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ストイックな「異星の探索」感と、滲み出る黒い任天堂っぷりが魅力!『ピクミン1』レビュー!【Switch】

 

ピクミン1 | Nintendo Switch | 任天堂

 

『ピクミン1』のレビュー行くぜ!

 


パブリッシャー:任天堂

機種:Switch

ジャンル:ストラテジーアクション

発売日:2023/6/22

価格(税込):3000円

 

備考:『ピクミン2』とのセットなら4980円。

9月22日に『Pikmin 1+2 (ピクミン1+2)』としてパッケージ版も発売。


 

2001年にゲームキューブで発売された記念すべき『ピクミン』1作目の移植版だ。

グラフィックがHDに最適化され、操作性などでも調整が入っている。

1作目が移植されるのは2008年のWiiソフト『Wiiであそぶ ピクミン』以来。

俺が遊ぶのはリアルタイムで購入したゲームキューブ版以来だ。

当時はCMソングの「愛のうた」が大ヒットしてて、どこ行っても流れた記憶ある。

何もかも懐かしい……。

 

 

栄光のSIMPLEシリーズにおいて『THE原始人』や

『THE ネコ村の人々 ~パグ代官の悪行三昧~』といった数々の名フォロワーも生んだ名作だ。

というか『ピクミン1』は当時バッドエンドしか見れなかったので、

散々遊んだSIMPLEシリーズの方が思い入れあったりする!

 

『ピクミン1』はどこか切なく牧歌的なCMソングとは対照的に、

「異生物が闊歩する未知の惑星」を容赦なく表現した内容になっており、

30日というタイムリミットで各エリアを攻略していく構成は今遊んでも新鮮。

改めて遊んでもよく出来ているゲームだった。

とはいえ、そこが結構人を選ぶところでもあるかな。

 

 

宇宙船ドルフィン号で宇宙を旅するキャプテン・オリマーは

流星にぶつかって未知の惑星に不時着してしまった。

猛毒の大気に耐えられる生命維持装置のタイムリミットは30日。

それまでにバラバラになったパーツを集め、ドルフィン号を修理して脱出せよ!

めっちゃ危機的状況から始まるSFサバイバルな導入だぜ。

 

ちなみに宇宙船ドルフィン号の名前の由来は、

ゲームキューブの開発コードネームだった「ドルフィン」と言われている。

今は知らない人の方が多そうだ。

 

 

オリマーは現地で遭遇した不思議な生き物ピクミンと協力して

危険な生物いっぱいの惑星を探索することになる。

3種類いるピクミンはそれぞれ能力が異なり、赤ピクミンは火に強い、

青ピクミンは水に強い、黄ピクミンは高く飛べて爆弾も持てるぞ。

 

 

最初の遭難地点から少しずつ探索範囲を広げていき、

各エリアに散らばった30個のパーツを集めていくのがゲームの目標。

タイムリミットが30日で1日に1エリアしか探索出来ないので、

「今日はどのエリアに行くか」「今日は何をするか」「どのピクミンを連れていくか」

の段取りをしっかり考えていく必要がある。

時にはピクミンを連れずにオリマー単独で未開のエリアを偵察したり、

過去のセーブデータからやり直したりして進めていくのだ。

 

 

ピクミンは最大100匹まで連れ歩くことが可能で、

食べ物などを運ばせて持ち帰ることで少しずつ増えていく。

オリマーを操作してピクミンをポイポイぶん投げながら、

危険な生物を倒したり、道をふさぐ柵を破壊したり、爆弾で壁を破壊したり、

発見したパーツを運ばせたり、

パーツを運ぶためのルートを確保したりとやることは一杯。

 

リアルタイムで時間は流れ、

夜になると原生生物が活発化するのでその日の探索は終了。

オリマーからはぐれちゃったピクミンは食われて死ぬので助けないといけないが、

ピクミンは簡単に増えるしやることも多いので諦めも肝心である。

 

 

ピクミンは簡単に死ぬ。

ここが本作で一番緊張感あるところで、

青ピクミン以外はちょっと水に落ちただけでガンガン死んでいくし、

ボスとのバトルで指揮をミスるとピクミンが一瞬で消し飛ぶぞ!

本当に容赦なくピクミンが減るので、

ピクミンを可愛いマスコットとして見ている人間も、

ピクミンをただのゲームのユニットとして見ている人間も、

難所では平等に悲鳴を上げることになるぜ。

 

ピクミンをムシャムシャ貪り食う敵が多いのは

これが食物連鎖だ!というメッセージを感じる。

 

 

原生生物の死体をピクミンたちがアリのように運んでいく光景は、

生々しい逞しさがある。

ピクミンは可愛いけど何故か助けてくれる現地の生物って扱いで、

雑に増えて雑に死ぬし、何を考えてるかよく分からないから一緒にいて結構怖い。

 

 

なんなら主人公のオリマーも怖がっている!

このオリマーの独白のみで進行するストーリーもSF小説のような味わいがあり、

遠い母星にいる家族に想いを馳せながら、

考察を重ねて手探りで惑星探索を進めていく構成が面白い。

 

 

発見したパーツに一個一個コメントするのも細かくて、

ガイガーカウンターにめっちゃノンキなコメントしてたりもするぞ。

もしもし宮本茂?ちょっと黒すぎない?

任天堂は作品内で結構ブラックな表現をすることが割と多く、

その度に「黒い任天堂」などと言われたりしてるんだけど、

本作のバッドエンドとかはちょっとアクセル踏み過ぎじゃねーかな!?

 

 

ジャンルとしては様々なユニットを使い分ける

リアルタイムシミュレーションゲームに近いんだけど、

「オリマーでピクミンを投げる」という単純な操作形態や、

最大100匹でワラワラ歩き回る感覚、探索要素との絡め方、

時間に追われる中で自分で段取りを決めるゲーム構成などで、

今見ても独自性の高い1本になっているね。

 

久々に遊んだけど面白かったし、

HD化されたグラフィックや原生生物のモーションは元が2003年のゲームとは思えない。

気になったのはある程度Switch版で操作性が修正されてるのを踏まえても

細い道を移動する操作などがやり辛いのと、

青ピクミンがちょっと見つけ辛かったくらいかな。

 

各エリアの情景や

チャッピーを始めとする原生生物の生態もしっかり考えられていて、

めっちゃオタクが作ってる!って感じする。

 

 

ピクミンたちのベースの着地跡がミステリーサークルになってるのも好きだなぁ。

 

ただ、初見殺しや意地悪な地形が結構多くて難易度高めだし、

時間制限があって条件を満たせないとバッドエンドになったりと、

ややストイックな作りなのは人を選ぶところ。

当時もCMのノリで買って苦戦してたユーザー多かった印象ある。

それでも「移植で時間制限無しのモード追加!」をやらなかったのは、

それがコンセプトの否定になるからだろうし英断だと思うね。

 

ピクミンはかなり雑に増えるので、

駒と割り切ってゴリ押しで進むと実は結構簡単なゲーム。

「ピクミンは可愛いから何とか死なせずに進みたい……!」

というプレイヤーの葛藤がそのまま苦戦へと繋がるバランスは絶妙だと思った。

立ち回りを学んでの2周目以降や、5つの専用エリアで

「1日でどこまでピクミンを増やせるか?」に挑むチャレンジモードに手を出すと、

かなり果てしないゲームになっているぜ。

 

とりあえず俺は当時見れなかったハッピーエンドが見れて満足!

次は未プレイだった『ピクミン2』を遊びたいがまあそのうち……!