ALTDEUS: Beyond Chronos(アルトデウス: ビヨンドクロノス)
ついにPSVR版が4月15日発売ということで、
『ALTDEUS: Beyond Chronos(アルトデウス: ビヨンドクロノス)』のレビュー行くぜ!
俺はPC版をOculus Rift Sでプレイしたぞ。
メーカー:MyDearest株式会社
機種:PSVR/Oculusシリーズ/VIVEシリーズ/Windows MR
ジャンル:VRインタラクティブストーリーアクション
発売日:2020/12/04(初リリース)
価格(税込):3990~5480円
謎が謎を呼ぶ2280年の地球を舞台にしたSF作品だ。
実力キャスト&スタッフで制作されており、VRを活用した演出が満載。
これを書いてる今も本編を思い出すくらい……最高だった!
無人の渋谷で謎と青春が踊る!圧巻のVRミステリー『東京クロノス』レビュー!【PSVR/PC】 - 絶対SIMPLE主義
一応『東京クロノス』の続編ということになっているが、
200年後が舞台なので直接的な繋がりは薄い。
未プレイの人は本作から遊んでも全然問題ないぞ。
システムとしてはVRを使ったノベルゲームに近いんだが、
とにかく色んな要素が詰め込まれた内容になっているので、
一言でどういうゲームか説明するのは悩むところ。
400メートルの巨大ロボットvs謎の巨大生物!
自分の手でトリガーを引くレールガン発射シークエンス!
巨女と謎の巨大生物の殴り合い!電脳アイドルのVRライブ!
高度なAR・VR技術が当たり前のように使われている社会描写!
などなど「これをVRで見れるぞ!」と主張したい見所は盛り沢山だ。
自分の体を改造して200年以上生きてるCV芹澤優のマッドサイエンティストが、
虫みたいな腕をワシャワシャするのをVRで見れる点を強く推したいところだが……。
俺が一番強い要素だと思うのは
「人間ではない存在が人間に近づいたが故に苦しむ百合SF」
ってところかな。
これにピンと来る人は絶対刺さるので迷わず買ってもらいたい。
この光景は夢じゃないし、お前の心にめっちゃ深く刺さるぞ!
舞台は謎の巨大生物メテオラによって荒廃し、
人類は地下都市でひっそりと生き延びている2280年の地球。
主人公のクロエはメテオラに対抗するために作られた存在であり、
400メートル級の人型都市防衛兵器マキアを駆るパイロットの一人。
作られた存在故に人間らしい感情が薄かったが、
盲目の少女コーコとの交流で徐々に人間らしくなっていく。
しかし、そのコーコはメテオラに喰われて姿を消してしまう。
復讐のために戦い続けるクロエだったが、
そこにコーコを喰ったことでコーコそっくりになったメテオラが出現する。
大切なことを教えてくれたがもういない親友。
親友を模して造られた電脳アイドル。
親友を喰ったことで親友そっくりになった怪物。
彼女たちに翻弄され揺れ動くクロエの終着点と人類の未来は……?
というストーリー。
回想でクロエとコーコの交流を挟んで人物像を掘り下げつつ、
少しずつ明らかになる謎とストーリー分岐引き込む構成だ。
ゲーム開始直後でいきなり圧巻なのが、
巨大メカのアルトマキアを駆って出撃する戦闘シーン。
管制室からの音声ナビに合わせて
アルトマキアのシステムとプレイヤーがリンクし、機体の腕が自分と同じように動く!
格納庫からエレベーターで地上に移送され、
戦闘をサポートする人工拡張認識結晶ノアちゃんの歌声と共に戦闘開始!
仲間の機体の援護をしつつ、
最後はパネルを操作してエネルギー溜めて自分の手でレールガン発射!
という、ロボットアニメでありそうな流れをVRで体感できるのに震える。
そして『東京クロノス』に続いてやべぇクオリティのOPムービーで
「VR元年、始まったな!」ってなる。
地下都市の描写も素晴らしい点。街はAR技術によるテクスチャで覆われており、
新商品やイベントの宣伝で溢れかえっている。
人類は残り少なくなっており状況は苦しいが、
その中でも最新技術で娯楽を楽しんで明るく生きているのだ。
しかし、それはすべて作り物。
システムをオフにしてしまえば街に貼られたテクスチャはすべて消え、
人々が目をそらしている、何もない真っ白な街が出現する……。
というのを自分の視点で体感できるのに痺れたなぁ。SF小説の世界だよ。
反政府組織が扇動のために手で貼ったビラだけ見えるのがまたイイ。
登場キャラも実に魅力的。
コーコをコピーして作られたノアはアイドルとして人々に寄り添う存在であり、
明るくてめちゃくちゃ可愛い。「実体よりも確かな愛」は伊達じゃない。
しかしクロエはメテオラへの復讐で頭がいっぱいだし、
死んだコーコのコピーということで正面から向き合えないところもある。
それでも、健気にクロエに語り掛ける姿がグッと来るね。
VRを活かした迫力のライブシーンも必見。
本編の一部としてこれが収録されているんだから凄いわ。
クロエの同僚であるアオバとヤマト名脇役で、節々でのフォローが沁みる。
特に同じパイロットであるヤマトの良い奴っぷりと、
CV小林裕介の振り絞るような熱演には泣かされた。
見た目も頭の中もヤバいジュリィ博士はマッドサイエンティストっぷりが最高で、
外道~~ッ!と言いたくなる言動と怪物っぷりが魅力的で良い。
「何も信じられないから科学を始めたんだよ私は」とか細かいセリフも良いんだ。
まあ、もうちょっと掘り下げが欲しい部分もあったが、
そこら辺は小説でフォローしているね。
そして盲目の少女コーコ。
お偉いさんの娘ということで護衛に付いたクロエと友情を育んでいく。
すっかり貴重になった紙の本や生きた花を愛する優しい女の子なんだが、
誌的でロマンティックかつ重い言動が多いのでゾクゾクする!
「クロエとコーコの関係がいかに重いか」
「クロエがいかに死んだコーコのことを引きずってるか」
を丹念に描いた上で、そこを全力で揺さぶる展開を叩きつけてくるので、
遊んでるプレイヤーも揺さぶられるし「どういうことなの?!」と止まらなくなる。
画と音楽のシンクロも見事。
「プレイヤーがボタンを押して話を読み進める」形式を活かし、
ここぞというシーンでサビが流れるようになっているので燃えて泣ける。
出撃シーンでかかる『Boot Sequence』の勇ましさは特に血が滾るし、
ネタバレになるので公式サイトの視聴動画だと
『NO.××××××』というタイトルになってるあの曲も震えた。あれは震えるしかねぇ。
ボーカル曲の数々の質の高さも説明不要。
『東京クロノス』だとちょっと気になった登場キャラのスケール問題も解決し、
空中に浮かぶSF的なUIなども雰囲気満点。
最初から最後まで満足いく内容だったが、気になるところとしてはロボットでのバトル。
酔い対策もあるのかコクピットが広々としていて、激しい動きも無いため、
最初の出撃シーンとレールガン発射で慣れた後は少し物足りなく感じてしまった。
まあ、色々なユーザーに遊んで欲しいという配慮だろうし、
中盤から終盤にかけては、
きっちり「ロボットアニメ的な超燃え展開」も織り込んでくるから、
トータルでは余裕でお釣りが来る作りかな。
明確に欠点と言えるのはフローチャート機能であるアリアドネ。
全方位に輝く星座を指さして枝分かれする物語を追うという作りで、
とても綺麗だけど分岐を埋める時が分かりにくい……!
会話スキップはあるんだけど
たまにスキップ出来ないところがあったり、遊んでいてもたつく。
トゥルーエンディングなどの条件はそこまで難しくないんだけど、
細かいバッドエンドを埋めようとするとちょっと分かりにくい選択肢もあるね。
『東京クロノス』にも言えるんだが、
単にVRで演出がスゴいだけで終わるゲームではなく、
物語とキャラの力で心に残る1本に仕上げているところが素晴らしい。
そして完成度は格段に高まっていて、
『東京クロノス』も面白かったけど断然こっちの方が好き。
プレイヤーとクロエの選択によって辿り着くエンディングの数々は、
バッドエンドすら儚く美しいもの揃いで、
最後の最後に辿り着く終着点はもう言葉が出ない。
遊んでいるこっちの感情を揺さぶるだけ揺さぶって
余韻を残して終わるものが多いから、たまんねぇわけだよ!
こうしてレビューを書いていても「面白かったなぁ……」と余韻に浸ってしまう。
VRを遊べる環境だったら間違いなくイチオシだ!