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「ゾンビ映画あるある」詰め込みまくり!カジュアルなゾンビRPG『ゾンビ・オブ・ザ・ドット』レビュー!【iOS/Android】

 

ゾンビ・オブ・ザ・ドット 公式サイト

 

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ゾンビ・オブ・ザ・ドット - Google Play のアプリ

 

『ゾンビ・オブ・ザ・ドット』のレビュー行くぜ!

 


パブリッシャー:ケムコ

機種:iOS/Android

ジャンル:RPG

発売日:2023/2/13

価格(税込):800円

備考:2023年に家庭用ゲーム機へ移植予定


 

ケムコが送る完全新作のゾンビRPGだ。

ドット表現で「ゾンビ映画あるある」を詰め込んだ内容になっているぞ。

開発はケムコのRPG作品を色々やってるHit-Pointで、

企画・原案・監修はイシイジロウ!

ケムコが外部の著名クリエイターと何か作るの非常に珍しいので、

意欲作として期待して購入した。

 

カジュアルに遊べるゾンビRPGとしてまとまっていたが、

逆に言うと「カジュアルに遊べる」以外の見所があまり無く、

割とコメントし辛い内容だったぜ……!

 

 

舞台は1970年代のアメリカ。

交通事故で入院していた警官のベンが目を覚ますと病院は荒れ果て、

街はゾンビで埋め尽くされていた。

正義感の強いベンは人助けをしつつ、安全な場所を探す旅に出る。

そしてゾンビ騒動の裏には軍の陰謀が……?というストーリー。

ベンは離婚したけど大事に思ってる妻と娘がいるし、

仲間は医療従事者とジャーナリストとスキンヘッドの元軍人。

いかにもなストーリーといかにもなキャラが展開される!

 

 

1970年代のアメリカが舞台なので「ゾンビ」という単語が一般的ではなく、

メディアが使っていた略称から「ゾンビ」と呼ぶことになるのがいい。

今だったら「映画のゾンビが本当に出たのか!」「驚き桃の木サンゲリアだな」

みたいなノリになるよなぁ。

 

 

病院、ガソリンスタンド、ショッピングモール、テレビ局、ディスコクラブなどなど。

様々なローケーションでゾンビとの死闘を繰り広げることになる。

ドットで表現された各マップはライティング含めて雰囲気出てるし、

音響の凝りっぷりが実にいい。お店に近づくと明るいBGMが、

街や下水道だと遠くからゾンビによる喧騒が聞こえてくるとか、

状況やマップに合わせた奥行きのある演出がいい味出してる。

 

 

RPGとしてはマップの構造含めてほぼ一本道で迷う事無し。

たまにサブクエストも発生するけど見逃すことは無いと思う。

あちこちにある箱や棚、倒れているゾンビから、

火器や弾薬、資料などを集めながら進んでいく。

道中で手に入るゾンビ騒動を伝える週刊誌や新聞記事、

殴り書きのメモや日記などから物語の背景が分かるぞ。

 

 

メニュー画面のレイアウトも雰囲気合って好き。

 

 

移動中にゾンビにぶつかると戦闘開始だ。

ターン制のコマンド式RPGで、2つ装備できる銃、各キャラ固有のスキル、

ゾンビが目の前にいる時だけ使える近接攻撃、

ターン消費無しで使える回復アイテムの血清。

これらを活用して戦い抜く。

 

 

ターン毎にちょっとずつゾンビがにじり寄ってきて、

一番近づかれた状態だと大ダメージの近接攻撃を喰らってしまう。

近づかれる前に銃で倒すか、吹っ飛ばし効果のある近接攻撃で対応するかだ。

銃は弾が無いと使えないし、

近接攻撃は一撃で敵を倒しきれないとダメージを受けるので使いどころが大事。

「ゾンビ相手のターン制RPG」らしい作りになっている。

 

 

ただ、バランスは非常にゆるい。

アイテムに制限があるかと思いきや、

ゾンビを倒すと弾薬も回復アイテムもボロボロ手に入る。

経験値によるレベルアップもあるからゾンビとガンガン戦う方が楽。

よほど無駄撃ちをしなければ弾も血清が余るくらいだし、

もし弾が足りなくなったら、弾を使わない攻撃手段で軽くザコ狩りすれば問題無し。

主人公の投石スキルや、遠距離装備のダーツやスリングショットなど、

弾を使わない攻撃手段は色々ある。

 

戦闘で出来ることも少ないため、

ザコもボスもとりあえず銃ぶっ放して掃除するだけになりがち。

近づかれたら大ダメージを喰らうと書いたが、

こちらが強すぎて近づかれる前にほぼ殲滅できる。

近づかれても近接攻撃より火力の高い銃で対応した方が早いんだよなぁ。

ショットガンが手に入ると群れをまとめて倒せるのでちょっと爽快。

 

 

シナリオも「ゾンビ映画あるある」をゆるくなぞる展開だけなので、

驚きも無ければ登場キャラに魅力も無い。

色々な映画のオマージュが散りばめてあり、

ゾンビ映画だけじゃなくて『タクシードライバー』もあったりして、

そういうのを探すのはまあ面白いんだけど、

基本的にネタを深掘りせず淡々と進むので

「ロメロパーキングって名前の駐車場が出てきた後にショッピングモールが登場するネタは面白いのか?」

とかだんだん冷静になってきちゃう。

むしろゾンビ映画全然知らない人の方が楽しめるかも。

 

 

ストアページに

「すこしホラー」「切断要素などは『排除』された本作」

などとあるようにグロ要素などは控えめで、

一番過激なので上のスクショくらいかなぁ。

ビックリ演出も序盤にちょっとあるくらいだった。

 

「すこしホラー」って藤子・F・不二雄かよ!

まあF先生は「すこしふしぎだけどかなりホラー」な作品多いが。

 


サブクエスト全部やってもクリアまで4~5時間くらい。

RPGというよりADVに近く、普通に進めて行けばクリア前にレベルがカンストする。

ドットや音響、ノリノリのBGMなどは力が入っていて、

800円のカジュアルなゾンビRPGとしてはそれなりに楽しめたが、

それ以上の評価点はあまり無かった。

 

短編RPG|KEMCO

 

ケムコは以前に本作を作ったHit-Pointと組んで、

「忙しい人に向けた短編RPG」というシリーズを展開していたが、

この『ゾンビ・オブ・ザ・ドット』も手触りとしてはそちらに近い。

「イシイジロウとケムコが組んだ完全新作ゾンビRPG」ではなく、

「忙しい人に向けた短編ゾンビRPG」として遊ぶべき内容だったわ。