『戦場のフーガ2』のレビュー行くぜ!
俺がプレイしたのはPS5版ね。
パブリッシャー:サイバーコネクトツー
機種:PS4/PS5/Switch/Xbox/PC
ジャンル:ドラマティックシミュレーションRPG
発売日:2023/05/11
価格(税込):4180円(通常版)6380円(DLC付きのDXエディション)
サイバーコネクトツーが自社パブリッシングで送る、
ケモキャラだらけの完全新作シミュレーションRPG2作目だ。
3部作であることも発表されている。
同社が古くから展開している『リトルテイルブロンクス』シリーズの1本で、
過去に発売された『テイルコンチェルト』や
『solatorobo(ソラトロボ)』と同じ世界観にもなっているぞ。
前作のレビューはこちら。
一筋の希望を頼りに、ケモキャラ×巨大戦車が往く!『戦場のフーガ』レビュー!【PS4/Switch/Xbox/PC】 - 絶対SIMPLE主義
かわいい子供のケモキャラがイカした巨大戦車を頑張って操作するけど、
最強必殺武器のソウルキャノンを撃つと1人死にます!
一体だれがこんなひどい事を……俺かぁ!というゲームだった。
単純ながら骨太な戦闘システムや、
こだわりを感じるキャラの描写などは良かったものの、
シナリオが甘かったりテンポ悪い部分があったりで個人的には「惜しいソフト」止まり。
今回の『戦場のフーガ2』はそこにしっかりと手が入っており、
続編として丁寧に作られているのは感じるんだが……。
根本的なシステムが変わってないからマンネリ感が出てるし、
「3部作の2作目」という弊害がモロに出たシナリオも気になったぜ。
ちなみに完全な続編なのでこれから遊ぶ人は前作プレイ推奨。
一応、メインメニューに「これまでのあらすじ」という項目はあるんだが、
ボイスとテキスト無しで名場面を振り返る映像が流れるだけなので、
久々に遊ぶ既存プレイヤー向けの内容になってる。
戦場のフーガ 鋼鉄のメロディの記事一覧 | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com
公式コミカライズが全話無料公開されているので、面倒ならこれ読むだけで良いかも。
こっちはこっちで「あれ?本編と違くね?」という部分がキモで、
かなり既存プレイヤー向けの構成ではあるんだが……。
まあ大筋は一緒で2に繋がる描写も強化されてるからね。
めっちゃ分かりやすく主人公マルトが回想している通り、舞台は前作の1年後。
前作で巨大戦車タラニスを駆って戦った子供たちは平和に暮らしていたが、
壊れたと思ったら再生してるタラニスを調査中の軍に呼び出しを喰らう。
一緒に調査をすることになったマルトたちだったが、
タラニスは仲間の子供たちを取り込んで突如として暴走を始める。
マルトは仲間たちを助けるために、
前作終盤で敵として登場したもう一つの巨大戦車タラスクスで追いかけることになる。
ガイドするのは前作ラスボスをコピーした人工知能。
前作の主役機が敵で、ラスボスのコピー&敵機体が味方という、
なかなか燃える構図での開幕となっているぞ。
前作同様、蒸気をブシュブシュ吹いてガシャガシャ動く、最高にイカした巨大戦車が主役。
分岐点で「安全な道/普通の道/危険な道」のルートを選択しつつ、
ひたすらマップを右に進んでいき、最後に待ち受けるボスを倒せばステージクリア。
分岐はあるけど基本的に一本道で進行する。横スクロールRPGと言えるかもしれない。
新イベントは追加されており、お金を払うことで回復や買い物、
ザコ敵を処理する空爆などを行えるマスなどが増えているぞ。
ステージ開始時や中間ポイント、ボス戦前などで発生するインターミッションでは
行動ポイントの範囲内でキャラ同士の会話、武器の改造、
釣りや遺跡の探索、ステータスを底上げする料理作成、畑の管理などが行える。
次の戦いに備えての育成タイムだ。
インターミッション入る度に仲間が思い思いの行動をしていて、
仕草が凝っているので見ていて楽しい。
マップ移動して戦闘→インターミッションで戦力強化→マップ移動して戦闘
これを繰り返す構成になっているぞ。
戦闘は行動速度の速いキャラから行動するコマンド式で基本は前作と一緒。
10人以上いるパーティメンバーからメインで戦う3人と、
それをサポートする3人の系6人で戦うシステムだ。
マシンガン、グレネード、キャノンの3種類の武装があり、
キャラによって使える武装は異なる。
敵の相性に合わせて武装を使い分ける必要があるし、
キャラによって異なるサポート効果も上手く活用しないと苦戦は必死。
敵の装甲ランクを削らないとダメージがあまり与えられない要素もあるため、
装甲を削れるスキルを持ったキャラは重宝するぞ。
控えも含めて戦闘メンバーは自由に入れ替えが可能だが、
一度入れ替えると数ターン入れ替え不可能になるのでタイミングが大事。
10人以上いるメンバーは入れ替えが可能なので臨機応変に対応可能。
一度入れ替えると3ターンは入れ替え不可能になるが、
このゲームで3ターンはあっという間なのでバンバン入れ替えられるのだ。
行動すぐ後に順番入れ替えて、同じキャラに二回行動とかもさせられちゃう。
1回のミスが後々まで響く戦闘バランスになっていて、
戦闘が終わってもHPやSPは回復せず、回復ポイントを通過しないと回復しない。
回復アイテムも店売りが無いため、無駄遣いは出来ない仕様。
また、HPが減っている状態で大ダメージを受けたり、
敵の特殊な攻撃を喰らうとキャラが「怪我」をすることがある。
この状態でもう一度怪我をしてしまうと戦闘不能になり、
次のインターミッションまでは使用不可能となるぞ。
と、戦闘システムに関しては前作そのまま。
ストイックな作りで敵の火力も高めではあるが、
状況に応じて仲間をどう入れ替えるかを考えながら、
ここぞという場面でバフやデバフ、状態異常や全体攻撃、
連続攻撃、仲間との合体攻撃を活用して、一気に攻める緩急のついたゲーム展開と、
効果音やエフェクトの派手さは遊んでいてやはり気持ち良い。
資材に余裕があればアイテムを使ったゴリ押しも挟めるし、
様々な行動パターンを取ってくるボスの隙を見極める面白さも健在だ。
強い技が多いのでキャラを育て切ると大味になってくるが、
これはこれで爽快感あって嫌いじゃない。
大きく変わったのは仲間を犠牲にして放つソウルキャノンの仕様。
前作だと使うとボスだろうがなんだろうが一撃必殺だが、
仲間が1人死んで戦力ダウンする上にバッドエンドルート確定。
「強敵相手に仲間を犠牲にして勝つかどうか」
で葛藤させたいのは分かるしシステムとして尖ってはいるけど、
さすがにデメリットがデカすぎて使い辛かった!
今回は「ボス戦でHPが減ると強制的に発射カウントダウンが始まる」
「カウントダウン終わるまでにボスを倒さないと強制発射」
という仕様になって緊張感を出しているぞ。
ちなみに誰が犠牲になるかはランダム。ドキドキ鬱展開ルーレットである。
まあ、自分で犠牲を選択するのが大事ではあったんだけど、
俺は今回の方がソウルキャノンの存在を意識させられていいと思った。
その他「敵が仲間を洗脳して自前のソウルキャノンの弾に使おうとする」
という展開も用意されているぞ。外道~っ!
舞台装置となったソウルキャノンの代わりに実装されたのが「マーガルム」という新兵器。
仲間を1人選んで敵全体に大ダメージを与える武器だが、
デメリットは次の休憩まで仲間が使えなくなるのと、
その戦闘の経験値が入らなくなるだけ。格段に使いやすくなった。
撃つと絶対死ぬ鬱展開キャノンの時代は終わった!
これからはあんまり死なないキャノンだ!
ゲームの快適性も改善されていて、移動演出を早送りできるようになったし、
バッドエンドになっても最初からやり直しではなく、
データをすべて引き継いで特定のポイントからの再開となっている。
前作同様にキャラ可愛いし戦闘システムも面白い。
インターミッションや章終了時に質の高い一枚絵がバンバン出てくるのが最高だぜ!
登場キャラだとワッパが一番お気に入り。
新キャラである復讐に燃える大統領令嬢バニラもめっちゃ好み。
目つき悪い色黒のケモお嬢様キャラはちょっとツボ過ぎるぜ。
ただ、ゲーム自体は前作と一緒で多く変わった部分が少なく、
2作目としては良く言えば安定、悪く言えばマンネリ感ある。
ウリにしていた新システムの「ジャッジメントシステム」も、
単に選択肢で溜まるポイントで新スキルを覚えるだけなので、
特にストーリーが大きく変わったりはしないので肩透かし。
厳しい選択肢を選び続けると、
ピリピリしたマルトに仲間がビビるイベントが発生するとかは良かった。
あんまり面白くない遺跡探検ミニゲームもそのまま。
キャラは魅力的だけどストーリーが薄味なのも前作からそこまで変わっていない。
ほとんど加入シーンがピークで後は存在感が薄くなる。
やっぱり「選択次第で誰が死んでも成立するシナリオ」
にしなきゃいけない縛りがきついのかなぁ。
インターミッションで全キャラの組み合わせで個別会話が用意されているが、
ここも前作同様にあっさりした会話ばかりなので、
プレイヤーが関係性や掘り下げを脳内でかなり補完しないといけない。
都会のカフェテラスでのデートごっこをするカイルとチックとか、
結構好きな会話もあるんだけども。
その辺は作り手も分かっているのか縦軸の話が強化されていて、
全体を通して相対する敵キャラの登場や、
テーマである「復讐」に関連した展開を盛り込んで面白くはなってるし、
意外なキャラが再登場して見せ場作る構成もベタだけど盛り上がる点。
それでも終盤の展開に唐突感があるし、
「ラスボスがコイツなのか」ってのも不満だったね。
マルトが前作以上に「自分は長男だから」って言い回しを連呼するのもさすがに気になる。
理由は分かるんだけど二次創作の竈門炭治郎みたいになってんぞお前。
「詳しくは続編で!」という要素も多く、
前作で匂わせていたループ物っぽい要素がついに説明されるのかと思ったら、
肝心な部分はよく分からないし、ジンが看病していた謎の人物も正体不明のまま放置。
そして今回の事件にはちゃんと決着が付いていい感じに締めると思ったら、
3作目が予定されていなかったら許されないコテコテのクリフハンガーで引く。
いや3作目が予定されているにしてもあれはどうだろうか……!
トロコンまで遊んで28時間ほど。
サイバーコネクトツーの趣味全開新規IPとして見所は多く、BGMも文句無し。
改善点も多いので前作が好きなら十分楽しめるとは思うんだが、
個人的には突き抜け切れてないという印象かなぁ。
3作目でどうなるか……見届ける!