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これはまさに……芸能で世界を救う傑作RPGだッ!『幻影異聞録♯FE Encore』レビュー!【Switch】

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幻影異聞録♯FE Encore | Nintendo Switch | 任天堂

 

 『幻影異聞録♯FE Encore』のレビュー行くぜ!

 


メーカー:任天堂

機種:Switch

ジャンル:RPG

発売日:2020/1/17

価格(税抜):6700円


 

2015年にWiiUで発売された『幻影異聞録♯FE』をSwitchに移植したもの。

ロード時間の短縮や戦闘参加キャラの追加、新衣装や新エピソード、

欧米版に合わせた表現などが変更点。

 

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アトラスと『ファイアーエムブレム』のコラボ作品。

簡単に言うと異世界から現代にやって来た『ファイアーエムブレム』のキャラが、

ペルソナとして主人公たちと共に戦うみたいな内容だ!

 

とはいえ、ストーリーや舞台設定は独立しているので知らなくても問題なし。

俺はどっちにも疎かったが、

現代を舞台にしたオリジナルのRPGとして最高に楽しかったぜ!

 

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舞台は現代の東京。

異界からやってきた侵略者「ミラージュ」が、

人間の心の輝きである「パフォーマ」を狙って暗躍している。

「ミラージュ」の中には記憶を失って闇に囚われた英雄も混じっており、

彼らと心を通わせ、共に戦える人間をミラージュマスターと呼ぶ!

 

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主人公である蒼井樹と、幼馴染である新人アイドルの織部つばさの2人は、

とある事件をきっかけに覚醒。

ミラージュマスターが集う芸能事務所フォルトナエンタテイメントに所属することになる。

 

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アイドル、女優、アーティスト、特撮アクターなど。

登場キャラたちはみんなミラージュと戦いながら芸能活動を行っている。

何故か?

 

芸能とは元々、神事である神降ろしのための舞を起源としている。

マスターが異世界の英雄であるミラージュの力をその身に宿す原理は、

能の神降ろしに通ずるものがあるので、

芸能の技術を磨けばマスターとしての力も強くなっていくのだ。

 

と、「芸能」の起源に結び付けて、

アイドルやアーティストが侵略者と殴り合う理由を理屈付けしてくるのが丁寧……!

 

この設定はファイアーエムブレムの英雄の力をお借りする展開にしつつ、

アトラス的な神話オカルトも入れたいという考えから生まれたそうな。

 

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都心の各所に生まれた「イドラスフィア」と呼ばれるダンジョンを

1つずつ攻略していく構成。

ダンジョン攻略がメインのゲームなのでどこも大型で仕掛けが満載だ。

 

歩き回ってるザコ敵に接触すると戦闘に入るが、

剣で先制攻撃することで動きを止めて戦闘をスルーしたり、

有利な状態で戦闘に入ったりできる仕様がなかなか快適。

 

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戦闘はスピードの早いキャラから順番に行動していくコマンド式。

メインで戦うのは3人で、控えのメンバーといつでも交代出来る。

相手の弱点を突くことで味方が次々に攻撃する「セッション」が最大の特徴で、

控えのメンバーも飛び出して連続攻撃を加える。

覚えてる技や魔法の相性が合ってればどんどん繋がっていくから、

キャラが成長して色んな技を覚えるほど長くセッションが続くようになる。

 

 

セッションが決まると与えられるダメージが跳ね上がるし、

次々にキャラが連撃を加えていくスピード感が遊んでいて気持ち良い!

 

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戦闘で溜まるSPゲージを消費して放つ「スペシャルパフォーマンス」や、

特定のコンビが戦闘に参加してると確率で発動する「デュオアーツ」も強力だ。

どちらも特定のイベントをクリアしてキャラが成長すると覚える技。

個々の持ち歌や出演したCM、ドラマを元にした攻撃になっているので、

戦闘中にいきなり歌ったり踊ったりコスプレした後に敵を一刀両断したりとカオス!

 

だが……それがいい!

見ていて楽しいし、演出カットも完備してるのでノーストレス!

 

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このゲーム、とにかく戦闘が快適で、敵に一度試した属性は記録されるし、

セッションがどのくらい繋がるかも一目で分かるのが親切。

この敵の弱点なんだっけ?どの属性試したっけ?って悩む必要が無い。

 

弱点さえ突ければセッションが始まるため、

弱い攻撃アイテムにも使いどころがあるのが面白いね。

例えば武器が剣属性のキャラに斧属性の攻撃アイテムを使わせることで、

斧属性が弱点の敵にセッションを掛けられる、みたいな。

 

しかし、敵に弱点を突かれてしまうと逆に敵からセッションを喰らってしまうし、

特定の属性を無効や吸収する敵もいる。

全体的に敵の火力が高く、いやらしい攻撃もガンガン使ってくる。

ボス戦は特に強敵揃いで、一回こちらの態勢を崩されて後手に回ると、

ジリジリと追い詰められてそのままゲームオーバーになる戦闘が多い。

1ターン目の行動をしくじっただけで、そのまま負けが決まったりも。

このゲームの戦闘、快適だが簡単ではないぞ!

 

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戦闘メンバーの入れ替え、装備アクセサリーやアイテムの事前準備、

味方を強化するスキル、相手の弱点を突けるスキル、通用する状態異常など。

あらゆる駆使してセッションで攻めまくって勝利をもぎ取る!

これが本当に面白いゲームで、緊張感と爽快感を両立した、

「戦いはノリの良い方が勝つ」を体現したバランスになっている!

 

ペンライトを振る観客が見守る華やかなステージを舞台に、

持ちネタを武器に明るく楽しく戦うノリも独特で実にいいぜ。

 

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武器やスキルの継承、習得に、戦いの方向性が変わるクラスチェンジなどなど。

育成の幅も広いのが楽しいところだ。

 

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現代の芸能界を舞台に、

登場キャラそれぞれの成長を描いたストーリーも前向きかつ完成度高い。

 

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メインヒロインである織部つばさは、正直モデリングがあんまり可愛くないな……。

と、最初は思ったんだが、表情の変化や仕草、

体当たりで成長していくシナリオでどんどん可愛く見えてくる作りが巧み。

 

他の美少女キャラは普通に可愛く作れてる辺り、

ちょっと隙のあるモデリングなのは狙ってやってるように思えるがどうだろうか。

 

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憧れであるキリアさん関連で定期的に気持ち悪くなるのに笑わせられたり、

シリアスシーンやライブ中の美人っぷりにハッとさせられたり。

新人アイドルのメインヒロインとして、色んな意味で存在感あるぜ……!

かなり好きなキャラ。

 

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クールなトップミュージシャンとして活躍中の黒乃霧亜に、

変身ヒーローを目指して下積み中の赤城斗馬。

小学生アイドルとして料理番組に出る源まもりと……。

メインキャラはみんな方向性がバラバラだが、

仕事の描写を交えて一人ずつ魅力的に描かれている。

 

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最初は主人公たちに辛辣な一流芸能人の剣弥代も強烈。

「あー、なるほど色々とこじらせてるキャラね」と予想するも、

実際仲間になってみると

「こじらせてるとかそういう次元じゃなかった……」って唖然とさせられる。

いや、キャラ付けの火力が俺の想像を超えてたわ!

俺でも知ってるファイアーエムブレムの有名セリフ引用して一笑い取ってくるのずるい

それでいて終盤のサブイベントがグッと来るんだよなぁ……。

 

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個人的お気に入りは売り出し中の女優であるエレオノーラ。

ハリウッドに憧れる「ハリウッド的~」が口癖のハーフで、

何かある度にハリウッドを連呼する。

妖怪ハリウッド女と呼びたくなる勢いだが、

元来の面倒見の良さとチョロさが出ている各種イベントに、

戦闘で弓を使うカッコ良さと笑顔がめっちゃ好き。

 

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そして主人公である蒼井樹。

芸能人ではないが、ミラージュマスターとしての才能があるため、

裏方などで他のメンバーでサポートする。

 

平凡な高校生で責任感はあるが恋愛感情には鈍感……と、

性格や設定はいかにもな天然系の主人公だが、

他人のフォローを完璧にこなし、成長を後押しする空気の読み方がすごい。

「芸能人はファンがいてこそ輝ける」というわけで、

ファン代表的な立ち位置のこのキャラが主人公なのは納得いく。

節々で相棒のクロムと共にカッコいいところを見せるし、

たまに涼しい顔でめちゃくちゃ変なことやるのがずるい。

 

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メインキャラとミラージュとの交流も見所で、バディ作品としてもよく出来てるぜ。

 

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登場人物個々の悩みや成長を描き、

エピソードの最後に気合いの入ったライブのムービーを流して

シナリオに説得力を持たせる作りはプリパラやプリチャンを思わせる。

これはアイドル作品らしいところだなぁ。

映像どれも凝ってるし、サブイベントかと思ったら、

気合の入ったアニメPVが流れたりするから度肝抜かれるから凄い。

たまによく分からん謎映像が流れて終わることもあるがな!

 

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メインキャラ以外も事務所の社長である舞子さんなど、

周りを固める脇役の描き方がしっかりしてる。

酒クズみたいなセリフ喋ってるけどめっちゃいい人なんですよ舞子さん!

 

 

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脇役だと鱈知乃監督がお気に入り。

劇中だと海外でも評価の高い鬼才という扱いなんだが……。

 

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関わる企画が

「こんなクソB級設定で火曜9時のドラマは無理でしょ?!」

って言いたくなるものばかりで、段々と名前が出るだけで笑えるようになってくる。

無茶な企画をなんとかまとめる手腕が評価されてる監督なんだろうか……?

 

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メインストーリーではカメラマンや映画監督、ギタリストなど、

才能を持つ様々な人間が悪しきミラージュに乗っ取られ、

暴走した意識が産んだダンジョンのボスとして主人公たちの前に立ちふさがる。

 

が、ミラージュに乗っ取られている彼らも尊敬すべきその道のプロ。

なので、きっかけを与えれば自分の意志でミラージュに逆らうところは、

本作のとても好きなところだ。ただの操られたキャラで終わってない。

 

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最初の敵だった伊集院光はちょっと割を食っていたがな……!

 

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街の風景や劇中劇に関連した小物、何かを調べた時のテキストや通行人のセリフが、

ゲーム進行に合わせて変化するなど……。

細かいところも作り込みが光るゲームだぜ。

 

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ただ、最初のダンジョンがいきなり手強いのはちょっと大変かな!

スイッチを切り変えて巨大な衣装のポーズを変え、

その中を通っていく……というフェチな仕掛けになっているが、

最初のダンジョンとしては構造が複雑なので迷いがちだ。

 

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ダンジョン自体はシナリオに合わせた見た目と仕掛けが満載で、

探索していて楽しいから俺は好きだった。手応えあった。

戦闘も、セッションが盛り盛りになる後半は

ちょっとこちらが強くなりすぎかな?とは思ったが、

基本的には理不尽さが無く、歯応えあって良い調整。

ちなみにオートセーブじゃないからボス前のセーブ忘れると血を吐くぞ!

 

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戦闘は稼ぎ用の特訓場所が用意されているので、

どうしても難しいと感じたらここで強く出来る。

まあ、「過度に育成するとバトルの面白さを損ねる可能性があります」

とか言われちゃ俺は使えなかったが……!

 

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WiiU版から表現が海外向け基準に修正されたため、

一部の演出やシナリオ、衣装がカットされたり変更されたりしてる。

オリジナルやってない俺でもちょっと不自然に感じてしまったかなぁ。

「ここ水着じゃないんだ」みたいな。

 

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眩しいほどに明るく前向きな 「芸能で世界を救うRPG」。

ヒーローモノ、アイドルモノ、バディモノなどなど。

様々なジャンルの魅力を内包しつつ、それを見事に纏め上げた作品だった……!

劇中で流れまくるボーカル曲のレベルも非常に高かったし、

遊び終わった後に「いいゲームだった!」と笑顔になれたぜ。

Switch移植してくれて本当にありがとうと言いたい!