『探しものは、夏ですか。』のレビュー行くぜ!
パブリッシャー:KEMCO
機種:PS4/PS5/Switch/XBOX/PC
ジャンル:ノベルアドベンチャー
発売日:2023/8/25(コンシューマ)2023/9/20(PC)
価格(税込):1430円
2018年に公開され、スマホでも発売されたノベルアドベンチャーの移植作だ。家庭用版ではフルボイス化とスチルの追加に加え、スマホ版の後日談も収録した完全版となっているぞ。
シナリオは爽やかなメインビジュアルとあらすじから期待する通り。良い話ではあったが……個人的には捻りの無さを感じてしまって、そこまでではなかったかなあ。
主人公は大学一年生の空木恭平。
世話になった駄菓子屋のおばあさんの訃報をきっかけに田舎に帰省したが、その駄菓子屋で謎の女の子と遭遇。偶然着替えを覗いた形になった弱みを握られ「無くしたビー玉」探しに協力させられる。そこに謎の失踪事件や主人公の記憶に眠る12年前の女の子といった要素も絡み、夏休みの物語が動き始めた!
というストーリーになっているぞ。
ゲーム自体はオーソドックスなノベルゲームで、選択肢による分岐はフローチャートで分かるので難しいところは無い。
既読スキップの設定や表示設定など、基本的な機能も抑えてあるぞ。
謎の少女である織原真琴は主人公の弱みを握って、事ある毎に警察への通報を仄めかして高圧的に接してくる。久々に見たぞパワハラ系ヒロイン!劇中でも突っ込まれたが勝手に駄菓子屋占拠してたくせによぉ~!
序盤は真琴にめちゃくちゃ文句言われながら進行するが、段々と可愛いところも見せてくるようになる。
夏の雰囲気たっぷりな田舎を探索していくうちに、様々な謎に繋がる手掛かりが見つかっていくし、真琴はなぜビー玉を探しているのか?という部分も重要なポイントになっている。印象的なアイテムとして瓶入りラムネが度々出てくるのが、いかにも夏休みの田舎って感じがあって良い。
煮え切らない生活を送っている主人公の成長物語がシナリオの軸であり、距離感のある祖父との会話や、一歩踏み出せない描写の数々にヤキモキさせられるぜ。
中盤から後半に掛けて物語が一気に進む構成で、複数のルートをすべて通る意味があるし、伏線を一気に回収してエンディングで盛り上がる王道の展開だ。
ただ、ギミックがシチュエーション先行で強引かつ捻りが無かったり、勢いがあるというより駆け足に感じる展開などで「こういう王道が良いよね!」と素直に受け止めるテンションにはなれなかった。メインヒロインである真琴のことが、個人的に最後まであんまり好きになれなかったのが大きいかもしれん……!
水彩風の綺麗なスチルが沢山あるところは良かったし、めっちゃ夏感ある主題歌やフルボイスも頑張ってる点だった。
全ルートクリアまで4時間くらい。
良くも悪くも予定調和の内容でそれなりに楽しめたけど、それ以上ではない……くらいの1本だった。PVの雰囲気が好みなら、ってところかな。