回抽出すると生物が完全消滅するってどういうこと?」
など、 割と勢い重視のところもあるものの、
細かいことは良いんだよ!精神で受け止めたい。
まあ、現代とは違う未来の話なわけだからな。
クリアするだけなら4時間くらい。
組み合わせ探しがちょっと面倒なところもあったけど、
遊んで本当に良かった!と思えるエンディングだった。
コンセプトに惹かれた人は是非一度遊んでみてくれ!