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「王者」復活ならず!?コロコロの新作昆虫ゲームは何かがおかしい!『カブトクワガタ』レビュー!【Switch】

 

カブトクワガタ ダウンロード版 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)

 

『カブトクワガタ』のレビュー行くぜ!

 


パブリッシャー:小学館

機種:Nintendo Switch

ジャンル:甲虫バトルゲーム

発売日:2023/3/15

価格(税込):1980円


 

『甲虫王者ムシキング』をプロデュースした植村比呂志氏と、

コロコロコミックがタッグを組んで送る完全新規の昆虫ゲームだ。

ロゴやメインビジュアルもかなり「甲虫王者」感出してる!

定価は1980円だが、発売記念で1か月980円セールが開催中。

今思えばこの時点で疑うべきだった。

 

インディーゲームに近い規模感で作られたそうだが、

企画開始から完成までをコロコロで追いかけたり、

ウェブサイトで連動マンガの『ゲーつくっ!!』を連載したり、

『おはスタ』で紹介したりと様々なメディア展開がされている。

 

 

インパクト重視の意味不明なウェブCMを連発する販促も行われたぞ。

今思えばこの時点で疑うべきだった。

 

[第1話]ゲーつくっ!! - ギャル王子 | 週刊コロコロコミック

 

『カブトクワガタ』インタビュー。“あの”『コロコロコミック』が開発する新しい“昆虫ゲー”とは!? 『甲虫王者ムシキング』のクリエイター・植村比呂志氏と手掛ける新作の秘密に迫る | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com

 

面白そうな企画だし、

Switchで昆虫のゲームは意外と全然出てなかったりするので、

それなりに期待して買ってみたらビックリ!

何もかもがズレているとしか言いようがない内容だったぜ……!

 

 

タイトル名を『カブクトクワガタ』と誤字ってるのをスルーしてゲームスタート!

今思えばこの時点で疑うべきだった。

 

 

巨大な昆虫が生息する異世界にワープしてしまった主人公が、

暴れ回る赤い目の昆虫と戦いながら元の世界に戻る方法を探す……という内容なんだが、

セリフがすべて合成音声によるフルボイス!

主人公も仲間もモブもシステムボイスも全部これだ!

カーソルを動かす度にこれで読み上げてくれる!

低予算のYoutube動画を思わせる異様な雰囲気がゲームを支配しているぞ。

子どもは低予算のYoutube動画をよく見るから大丈夫という判断か!?

 

恐らく小さな子どもでも遊びやすいように、

予算内で試行錯誤した結果あえてこうしているんだとは思うんだが……。

全部この声で「オフに出来ない」からゲーム内容が頭に入ってこない!

会話中にBGMが全然流れないとか効果音が変とか、

調整が微妙とかそもそもセリフ回しが変とか演出のせいも大きいと思うわ!

 

 

ゲームの流れは町にあるデカい樹で昆虫を探す。

見つけたら手持ちの昆虫でバトルを挑んで勝利すればゲット。

手に入れた昆虫同士を交配されて更に強い個体を作る。

今いる場所の昆虫のオスを全種類捕まえたら次のエリアへ。

を繰り返して進行する。

 

……が、すべての部分が問題だらけ。

 

 

致命的過ぎるのが昆虫バトルがまったく面白くない点。

「押したところで止まるルーレットでデカい数字出した方が攻撃する」

を最初から最後まで繰り返す内容で、駆け引きの要素がまったくない。

能力差がすべて。力こそパワーのゲーム。

 

画像だとライフゲージが5本あるように見えるが、

どんな攻撃でも1回喰らうと残り1ライフまで一気に減り、

その状態で更に攻撃を受けたら負けなので実質2ライフ。

すべての昆虫がこの仕様で固定されている。どういうことなの……。

 

 

戦闘に使うステータスが「つよさ」1種類のみという潔さがまず凄い。

RPGや育成ゲームでここまでステータスが簡略されたゲームなかなか見ないぞ。

レベルアップの要素も無いので弱い虫は永遠に弱い。

 

一応、昆虫自身に三すくみの属性があって、属性で勝つと数字が少し有利になるし、

1戦に1回だけ使える昆虫固有のスキルもある。

ただ、属性相性もある程度ステータス差があるとどうにもならないし、

スキルも同様なので「体力回復」「ルーレット速度低下」

「2回止めて高い方を出目に出来る」辺りは完全に死にスキル。

数字を大きくする「げんきアップ」だけは同格相手なら有利かなって程度だ。

ちなみにこのゲーム完全な1人用なので、対戦に活路を見出すこともできない。

 

子供向けだしゲーム部分が単調でも演出とかが派手なら……と言いたいが、

トドメ演出で炎が出たりするものの、必殺技を使い分けるような要素は無いし、

どの昆虫も似たような動きをするからすぐ飽きちゃう。

バトル中も合成音声のボイスが飛び交うし気力が削がれるぜ!

 

 

そしてバトルをすると下がる「げんき」がMAXじゃないと昆虫は強さを発揮できない。

その度にえさのゼリーを食べさせてげんきを回復させる作業も挟まるのだ。

 

 

昆虫を探すパートもデカい樹の周りをグルグル回って探すだけの単調な作りだ。

見つけたらカーソルを合わせてバトル開始。

目視で形状の違いやオスメスの違いを見分けながら、

お目当ての昆虫を探す感覚は昆虫採集感あって悪くないかな。

 

同じ種類のオスとメスを捕まえたら、

お店で交配させて卵を産ませることが出来るんだが……。

「オスとメスが、こうびしました。」という淡々としたセリフと共に、

3Dの虫がオーラを放ちながら交尾するド迫力の演出が挟まるぜ!

このシーンとセリフいるかなぁ!?力の入れ所が明らかにおかしい。

交配させまくるゲームなのでこれを何十回も見ることになるぞ。

クリアする頃には交尾を見飽きてるはず。

 

 

ショップのお姉さん3人いて、それぞれイントネーションが微妙に違うのも注目。

ここから先は君たちの耳で確かめてみてくれ!

 


交配後はこれまた異常にリアルな幼虫にエサを与えるシーンへ。

良いエサを与えると強く育つ!以上!という単純さ。

ショップではエサの購入の他に昆虫の売却も出来るので、

高額買い取りの昆虫に卵を産ませて、エサ与えて育てて売るの繰り返し。

これで金が無限に稼げる(エサ代より昆虫の売値の方がずっと高い)。

 

交配パートは最初から最後までこれを繰り返す作業なので、昆虫業者になった気分が味わえる!

簡単に最強ステータスのデカい昆虫を作れるのでやりがいが無いぜ!

 

 

シナリオも意味不明の投げっぱなし。

ファンタジー世界にワープしてきたのに、

なぜかショップの人から図鑑アプリをスマホにインストールされるし、

 

 

登場キャラのイラストは結構いいのに、

みんな不自然な説明セリフを連発するだけなので全然魅力が無い。

シナリオは大半の謎を謎のまま投げっぱなしでエンディングを迎えるぞ!

 

 

雑翻訳の海外インディーゲームみたいな言い回しがポンポン出てくるんだが、

本当に日本のゲームなんですよね?

機械翻訳を合成音声に読み上げさせてるわけじゃないんですよね?

 

 

「ここは山奥の村。凄い山奥だ。」

の小学生らしい語彙が炸裂してるセリフは好き。

 

細かい部分で気になったところだと、

セーブファイル1個だけなのにオートセーブが無い、

昆虫に自由な名前をつけられない、アイテムのまとめ買いが出来ない、

メニューの挙動がもっさりなど。

低予算のゲームはこういうところにも低予算感が出るものだ。

 

 

唯一褒められる点としては昆虫のリアルなモデリング。

フルプライス作品と言われても通用するレベルだ。

見てくれよ!このニジイロクワガタのベストショット!

 

 

グラントシロカブトの質感!

このレベルでオスとメスを合わせて24×2種類作ってあるのは、

値段を考えれば破格のクオリティだ。

体格差がグラフィックに反映されるし、レアな色違いなども存在する凝りっぷり。

 

 

ただ、バトルパートのくだりでも説明したように

モーションの種類が少なくて似たり寄ったりの動きだし、

設定上は「巨大昆虫」なのに巨大さを感じられるシーンが全然無いのも残念。

背景に人間とかハシゴとかをちょこんと置いてあるくらい。

 

 

小学館の図鑑NEOのデータを元にした情報が見れるのは、

発売が小学館であるところを活かしてるところかな。

 

 

図鑑をコンプしてクリアするまで4時間!

昆虫集めがスムーズにいけば3時間くらいで終わると思う。

1人用で対戦モードは無いし、バトルも育成も底が浅いから、

クリア後は色違い探しくらいしかやることが無くなる。

子ども向けゲームなので単純なのは別にいいと思うんだが、

単純でも遊び続けたくなるような魅力に欠けている内容だ。

「5歳くらいの子どもから大人まで楽しめる内容です」

 

「第1ターゲットは小学生男子ですけど、同じくらい重きを置いているのは“かつてのファン”の大人たちです。」

ってインタビューで言ってるけど大きく出ましたね……!

 

キャラデザと昆虫のモデリング以外に褒められる箇所無し!

低予算で酷くなったところと、

予算関係なく変なところが合わさってカブトクワガタになる。

まあ、実質980円の子ども向けゲームと考えればこんなもんではあるが、

コロコロコミックがムシキングの開発者と組んで作る完全新作の昆虫ゲーム!

ってところからこんなのが飛び出すとは思わねーって!

 

さすがにコロコロがガッツリ絡んでてこれだけで終わるとは思えないから、

『カブトクワガタ2』に期待しとこう!