難易度ハードクリアしたので『暴れん坊天狗 & ZOMBIE NATION』のレビュー行くぜ!
パブリッシャー:シティコネクション
機種:Switch/PC
ジャンル:シューティング
発売日:2021/10/28
価格(税込):1200円(ダウンロード版)5980円(限定パッケージ版)
1990年にファミコンで発売された『暴れん坊天狗』と、
その海外版である『ZOMBIE NATION』を同時収録した移植タイトルだ。
快適に遊べる便利機能を搭載しているし、
当時の資料としてパッケージや説明書なども収録している。
あの『源平討魔伝』のスタッフが手掛けたシューティングである。
俺は5980円の限定版を購入したぞ。
天狗と侍の生首が輝く金ピカのパッケージ……。
これは超エキサイテング!
サントラやインタビュー付きの資料集などが含まれているぞ。
日本から飛び立った天狗面がアメリカで宇宙人と戦うという内容で、
元々、落武者の生首がアメリカを破壊する
『渡米、怨念の生首』という企画だったのだが、
任天堂からストップが掛けられて作り直しになる。
そこで任天堂の花札に天狗の絵柄があったことから着想を得て、
天狗のゲームになった、という開発エピソードがあるぞ。
どうかしてるな!
発売当時は話題にならなかったものの、
そのカルト過ぎる内容がインターネットを通じて評価されていき、
今ではファミコンが誇るバカゲーの1本として名が知られている作品。
ゲームセンターCXでも取り上げられた。
現在は中古だと完品が3万円以上くらいするのでありがたい復刻だ。
俺も一度やってみたかったタイトルなので嬉しい。
実際遊んでみると内容のぶっ飛びっぷりがマジでイカれてるし、
ファミコンのスペックでこれをやったのもイカれているぜ!
ストーリーは説明書に詳しく描いてある。
宇宙からの侵略者によって危機に瀕したアメリカだったが、
自由を願う人々の祈りが海を越えて平和の守護神、大和の国の天狗まで届いた!
天狗は己の霊力によって大天狗の面を作り出し、アメリカ本土へ発射!
大天狗の面vs軍隊&モンスター軍団の決戦が幕を開ける!
という、怪文書みたいな内容だな!
おどろおどろしいお堂から天狗が発進するオープニングの時点でもう色々凄い
ステージ1から天狗が目玉とヨダレを発射しながら軍隊と戦い、
ビルを破壊しながら突き進む凄まじい映像が展開される。
助けを求める人間を回収するとパワーアップするシステムなんだが、
人間を食べているようにしか見えない!
敵も戦闘ロボ、戦闘メカ、狂ったプロレスおやじ、
金星ヘビ、移動式原子力発電所と、天狗に負けず劣らずの強烈な面子!
ステージ1のボスが自由の女神なのがまたインパクト凄い……。
Switch版の壁紙に自由の女神があるので、
設定しておくとダブル自由の女神が拝めるぞ。
まあ名前は「自由の女神モドキ」で、
設定上は「モンスターに変えられた自由の女神」なんだけどね。
それモドキじゃなくて一応本物なのでは……?
同時収録されている海外版『ZOMBIE NATION』は主人公が天狗ではなく、
当初の想定だった侍の生首になり、
この自由の女神もメデューサに差し替えられていたりするぞ。
その海外版なんだが……。
マジでヤバいゲームを遊んでいる気持ちになるぜ!
アメリカ上空を生き生きと動き回る生首の姿に加えて
体力ゲージとして並んだ侍の顔とガイコツマークの圧が凄い。
日本版がこれだったらここまで人気は出なかったと思うなぁ。
天狗ってキャラクターが良いクッションになってる。
そしてこちらがメデューサ(自由の女神)です。
すごい力技でメデューサにしてる……!
シューティングとしても考えられた作り。
天狗は当たり判定がデカく、敵の攻撃も激しいので弾をまともに避けられない。
しかし、体力がめっちゃ多い上に、建物や敵を破壊して稼ぐとすぐに回復だ。
宇宙モンスターの攻撃を喰らっても、一発や二発程度ではビクともしない。
天狗の神通力で作られた天狗の面の皮、厚すぎるぜ!
つまり本作は「敵の弾を避けるシューティング」ではなく
「天狗の生命力で敵を圧倒するシューティング」。
そういう変化球のゲームとして成立しているし、
人間を沢山回収してパワーアップすると火力が一気に上がるので、
更に稼ぎで回復しやすくなる。パワーアップする気持ち良さと、
敵や地形をバリバリ破壊する気持ち良さがどちらもしっかりあるぞ。
今でも新鮮に遊べるシューティングだね。
ただ、レーザーや雷、煙突の雲といったステージギミックに接触すると、
体力ゲージが一気に吹っ飛んで瀕死状態に!あんなに丈夫だったのに……。
加えて、自機の動きに慣性が掛かる仕様で、細かい避けが難しくなっている。
難易度ハードにするとさらに慣性が強くなって、
天狗なのに暴れ馬のような挙動になるぞ。
コントローラーが壊れたと疑うほどにヤバ過ぎる挙動になるから
是非一度体感して欲しい。
2021年の視点でも斬新過ぎる難易度調整だ……。
天狗を押しながす滝も登場するから大変だ。
難易度ハードでここに来ると、
慣性の影響で身動きが全然取れなくて気が狂いそうになるぜ!
ボス戦も即死攻撃が多いので苦戦は必死。
特にきっついのがステージ2ボスであるポール・バニアン。
本体に触ると即死、飛び回る3つの斧に触れても即死だ!
フルパワーアップ状態だと一方的に倒せる時もあるんだが、
攻撃パターンのランダム性が強すぎるのでめっちゃ事故りやすい。
開幕タックルしてきたら即死だし、
斧をすぐ投げてきたら追い詰められて高確率で死ぬ。
というか他のボスはまだパターン化すればなんとかなるから、
マジでこいつだけ難易度がおかしいわ!
やられてもコンティニュー可能にはなっているんだが、
再開するとパワーアップが全没収されるのでボス戦はかなり厳しくなる。
もう最初からやり直した方が早いぞ!
ポーズ中に「上、上、下、下、左、右、左、右、B、A」を押すと
体力が全回復する隠しコマンドがある。
コナ……いや、テングコマンドだ!
難易度ハードはこれ使いながら進むくらいでちょうどいいかな……。
それでも難しいんだが。
ネットで検索すると「1回だけ使える」と表記してるところもあるんだが、
実際は1エリアに1回以上使える。
スタッフインタビューによると、天狗の慣性は意図的とのこと。
他のシューティングと差別化を図るために、
「慣性が付いた自機を縦横無尽に動かして破壊を楽しむ」
というコンセプトで調整。
海外のゲームには慣性が付いたものが多かったため、
海外市場を意識した仕様でもあるとか。
説明されると納得できなくもないが、
それならボス戦はもう少し手心が欲しかったぜ……。
一部で理不尽なところはあるが、総合的に見ると見所の多いシューティング。
ギミックは配置さえ覚えればそこまで怖くないし、
避けられそうにない画面外からの攻撃もちゃんと避ける手段があったりと、
基本的にはステージを攻略する面白さがある。
ファミコンの限界に迫るグラフィック表現とBGMによる盛り上がりも文句無し。
ステージ3ボス「移動原子力発電所」などは特にスゴかった。
一言で言うと巨大戦艦ステージで、イントロとベースのカッコ良さで
こちらをブチ上げてくるBGM「NoProblem」を聞きながら、
パーツを破壊してコアを狙いに行く流れに震える。
ファミコンのシューティング全体でも相当にハイレベルな大決戦ステージ。
その次のステージ4-1で流れるBGM「Streamer」もまた超絶カッコイイんだよなぁ。
2013年に販売したサントラがかなり売れたって話を聞いたんだけど、
納得するしかないくらいBGMのクオリティがぶっちぎってる。
Switch版の要素としては巻き戻しやクイックセーブ、
クイックロードなどの便利機能が使える「ペ天狗」モードがある。
クリアするとサウンドテストやラウンドセレクトも使えるようになるし、
「エキサイテングモード」も解禁。
こちららは便利機能を封印してファミコン版と同じ条件で遊ぶモード。
こっちでしか取れない実績要素も用意されている。
機能面では左右の壁紙の選択、連射設定、画面の拡大表示、
左右にハイスコアなどが一目で分かるアクセサリー表示をするかの選択など。
キーコンフィグは無いが、AとBボタンを入れ替える設定はある。
必要な機能は揃っているが、この手の復刻モノではよくある、
ブラウン管風のフィルター機能が無いのは、人によっては寂しいところかも。
資料では当時の貴重な写真もオマケで収録。
これは暴れん坊天狗の宣伝に飛ばした飛行船だ。
ちょっと目を疑いましたね!合成写真じゃなくてマジで飛ばしたそうです!
俺は今回が初プレイで、
難易度ハードはかなり苦労させられて顔色が天狗になったけど、
製作スタッフのギラッギラのセンスと作り込みは今遊んでも感服しかない。
ゲームとしても理不尽なところはありつつ面白かった。
特にエンディングでいきなり「自由の国アメリカの勝利だ!USA!」ってなるノリも最高。
「お前それで誤魔化せると思ってるのか?」感が凄くて必見だぞ!
便利機能が搭載されているからクリアするだけなら誰でもできるし、
海外版や資料、サウンドテストも収録して1200円はお買い得。
令和に蘇った怪奇天狗ゲーム、是非体験してみてくれ!