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パロ、自虐ネタ満載!トホホなB級ヒーローここに見参!『EAT LEAD マット・ハザードの逆襲』レビュー!【Xbox360/PS3】

 

Eat Lead Microsoft store

 

『EAT LEAD マット・ハザードの逆襲』のレビュー行くぜ!

 


パブリッシャー:D3パブリッシャー

機種:Xbox360/PS3

ジャンル:TPS

発売日:2010/2/8

価格(税込):6500円

備考:Xbox One/Xbox Series X|S後方互換対応(4K


 

落ちぶれた元・大人気ゲームヒーローであるマット・ハザードが、色んなゲームの世界で大暴れ!

我らがD3パブリッシャーがXbox360/PS3時代に海外で発売したTPSだ。

PC版や移植、ダウンロード版は無いため、

今は360パッケージ版をXboxの後方互換で遊ぶのがベスト。

まさかの4K対応でハザードタイムだ!(決め台詞)

俺が昔からプレイしたいと思ってたゲームで、最近買ったXbox Series Xでクリアまで遊んだのだ。

 

開発は『Dead Head Fred』や『EARTH DEFENSE FORCE:INSECT ARMAGEDDON』『パズルクエスト』などを手掛けたヴィシャス・サイクル・ソフトウェア。

もう無くなっているメーカーだ……。

アイアンレインはインセクトアルマゲドンの続編ではありませんよ。

 

当時のD3パブリッシャーがかなり気合入れて日本語ローカライズしており、

主人公の声優は今も大活躍中の小山力也!

当時は『24 -TWENTY FOUR-』の吹き替えが一番有名だった時期だね。

更にマットを導く謎の美女QAの声は名塚佳織!

日本語翻訳はなんと冲方丁が担当しているぞ。

『セガガガ』のシナリオもやってたし割と変な仕事してるな冲方丁。

 

PVでも小山力也を使い倒す方針で、

主人公のマット・ハザードがSIMPLEシリーズに出演していた!?

というウソネタ満載のPVも作られた。

 

 

 

 

 

っていうかD3のPVのノリが今と全然変わってねぇ!

 

パロ、自虐ネタが満載のB級ど真ん中な内容になっているが、

TPSとしてめちゃくちゃ平凡な作りになっているし、

ギャグがしょうもないネタばかりで苦笑するしかなかったりと、

なかなかにトホホな完成度になっているぞ!

 

 

1980年代のゲーム業界で大ヒットを飛ばし、

シリーズ作品を連発しまくったゲームキャラクター、マット・ハザード。

しかし、人気絶頂の時にチャレンジした子供向けカートゲームが超クソゲーで、

会社の株価も人気も暴落。そのままマットの存在は世間から忘れられていった。

そのまま燻っていたマットのところに、新作ゲームへの出演依頼が舞い込む。

しかしそれはマットを抹消しようとするゲームメーカー社長の罠だった。

ゲーム世界を巡って生き残れ!マット!

 

という「落ちぶれた元ハリウッドスターが再起を賭ける」みたいな筋書きを、

中途半端にゲームに置き換えた妙なシナリオである。

 

 

焼き肉屋でヤクザの群れと戦う勘違い日本映画のようなステージから始まり、

西部劇になったりSFになったりロシア軍の基地になったりと、

混沌のゲーム業界に銃を乱射しながら突き進む構成だ。

ゲームネタに次いで映画ネタも多い。

 

武器も普通のピストルから西部劇らしいリボルバー、

明らかに『HALO』が元ネタのプラズマ装備に、

マットが過去に出演したゲームから水鉄砲が登場したりとバラエティ豊かだ。

(ちなみにスプラトゥーンより前の作品です。)

 

 

メタ、パロ、自虐ネタ満載で、長くて分かりにくいガイド表示に文句を言ったり、

ボスの下手な翻訳っぽいセリフにツッコミを入れたり、

敵がグレネードを投げてきたら「投げ返すボタンは無いのか」って返したり、

ショボくて単調な動きのNPCをいじったり、

銃が弾切れになってもボタンを押し続けてると文句を言われたりふざけ倒してる。

ムービーでもプレイヤーが操作してる戦闘パートでも、

常に小山力也ボイスによるボヤキやツッコミが飛び交うぞ。

劇中でダサい扱いを受ける決め台詞「ハザードタイムだ!」が耳に残る。

 

敵キャラのセリフも細かく、水鉄砲使う敵は水場を探すセリフを喋るし、

マットを倒した時のセリフも敵の種類によって異なる。

ザコの断末魔が「なんじゃこりゃぁ!」「ひでぶ!」だったりするのは悪ふざけだろ!

 

 

ロード中には「ロード画面を見るのは楽しいよな!」とか言われる。

楽しくねぇよ!

後方互換で遊ぶとロードが短すぎて読めないのが惜しくもあるが、

まあロード時間なんて短いに越したことはねぇ!

 

 

マットの友人である人気ゲームキャラも多数登場だ。

ハテナブロックや土管でお馴染みの配管工のスーパーカルロや、

銀河の最強シェフであるマスター・シェフなどなど。

宣伝でウリにしてるけどこいつらほとんど出番無いじゃねーか!

でもマットがカルロに「姫によろしくな」って言うのかなり好き。

 

 

こちらは30作以上続いた国民的RPGのクラ……クモーリ・アメモヨウ氏!

テキストで長々と喋るので、ボタンを何度も押してテキストを送らないといけないぞ!

「……」を多用する喋る方にマットも段々と面倒臭がってイライラし始める。

これは当時の海外におけるJRPGへの空気感も含まれてそうな描写。

そもそもマットの服装がちょっとクラウドっぽくないか!?

ボルト付き肩パッドとかさ。

 

 

半世紀も開発してるのに発売されない『NUKE WINTER』なるゲームもチラッと登場。

あからさまに『デューク ニューケム フォーエバー』である!

1997年に発表されてから開発中断と延期を繰り返し、

海外でめちゃくちゃネタにされてたタイトル。

ちなみに本作発売から1年後の2011年に発売されている。

 

 

と、そんなくだらないB級ノリを楽しむゲームになっているんだが、

ゲームとしてはかなり平凡なカバーアクション型のTPSだ。

とにかく沢山出てくる敵をヘッドショットでチマチマ倒す平坦な作り。

ダメージを受けても一定時間経過すれば自動回復。

 

 

敵の火力が高いのでちょっと囲まれると即死するし、

ヘッドショットを何発も決めないと倒せない敵が大量に登場する。

中盤からは倒した敵がゾンビになって復活するのがまた面倒。

堅いザコ的の物量押しに最後まで苦しめられるぞ。

こんな面の皮が厚いゾンビがいるかよ!

 

物陰から敵にヘッドショットを決めるのは原始的な楽しさがあるが……。

白米だけ食べ続けるのはしんどいぜ。

 

近接攻撃なら硬い敵も一発で倒せるんだが、

もっさりした3連コンボを当てないと倒せないし、

無敵時間がないので横から撃たれて即死することも日常茶飯事。

「EAT LEAD(鉛弾を喰らえ!)」ってタイトルなのに喰わされてるの俺の方じゃん!

 

敵を一定以上倒してゲージを溜めると、強力な凍結と炎上ショットを使用可能。

制限時間はあるが敵を倒すとちょっと伸びるので、

これで連続コンボを決めていけばサクサク倒せるようにはなってるんだが、

無敵時間は無く、撃たれまくったら普通に死ぬから使い辛い。

メタル化する無敵アイテムも登場するが使えるのはほんの一部。

 

コンティニューが速いのは助かるが、

全体的に変に難しくてずっとチマチマしてるゲーム。

なんか思ってたんと違う!

 

 

ボス戦も腰の入ってないQTEバトルで済まされたり、

ボス本体よりワラワラ湧いてくる見飽きたザコ敵に苦しめられる構成が多かったり、

ラスボスもそんなだったりと、ここでもはっちゃけ感が足りない……!

 

ゲームが進むと色んな作風のザコがごちゃ混ぜに出てきてカオスになるんだが、

このせいで逆にステージ毎の個性が薄まっており、

「またこいつか」という印象が強くなるのも勿体ない。

ファンタジー世界のモンスターとかも欲しかったなぁ。

 

 

後半、『DOOM』や『ウルフェンシュタイン』を思わせる疑似2Dのザコが登場し、

ペラペラなので体を横にしてこっちの攻撃を避けてくるのは面白かった。

今見ても結構いいメタ表現だ。

 

 

他のゲームのキャラはイベントで浅いネタ会話をして終わりだが、

クモーリ・アメモヨウ氏はきっちりボスとして登場する。

コマンド選択を予兆に様々な攻撃をしてくるので、

ちゃんと「TPSのシステムでコマンド式RPGのキャラと戦う」構成なのが秀逸。

こういうボス戦が他にもっとあれば……!

 

 

その他、スナイパーライフルで防衛戦をするステージで、

ライフルがアーケード筐体になってるのはかなり好き。

ちゃんと金入れるところある!

 

 

滑りまくってるギャグと冗長なTPSパートを突き進むトホホなB級ゲーム。

クオリティの低い作品でメタネタや自虐ネタやると、

見てられない感じになるけど本作はかなり際どいぜ。

しかしノリや一部のネタに光るものはあるし、

小山力也ボイスによるボヤキとカッコつけセリフが最高なので、なんとか持たせてはいる。

細かいことは「ハザードタイム!」で吹っ飛ばす、愛すべきB級ゲーム……かもしれない!

 

本編発売から10年以上経ち、

すっかり歴史の闇に埋もれた感のあるマット・ハザードの大冒険。

リマスターとかも無さそうなので、

お近くの駿河屋やネットオークションでお買い求めください!

 

ちなみにシリーズでは2Dアクションである『Matt Hazard: Blood Bath and Beyond』も存在。

続編だけど日本だと発売延期の関係で先に出ちゃったり、

こっちはボイス無しのローカライズで冲方丁も関わってなかったりと、

なんとも「らしい」スピンオフだ。