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琉球文化と魔法で描く、ド王道こそ最強のボーイミーツガール!『イハナシの魔女』レビュー!【Switch/PS5/PS4/Xbox/PC】

 

イハナシの魔女 公式サイト

 

The witch of the Ihanashi on Steam

 

『イハナシの魔女』のレビュー行くぜ!

俺が遊んだのはPS5版ね。

 


パブリッシャー:ケムコ/Fragaria/Seikei Production/Mayflower Entertainment

機種:Switch/PS5/PS4/Xbox/PC

ジャンル:ラブコメxファンタジーノベルアドベンチャー

発売日:2023/4/28(Switch/PS5/PS4/Xbox)2022/8/20(PC)

価格(税込):1980~2860円


 

沖縄を舞台にしたノベルアドベンチャーゲームで、

家族に捨てられた元高校一年生の主人公と、

魔女を名乗る国籍不明の女の子の交流を描いた内容だ。

 

価値観の違いとコミュニケーションを軸にしたシナリオで、

前半はラブコメ的なドタバタ、

話が少しずつ重くなっていって最後は怒涛の展開からの感動!

という、公式が「王道ボーイミーツガール」を名乗るだけのことはある王道っぷり。

徐々に成長していく登場人物たちの描写と、

怒涛のシナリオの盛り上がりがガッチリ噛み合っていて、

こちらの期待にしっかり応えてくれた!

 

オリジナルのPCを手掛けたのはFragariaで、ゲームを遊んだケムコのADVチームが

是非移植したいと頼み込んでコンシューマ版が実現したという素敵な経緯だ。

 

 

コンシューマ版の追加要素としてはコミケやSteamのDLCとして頒布した冊子

『イハナシの魔女 Append』などをゲーム内に収録してる。

コンシューマ版は値段が少し高めに見えるが、実は高くないってわけだ。

クリアしたら絶対見るべき内容だからなこれ!

 

 

ゲームとしては完全に一本道のノベルゲームで、

選択肢はあるが話の順番が少し変わるだけだったり、

本筋に関係ない話を見るか見ないか選ぶだけだ。

 

主人公は幼いころに両親を亡くし、叔母の元で暮らしていた高校生の西銘光。

祖父の家で暮らすように言い渡されて沖縄の離島「渡夜時島」に出向く。

しかし祖父は海外に移住しているうえに、事情を聞きたい叔母は音信不通。

登校するはずの高校に籍も無く、光は自分が捨てられたことに気付いた。

なんとか生きるしかない!と決意したところで、

畑の一角を不法占拠してサバイバル生活してる謎の女の子リルゥと出会う。

「本物の魔法」を使い、魔女を名乗る彼女と交流を続けてるうちに、

彼女の目的と衝撃の事実が明らかになる!というお話。

 

魔女のリルゥは日本の常識が全然通じないし、

光自身も色々酷い目にあっているので人間関係で踏み込めないところがある。

そんな二人が少しずつ打ち解けていく姿が見所だ。

 

 

光は島に来て早々、分かりやすくよそ者を排除に掛かる老人3人組の

ジェットストリームアタックを喰らうわ……。

 

 

家が無いのでリルゥと一緒に蛇を焼いて食ったりとかなりサバイバル!

ここから祖父が残した家に住み着いて仕事を探してと、

なんとか生活を安定させて流れがワクワクするし、リルゥが見せる魔法の力もすごい。

 

 

メイン2人以外も濃いキャラ揃い。

アカリちゃんこと赤摘明は光を助けてくれる夢高き美少女。

美少女アピールしながらグイグイ絡んで来て、

貧乳ネタを擦る辺りが一昔前のギャルゲー感あるが、

湿っぽすぎる序盤の空気を1人で吹き飛ばしてくれるワンマンアーミー。

コネで光の世話を色々焼いてくれるし好感度高い。

 

 

某アイドルゲームみたいな選択肢を突然出したりするので無法。

美少女は無法でも許される。

 

 

アカリちゃんに絡んでくる金髪縦ロールの勲茶殿妃里子は

見たまんまの分かりやすいお嬢様だ。お嬢様なので名字が高貴。

2人の熱いバトルと友情も見所だぞ。

 

中盤に登場する保険販売員の比嘉紬さんは

おっとりした性格と胸のデカさで光をドキドキさせる大人のおねーさんだ。

「仕事がうまくいかずに苦悩する日々を送る」と書いてあるが、

このうまくいかない描写が色んな意味で凄まじい。

共感性羞恥の人が遊ぶと、ギャラドスに雷技打ち込むくらいのダメージを受ける勢い。

ギャグマンガに出てきてもキツそうなキャラなんだけど、

このゲームはギャグマンガでは無いんだよなぁ!

紬さんがよくやるドラクエのザコ敵みたいなポーズ好き。

 

 

紬さん含めて初見だと「こいつ大丈夫かよ……」

「こいつ好きになれる気がしない!」ってキャラもいるんだけど、

光やリルゥとの交流でしっかり見せ場と成長があるから、

終わるころには好きになってる構成がいい。

ちょい役かと思ったら凄い存在感あったりで、

ゲームを終えた後はこいつらがいて良かった!と思える。

 

 

そして本作で一番魅力的なのはやはりメインヒロインであるリルゥ。

理想と現実の狭間で悩む登場人物たちに

異なる価値観からの視点で真正面から問いかけ、

奮い立たせる姿が本当に強くてカッコいいし、時折滲み出る優しさにもグッと来る。

魔法が使えるうえに魔法パワーで身体強化もしてるので、

単純に戦闘能力の高さでも頼もしい。

ドラマ的にもアクション的にも「リルゥ早く来てくれーーっ!」ってなる場面が多いぞ。

いつもクールなんだけど打ち解けてからは他の女性に目が行く光に嫉妬したり、

好意を正面からぶつけたりするシーンも多く、このクーデレ描写が絶品だぜ!

 

一枚絵の数がそこまで多くないゲームなんだけど、

その分ここぞという場面で、これしかない1枚をバシッと出してくれるのも見事。

終盤は「ここでこの絵を出されたら泣くしかない!」と思ったプレイヤー多そう。

 

沖縄の離島が舞台というのもシナリオや背景スチルに活かされていて、

交通の不便さや台風、季節、仕事などに関連したエピソードは新鮮味があり、

日常パートも読んでて面白かったね。

 

クリア後に読めるエクストラでは、

本編だとドラマ重視ですっ飛ばした設定回りを徹底的に解説してくれるので

気になってる人は余韻に浸りながら読むことでスッキリ。

 

 

王道、ありがとう……!

劇中の沖縄の空のような爽やかな気持ちで読み終えられた。

コミュニケーションと価値観の話としてよく出来ているし、

クセの強い登場人物たちの成長と伏線と謎が収束していく物語構成は、

一本道のノベルゲームだからこその満足感だった。

王道の良さを堪能したい者よ、これを買えッ!