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確実な進歩が見えたファミコン風ご当地ADV3作目!『大分・別府ミステリー案内 歪んだ竹灯篭』レビュー!【Switch/PS4/PC】

 

 

歪んだ竹灯篭[ゆがんだたけとうろう]大分・別府ミステリー案内 - ハッピーミール株式会社

 

『大分・別府ミステリー案内 歪んだ竹灯篭』のレビュー行くぜ!

 


パブリッシャー:フライハイワークス

機種:Switch/PS4/PC

ジャンル:ファミコン風コマンド選択式旅情アドベンチャー

発売日:2022/7/7(Switch)2022/8/16(Steam)2022/9/9(PS4)

価格(税込):1980~2000円


 

ハッピーミールとフライハイワークスが展開する

ご当地要素の強いファミコン風アドベンチャーゲームの第3弾だ。

脚本として新たに『ゲームセンターCX』でお馴染みの岐部昌幸 氏を招き、

大分・別府を舞台にご当地ムードたっぷりの物語が展開される。

 

ちなみにこのシリーズ、主人公と相棒のケンは共通しているものの、

作品ごとにシナリオが独立しているので、

どこから遊んでも楽しめるようになっているぞ。

 

・過去作レビュー

Switch/PS4「伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠」レビュー!期待を裏切らない完成度!こだわり溢れるファミコン風ADVに大満足だ! - 絶対SIMPLE主義

 

前作を凌駕するボリューム!その気合が空回り?『秋田・男鹿ミステリー案内 凍える銀鈴花』レビュー!【Switch/PS4/PC】 - 絶対SIMPLE主義

 

テンポ良く進んで面白かった1作目に

ボリュームが増した弊害で歪みが出ていた2作目と続いていたが、

3作目は2作目の反省を踏まえてグッと完成度が高まっていた。

今後のシリーズ展開にも期待が持てる内容だったぜ。

 

 

ストーリーは刑事であるプレイヤーとその後輩である開明寺ケンが、

新設された「特殊広域捜査班」、

通称「トッコウハン」への転属となるところから始まる。

本庁や所轄などの垣根を越えて自由に捜査ができる部署だが、

今のところ人員はプレイヤーとケンの2人だけ。

体よくお払い箱にされただけでは?

と不安になったところに飛び込んできたのが、

別府で開催されるイベントを警備する特別任務。

そこから思わぬ事件へと発展していく……というもの。

 

全国各地への捜査がしやすくなる「トッコウハン」の新設定や、

今回初登場となる上司など。

まだまだシリーズ続けたいから一回設定を整理したい意図を感じる!

 

 

ゲームとしては過去作と同じでファミコン風のコマンド選択式ADV。

色々な場所に移動して聞き込みや調査で証拠品を集めていき、

進行フラグが立てばストーリーが進行する。

今回からカーソルを動かして画面をあちこち調べる要素が追加された。

ファミコン時代では多かったけど、

このシリーズでは採用してなかったシステムだね。

そこまでシビアな箇所は無いので安心。

 

 

システム面では変更点が多く、

これまで「センパイ」で統一されてたプレイヤーキャラの名前を

自由入力可能にもなったし……。

 

 

オプションで文字表示速度を「スキップ」にすれば、

ボタンを押すことで文章を早く表示可能になった。

自分のペースで読み進められる。

セーブデータも3個から10個に拡張だ。かなり快適になったね。

地味に手間掛かってそうだぜ。

 

 

シナリオもグッと良くなっていて、

序盤の「軽い事件を捜査してるシーンから始まって別府へ」

という流れがまずスムーズ。早速「前作とは違うな!」と思えた。

 

 

伝統工芸を受け継ぐ名家とアートクリエイターが組んでチャレンジする、

最新のデジタルアートイベントと、それに関連したSNSでの騒動。

ドローンの登場などなど。

シリーズの中でも特に「現代だからこそ」「この舞台だからこそ」

というテイストが強いシナリオになっていて、

二転三転する事件の展開に翻弄されっぱなし。

 

 

前作でおふざけがくどかったケンも、後輩キャラとして落ち着いていて一安心。

思えば2作目はケンの鼻の下を伸ばした表情見ることがやたら多かったな……。

観光案内気分が味わえるテキストは健在だが、

長々と強制的に読まされるようなところは少なくなり、

ボタンでのスキップが可能になったのと合わせてこちらもバランス良くなった。

 

観光案内テキストはこのシリーズの大事なところで、

前作はバランスが悪かったってだけの話だからね。

今回は大分・別府が舞台なこともあって、遊んでると温泉に行きたくなってくるぜ!

 

 

今回のヒロインである麻生文花も

ちょっと抜けてるけど頑張り屋で応援したくなるキャラだ。

というかマジで幸せになってくれって言いたくなるよ……!

 

 

いかにもなセリフ回しで首を突っ込んでくる家政婦のミツさんや、

アート集団の代表でやたら横文字を使いたがる山口氏など。

今回も脇役がいい味出してる。

 

 

調査の過程で出会うモブキャラもクセの強い人が多くて笑えるし、

このノリは「旅先で出会った変わった人との会話」っぽさと、

「ファミコンのゲームっぽいコミカルさ」があって好き。

 

 

クラウドファンディング関連の小ネタも雰囲気壊して無くて良かった。

お店に飾られたサインの1つにはなんと成田良悟のものも!

普通にテンション上がってしまった。

 

 

前作から上手く持ち味を活かせる方向に進んだな……という内容だが、

気になったのはおまけの解放条件。

クリア後に見れるおまけが5つ用意されているんだが、

解放はゲーム中に完全ノーヒントの条件を満たす必要があるため、

普通にクリアするだけだと1個も解放されなかったりする。

色々試しながら何週もして条件を探してくれ……ということらしいが、

スキップがあるとはいえ、一本道のADVでやらせることじゃないと思う。

これは完全にハッピーミールの悪いところ出たなぁ。

ファミコンのADVだってこんな仕様ないだろ!

 

シナリオの完成度は上がっているものの、

後手に回る期間が長いので、事件が動き出すまでがちょっとじれったく感じた。

シリーズ通して別人として毎回登場してるレイジが

今回は全然魅力が無いキャラなのも残念。

ここはまあ、スターシステムなのでこういう時もあるか。

 

 

ボリュームは1作目と2作目の中間くらい。

今回もちょっと話重すぎてしんどいところはあったが、

人間関係が入り組んだサスペンスドラマ感たっぷりのシナリオや、

ラストの演出などは見応えあり。切なさのあるメインテーマもマッチしてる。

前作で批判された点に全力で向き合ったと言える作りもあって、

シリーズの今後に期待が持てる3作目だったね。

ご当地要素と現代ならではのシナリオを軸にしているのは、

巷に溢れるファミコン風のゲームとは一線を画してる点だと思うので、

今後も末永く続いて欲しいぜ。