『マグラムロード』のレビュー行くぜ!
俺がプレイしたのはPS4版ね。
メーカー:ディースリー・パブリッシャー
機種:PS4/Switch
ジャンル:魔剣創造アクションRPG
発売日:2021/03/18
価格(税込):7040円
ディースリー・パブリッシャーが送る完全新作のアクションRPGだ。
様々なキャラと「コンカツ」して絆を深めていく、魔王が主役のファンタジー作品。
開発は『サモンナイト』シリーズのメインスタッフが在籍しているFELISTELLAで、
世界観設定とシナリオも同シリーズでお馴染みの都月景が手掛けている。
『サモンナイト』シリーズは未プレイだが、
完全新作のアクションRPGで、しかもD3から出るとなれば避ける理由は無いと購入。
グラフィックはチープだが世界観やキャラも好みで期待していた。
が、実際遊んでみると低予算過ぎて内容がボロボロなのを、
キャラとシナリオだけで必死に持たせようとしてる悲しい内容だったぜ……。
主人公は刃の魔王キルリザーク(性別選択可能)。
神々と魔王がしのぎを削り合う世界で誰彼構わず暴れ回っていたため、
双方の怒りを買って封印寸前まで追い込まれる。
なんとか逃げ延びて永き眠りから目覚めてみると世界は平和になっており、
神々も魔王もいなくなっていた。
政府から「絶滅危惧種」の魔王に認定されたキルリザークは、
心の隙間を埋めるために平和な世界でコンカツをしつつ、
完全復活を目指して魔獣と戦っていく!というストーリーだ。なかなか面白い導入。
メニュー画面から依頼を受注してゲームを進めていく形式で、
メインストーリーと関係ない依頼をクリアすることで、
アイテムが稼げたりサブイベントが進んだりする。
依頼や買い物で素材を集めれば様々な「魔剣」を製造可能。
デコアイテムを装着することで更なる強化も可能なので、
雷電属性が付いてる魔剣に、雷電属性を強化するデコアイテムを付ける……みたいに、
長所を伸ばすやり方が基本だな。デコアイテムはつけ外し自由なので楽々だ。
魔王は魔力を失っていてフルパワーでは戦えないため、
魔剣に変身してパートナーに代わりに戦ってもらうという設定。
一緒に戦っていくと好感度が高まっていき、
一定以上になるとコンカツ……つまり、デートイベントが発生するぞ。
コンカツはコンカツ導師G.Gなる謎のジジイが手引きしてくれる。
あからさまに怪し過ぎるけど良い声とガタイしてやがるぜ……!
パートナーは5人+α。
左から勇者見習いで魔王に敵意を燃やす、ちょっと生意気な少年ダリス!
ダリスの姉で優しいけど心配性過ぎるところのある勇者シャルム!
正体不明の機械人形で、魔王との交流で少しずつ感情を学ぶモーヴ!
獣人のアイドルで政府公認の番組を任されているジュレットちゃん!
クソ野郎!ひん曲がりまくった性格が魅力のアクラオ!
このメンバーを傍若無人のポンコツ魔王で攻略していくのだ。
他にもパートナーはいるし、
パートナー以外にもデートイベントが用意されてるキャラもいる。
ちなみに同性キャラも攻略可能。
絶滅危惧種でコンカツしてるのに同性攻略可能なのか?と思ったけど、
魔王自身は自分の心を満たすためにやっているだけで、
色恋沙汰には疎く、コンカツの意味もあんまり分かっていないし、
世継ぎのこととかも全然頭に無いので問題なかった。
パートナーだと俺はダリスが好きかなぁ。
ちょっと背の小さくて生意気だけど一生懸命な勇者見習いを、
女魔王で攻略する……いいじゃないですか!
テンション上がってきた。
深く語るとネタバレになっちゃうアクラオも面倒くさい奴なんだけど
ゲームが進むと更に面倒なところが見えてくるところがむしろ良し。
魔王との関係性がたまらないキャラ。
元気いっぱいなジュレットちゃんも可愛いし、
意外と感動しやすい性格に、石川界人の優しい演技がハマってるモーヴも、
甘えたい性格とボディをしてる勇者シャルムもみんな好きだね。
魔王がコンカツ!ということで明るいゲームかと思いきや、
割とシリアスでダークな展開も多かったりする。
でもそこが登場キャラたちの言動を引き立てていて良かった。
忠臣として魔王をサポートするサティウスとバルガも良いコンビだ。
昔から魔王を信頼してるバルガはギャグポジションながらも結構カッコいいので、
全盛期の姿も見たかったなぁ。
でも結局、女魔王ちゃんが一番可愛いような気もする。
本気出してる時の姿がまたカッコいい。
ダンジョンで敵にぶつかると始まる戦闘は、パートナー1人を操作して行う形式。
敵に合わせて剣、槍、斧を切り替えて、スキルやアイテムを駆使して戦うのだ。
ゲージが溜まると魔王にバトンタッチして一定時間大暴れ出来るシステム。
しかしこの戦闘がまず最初の欠点。
仲間キャラ変えてもモーション一緒だし、コンボのバリエーションも少ないため、
弱点属性の武器にして溜め攻撃で殴るだけの作業か、
ステータスアップスキルでゴリ押しするだけの作業かになる。
1回の戦闘のテンポが良いのは長所ではあるんだが、それ以上に単調さがしんどい。
俺もう中盤から回復アイテムを買い込んで、
アクラオの貫通攻撃スキルをぶっ放して掃除するだけのゲームになってた。
カメラワークが悪いため、
画面外から遠距離してくるザコの攻撃が見えないし、
色違いのザコと、普通のザコをデカくしただけのボスが延々と出てくる。
ラスボス戦も驚きのつまらなさで面倒なだけだった。
グラフィックがチープなのは分かっていたが、
効果音までショボい上に、ヒットストップの処理が下手過ぎて、
連続攻撃叩き込んでも画面がガクガクしてるだけに感じるのもキツい。
魔剣も種類と必要素材の多さとゲームの尺が噛み合っておらず、
普通に進めると3分の1くらいしか作れないし、
高難易度や隠しボスみたいな相手も存在しないため、
苦労してレア素材集めて最強クラスの武器を作っても使う場所が無い。
中盤くらいで攻撃がちょいちょいカンストし始めるから、
強武器でザコをなぎ倒す爽快感も大分削られてるかな……。
ちなみに2周目引き継ぎは存在しない。
申し訳程度に好感度アップアイテムと、経験値増加装備が追加されるだけだ。
1周目で終盤までに隠し条件満たせないとギャラリーが埋まらなくなるので、
コンプ目指す人は注意。
依頼も同じマップで同じようなことをやるものばかりで、
どこにあるか分からないアイテムや、
どこにいるのか分からないモンスターを探してダラダラ歩き回るだけだ。
作業感がすごい。
ゲームのウリであるデートイベントであるコンカツがショボいのも辛い。
ちゃんとしたイベントになってるのは各キャラ1つか2つくらいで、
あとは選んだ場所に移動してセリフを一言喋って終わるだけのダイジェストだ。
公式であれだけコンカツ推してるのにこれとは……。
一枚絵の質は高いし、ボウリング場とか映画館とか
「技術レベルどうなってんの?!」って施設がどんどん出てきて、
混乱しながら満喫するやり取りを見るのは楽しいんだけども。
更に一枚絵の少なさが凄い。
メインストーリーやエンディングでまったく一枚絵が存在せず、
デートイベントでの一枚絵が各キャラ一枚ずつあるだけ。
一枚絵が無いから、
重要シーンでも立ち絵と背景と状況説明で進行させるシーンが多いぞ。
2021年に発売されたフルプライスのゲームだよな!?
キャラはみんな立ってるんだけど、
メインストーリーのボリュームが短いせいもあって物足りなさが強い。
個々の細かいイベントがもっと欲しかったし、
登場キャラが少なすぎるので終盤の展開も駆け足に感じたなぁ。
細かい会話差分は多いんだけど、
肝心のシーンの差分がショボい!ってところもガッカリ感ある。
用語辞典とか見るに設定は結構広がりがあるだけに勿体ない。
魔王は「傍若無人だけど胸にからっぽな気持ちを抱えたキャラ」なんだけど、
主人公だから選択肢以外ではほとんど喋らない。
ここら辺も遊んでいてちょっとチグハグに感じてしまった。
まあ、単に俺が魔王ちゃん好きなので
もっとガンガン喋って欲しかったという話なんだが。
とはいえ、メインキャラの成長展開は押さえているし、
オチも含めて、シナリオはこの尺の短さと低予算っぷりでよくまとめた方だと思うよ……!
「チープだけど面白そうじゃん!」→「チープさが酷すぎて耐えられなかった……」
という感想になった。
すべての魔剣を作って、すべての依頼をクリアするまで遊んで20時間ほどで終了。
普通にクリアするだけなら10時間ちょっとで終わりそうかなぁ。
キャラやストーリーに魅力はあるんだが、
全体的な完成度の低さはカバーしきれていない。
『デジボク地球防衛軍』『お姉チャンバラORIGIN』と、
ここんとこシリーズ作品で新境地の良作を連発出来ていたD3が、
新たに送り出す完全新作ということで期待していただけに……残念だった!