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凶星を背負い、探偵は災厄の街を駆け抜ける!コメディ&オカルトADV『災難探偵サイガ 名状できない怪事件』レビュー!【Switch】

 

災難探偵サイガ 公式サイト

 

災難探偵サイガ~名状できない怪事件~ ダウンロード版 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)

 

『災難探偵サイガ』のレビュー行くぜ!

 


パブリッシャー:ディッジ

機種:Switch

ジャンル:コミカル災難アドベンチャー

発売日:2023/3/3

価格(税込):2728円(ダウンロード版)5720円(限定パッケージ版)

備考:Steam版も配信予定


 

株式会社ディッジが送る完全新作のADVだ。

宇宙一不運な探偵が様々なオカルト事件に挑むストーリー。

脚本や設定は『月刊ムー』でも執筆しているホラー小説か「黒史郎」氏で、

主演声優は『小林親弘』&『内田真礼』という布陣になっている。

 

俺はこういう下請け中心のメーカーが

満を持してゲーム機で出す完全新作に目が無いのである!

と意気込んで限定版を購入。

シナリオやキャラはよく出来ていたんだが、

ボリューム面はちょっと物足りなさがあったね。

 

 

主人公はおかしな事件が頻発する祭鳴町で探偵業を営む天堂サイガ。

異常なほどの不幸の持ち主で幽霊と間違えられるレベルで死相が濃く、

ありとあらゆる運勢が最悪を示している歩く天中殺。

おかげで依頼は失敗続きだが、それでもめげずに頑張るのが彼の良い所だ。

ある日サイガは記憶喪失で家無しの天才占い師ヒン・レイと出会い、

探偵助手にして欲しいと強引に頼まれる。

そしてその出会いは思わぬ大事件へと繋がっていく……というストーリーだ。

ちょっと怖いシーンはあるが、

基本的にオカルト要素多めのコミカルなノリで進むぞ。

 

 

天堂サイガの本当に顔色が悪くて細くて運悪くて死にそうなルックス好き。

主人公だから、なんだかんだイケメンになりそうだけどしっかり幸薄い。

ヒン・レイもめっちゃかわいくていいね。

 

 

ゲームはオーソドックスな1本道のADV。

たまにマップ移動や選択肢は挟まるものの、

ストーリー分岐やバッドエンドなどは無しだ。

 

 

舞台となる祭鳴町は「災厄町」の異名を持つほど怪事件が多い。

探偵であるサイガは細々とした依頼をこなしていくが、

猫探しの依頼かと思ったら猫が怪物だったり、

ホームレスの仕事探しという金にならそうな仕事を引き受けることになったりと四苦八苦。

 

 

ネッシーならぬサッシー騒動や、街で目撃されるメン・イン・ブラック。

ちょこちょこ出てくるクトゥルフ関連の小ネタなどなど。

コテコテで胡散臭いオカルト展開が盛り沢山。

全体的にはライトな作風なので濃いネタは控えめだが、

細かい会話でもUMAネタなどのウンチクが飛び出しまくるぜ。

 

 

運は悪いが常に前向きで依頼人の心に寄り添おうとするサイガと、

ちょっと口は悪いが占いの腕はピカイチのヒン・レイの2人による掛け合いと、

やたら濃い住人たちによるドタバタが見ていて楽しいし、事件もテンポ良く進む。

 

 

事務所に入り浸る小学生2人組もいい味だしてる。

変なお面を付けていてオカルト関連の話になると早口になる尾田国麿と、

天堂が好きでお嫁さんになることを夢見てるサナギちゃんだ。

サナギちゃん、立ち絵だと全然小学生に見えないんだけど……。

一枚絵だとちゃんと子供らしい身長差で描かれててそっちの方が可愛かった。

 

 

その他、チート級の能力を持った裏社会の住人達も登場だ。

こちらは一見ただのギャルだけど最強の情報屋であるミルぽん!

彼女に目を付けられたら最後、

世界中のどこに逃げても一瞬で見つけられてしまうぞ。

その名状しがたい挨拶やめろ!

 

他にも凄腕ドローン使いのジジイとか、

魔法レベルでどんな姿にも変装できる正体不明の人物とか、

味方にする分には頼もしい連中が揃っていて話を盛り上げてくれる。

 

 

いちいちポエムめいた名前のメニューを付けた喫茶店のマスターや、

新鮮な魚介類を使うことにこだわり過ぎて

「水族館みたいな匂い」になってる中華そばを出す大将などなど。

細かい脇役もキャラが立っていて、遊んでいて飽きさせないシナリオだね。

 

 

ただ、クリア後のおまけシナリオまで読んでも4時間掛からないボリューム。

ゲームシステム的に目新しい部分もまったくなく、

一枚絵もそこそこあるけど多いとまでは言えないしギャラリーも無い。

定価2740円のゲームとしては大分物足りなさがある作りだ。

 

「方向スティックに触ると画面がガクガクになる」

という凄まじいバグも高確率で発生する。

方向キーでも動かせるのでなんとかはなるが、

終盤のミニゲームはスティック操作のみなので難易度が跳ね上がるぞ!

発生したらゲームを一度終了させれば元に戻るんだが、

これ実機でのテストプレイまともにやってねーな……?

やってたら絶対気付く頻度で発生するので。

 

 

限定版に同梱されている小説版は市販されているものと同じ。

本編後の時系列で描く新規エピソード。

細々とした依頼を解決していたサイガたちが

大きな事件に巻き込まれていく……という本編に近い構成だ。

 

脚本本人が書いているので会話のドタバタノリがそのまんまだし、

色んな意味で小説ならではのエグめの描写があったり、

不運設定の活用があまりにも斜め上だったりで非常に面白かった。

本編の食い足りない気持ちをかなり埋めてくれる1冊だったね。

小説から先に読んでも問題なく楽しめる構成になってるぞ。

 

 

2740円の新作ゲームとしてはやや物足りない作り。

とはいえ、運勢最悪だが常に前向きで情に厚い探偵と、

災難だらけの街でもたくましく生活する住人たちは魅力的で、

探偵コメディ作品として良くまとまってる。

新規作品にありがちな予告なく続編に続いたり、

大量に伏線を放置するようなことはなく、

それでいて「もっと彼らの話を見たい」と思わせてくれる1本だったね。

今後の展開がゲームなのか小説なのかは分からないが、期待して待ってる!