内容は関係ないけど新作の前に過去作を……というわけで『スーパープリンセスピーチ』のレビュー行くぜ!
パブリッシャー:任天堂
機種:DS
ジャンル:アクション
発売日:2005/10/20
価格(税込):4571円
ニンテンドーDS時代に発売されたピーチ姫が主役の2Dアクションだ。
クッパに捕らわれたマリオとルイージを助けるために、ピーチ姫が新たな仲間「カッサー」と共に冒険に出る!いつもと逆転した構成のスピンオフ。開発はこの時期の任天堂タイトルでは『伝説のスタフィー』を手掛けていたトーセが担当している。これがもう19年前のゲームってことに驚くな……!
『プリンセスピーチ Showtime!』以前のピーチ主役タイトルだが、開発も内容も異なっていてストーリー的な繋がりはないぞ。
タッチパネルを活用した2Dアクションとしてはなかなか良作で、マリオファン的に嬉しい要素も色々。ただ、こじんまりとまとまり過ぎてもいるので、今遊ぶと中途半端にも感じる。シナリオ周りは不満が大きいぜ!
オープニングではキノコ王国から少し離れた「キド・アイラック島」で、強大な力を持った「キド・アイラックの杖」を手に入れたクッパの姿が描かれている。クリボーがキノコ王国の裏切り者って設定を活かした会話があるの珍しい。ちなみにここはクッパ城じゃなくて新設したクッパの別荘!随分と優雅だな!
今回はピーチ姫と一緒にクッパをぶちのめすぜ!
というテンションでゲームを始めたが、オープニングでクッパから下画面のトビラをタッチで閉めるように言われるし、その後のクッパ軍団がピーチ城を襲う場面では襲撃の合図をマイクで指示させられる。俺は一体どういう立場なんだ!?と混乱させられた。もしや俺こそが裏切り者のクリボーだったのか……?
そしてあっさり捕まってしまうマリオ・ルイージ・キノピオ!たまたま出かけていたピーチ姫がなんとかするしかない!
不思議な力を持ったカサの「カッサー」を相棒に進む2Dのアクションゲーム。
ステージのどこかにいる3人のキノピオを助けつつゴールを目指す構成だ。パズルのピース、楽譜などを探すのがやり込み要素。キノピオは無視しても進めるが、全キノピオを助けないと最終面に挑めないという条件が、後だしで開示されるのでコンプは必須。そういうのは最初に言ってくれよな!
通常攻撃はカサによる殴打で、カサで敵を持ち上げたり、持ち上げた敵をそのままカサで食べたりが可能。
そして下画面に表示された「喜・怒・哀・楽」のアイコンをタッチすることでピーチ姫の感情が変化し、対応した力を使用可能だ。「喜」なら嬉しくて空を飛び、「怒」なら燃え上がって炎を出し、「哀」なら滝のような涙を流し、「楽」なら楽しくなって体力回復。
使用にはカッサーゲージが必要で、これは敵を食べたり、あちこちにあるクリスタルで回復するぞ。
「喜」で高い場所に移動したり、「怒」で道を塞いでる氷を溶かしたり、「哀」の涙で水車をグルグル回したりと、ピーチ姫の情緒を不安定にしてステージのギミックを突破せよ!というゲームになってる。
「楽」の感情をキメて体力を回復するピーチ姫、大丈夫?それ脳内麻薬で痛みを忘れてるだけで回復してないんじゃない?
「テキを持ち上げた状態でしゃがむと オイラがテキをくっちまうカサー!」
とか堂々と発言するカッサーも怖い。
この発言のせいで、しばらく操作してないとカッサーがピーチ姫に覆いかぶさる小ネタがシャレになってない!
こんな星のカービィになれなかった悲しいモンスターみたいなヤツが相棒で大丈夫か?
「喜怒哀楽」の力を活用しながら進むアクションゲームとしては良く出来ている。
謎解きのバリエーションが乏しいなどはあるが、アイコンにタッチしてすぐに能力発動!という操作が直感的だし、下画面に表示されているピーチ姫も表情豊か。ステージは短めだがギミックやザコ敵の種類が豊富だし、ピーチ姫のカサを使ったアクションも操作してて気持ち良い。ジャンプからの落下攻撃とか、スライディングとかね。面倒になったらすぐに飛んで移動できるのも好き。
「怒っているから動きが違うパタパタ」など、感情違いでザコ敵のバリエーションを出しているのも面白く、新規ドットで表現されたピーチや敵の描写は申し分なしだ。
ピーチ姫の拍手、権力者の貫禄がある pic.twitter.com/Fs8T72uebt
— ゲームブロガー双葉ラー油 (@daikai6) March 21, 2024
ピーチ姫の権力者の貫禄を感じる拍手好き。
『スーパーマリオワールド』のマイナーなザコ敵が多く登場するのも個人的に嬉しかった。「アッパレ」出てくるの!??!?!!マジで?!?!?!?!?!?
他にもドラボンとかポンキーとかトーピードーとかブクブクとか……。なんでこんなに『スーパーマリオワールド』推しなのか分からない勢いだが新鮮で良かった。これこそが真のミスピーチワールドだという任天堂のメッセージを感じる。
難易度は基本低め。
ゲージさえあればいくらでも体力が回復できるし、そのまま攻略の答えみたいなヒントを出すブロックがそこら辺にあり、穴に落ちても手前からすぐやり直せるのだ。
ただ、ボス戦はパターンの見極めがそこそこシビアでハナチャンは特に強敵。後半ステージもファイアバーの配置がいやらしかったりと歯応えあり。
マリオファンからすると難易度低めだけど、これまでと違ったユーザーを狙っているのならちょっと難しいかも?くらいのバランスかな。ヌルゲーってよく言われてるけどそんなことは無いと思う。
コインを使ってショップで新アクションや最大HPアップなどを買えるので、繰り返し遊んでコインを集めると楽になるし、稼ぎプレイしなくてもそこそこコインは溜まるのでそこは良い作り。
ストーリーはかなりひどくて、ゲームが始まるとカッサーのヒントと回想シーンくらいしかテキストが無いのに、カッサーの物語や「キド・アイラックの杖」の謎とか全部投げっぱなしで何も分からず終了!なんだったんだよこのストーリー!
エンディング最後の語りもちょっと嫌な感じあるしさ!
ほぼ出番の無いルイージが意味もなくゴミみたいな扱いを受けてるのも引っかかる。
助けた時に「緑のオッサン?を助けたよ!」って表示されたり、何故かピーチ姫に投げ飛ばされたり吹っ飛ばされたり。任天堂、ルイージの弄り方がおかしい時期があったけど、俺が見た中ではこれが一番酷いな……。
ピーチ姫がクッパの別荘に乗り込んできてるのにクッパのセリフがやたら淡泊だったり、全体的にテキストに違和感あったなぁ。
唐突に「ピーチカット・ファイヴ」なるネタがあると思ったらCMが野宮真貴だった模様。そんなネタだったのこれ!?
シナリオの酷さはさておき、タッチパネルを使った2Dアクションとしてはドット絵も含めて十分良作レベル。おまけのミニゲームや図鑑なんかもしっかり作られてる。
ただ、無難にまとまり過ぎていて、ピーチ姫の魅力を引き出したゲームかと言われると微妙なところだ。クッパの顔をカサでガンガン殴るピーチ姫の姿は「なんか違う気がする……」ってなったし!面白かったけど色々惜しいスピンオフだったぜ。