『METRO QUESTER』のレビュー行くぜ!俺がプレイしたのはPS5版ね。
パブリッシャー:ケムコ/Thousand Games
機種:PS4/PS5/Switch/XBOX/PC
ジャンル:ハクスラ&ダンジョン探索RPG
発売日:2023/12/15(PS4/PS5/Switch/XBOX)2023/5/15(PC)
価格(税込):2200円
崩壊後の世界を舞台にしたレトロ風のハクスラRPGだ。家庭用版はケムコからの発売となり、タイトルもPC版の『QUESTER』から変更されている。
世界観とキャラデザを『BASTARD!! -暗黒の破壊神』で知られる漫画家・萩原一至が世界観が担当。ゲームデザインは『モンスター・コレクションTCG』などを手掛けた加藤ヒロノリが担当しているぞ。
ハクスラRPG『QUESTER | OSAKA』開発プロジェクト - CAMPFIRE (キャンプファイヤー)
現在は続編である『QUESTER | OSAKA』が開発中だ。
レトロPCゲームっぽい簡素な見た目と骨太そうなシステムだが、ハクスラRPGとしてはかなりカジュアル。地道に探索範囲を広げてパーティを強化しつつ、個性の強いクリーチャーと戦っていくのがじわじわと面白くなる作りだった。
舞台となるのはウィルスと天変地異によって文明が維持できなくなった世界。
廃世界を生き抜く「クエスター(探索者)」たちは、クリーチャー蠢くダンジョンと化したTOKYO地下の最奥を目指す!
という話をオープニングでさっと説明したら、いきなり迷宮内に放り出されてゲーム開始だ。文明崩壊後の世界では、長話をしてる余裕などない!キャラクリエイトなどは一切できず、初期パーティは固定となっているぞ。
スタート地点にある拠点から出撃し、東京各所を舞台にしたダンジョンの最深部を目指すRPG。
最初はマップが真っ暗で何も分からないが、一度通過した場所は記録されていく。一歩歩くごとに「浄化燃料」を消費していき、無くなったらスタート地点に帰還。帰還する度に日数が経過していき、定期的に食料の消費が発生する。その時に食料が足りないと、集めた装備アイテムの一部が消失するという重めのペナルティが発生するぞ。
他にも戦闘で弾薬の概念があったりとシビアそうなシステムだが、実際はかなりカジュアルな作りだ。とりあえず燃料が無くなるまで歩き回ればいいだけだし、食料は簡単に手に入るし、戦闘が終わると体力や弾薬は全回復するし、全滅しても拠点に戻されるだけだ。
新しい拠点を見つければ、次からそこに拠点を移せる。この付近は探索し終わったなと思ったら、どんどん拠点を移動して探索範囲を広げていくゲーム。
拠点を開放すると新しい仲間が加入するので戦略の幅も広がるぞ。
しかし仲間の加入もランダムなので、メインビジュアルの青髪日本刀サバイバル女子高生が仲間になったりならなかったりする。お前そんな扱いなの!?
俺の場合はラスボス直前に加入したけど、クリアしても仲間にならなかった人も見かけた。
すべて萩原一至が描いているわけじゃないのでやや統一感が無いが、どんどん増える仲間キャラたちはみんな見た目が濃くて面白い。セリフとかは一切無いので、やり取りは妄想で補完だ!
機動隊やお巡りさん系キャラの、現役時代の装備を身に付けつつ、文明崩壊後の世界に適応した装いはかなり好きだなあ。
マスコットと幼女のコンビの「シャケ&アスカ」なんて謎のキャラもいるが……。名前がひどすぎるだろ!
5人パーティで行う戦闘は、敵シンボルと接触すると発生。赤い敵シンボルは強敵だったりと、色によって強さが変わるので、現状の戦力を踏まえて挑む必要があるぞ。
味方キャラには8種類の職業があるが、ヘルプだと「いわゆるサムライ系」「いわゆるニンジャ系」などと、みなさんご存じなノリのテキストで説明されている。
そりゃこのゲーム買う奴は大体『ウィザードリィ』のこと知ってるとは思うけどさ!
回復アイテムなどの消耗品アイテムは無く、各キャラのスキルを活用して戦う。このキャラ毎の役割をしっかり意識させられるターン制の戦闘が面白い。
「ヘイト値」が高いキャラから狙われるので、壁役のキャラはヘイト値と自分の防御を高めるスキルで敵を引き付ける。敵の行動が表示されるので、全体攻撃を先読みして回復スキルを仕込む。弾薬や薬を消費する強力なスキルを使う仲間と、弾薬や薬を補充するスキルを使う仲間で役割分担する。状態異常スキルと、状態異常の敵に大ダメージを与えるスキルを組みわせるなどなど……。
強力な全体攻撃スキルは一気にヘイト値が高まるので、乱発すると敵の集中攻撃を誘発してあっさりやられるとか、ゲームが進むと「一番ヘイト値が高いキャラのヘイト値を引き受ける」なんてスキルも出てくるので有用とか。編成に頭を悩ませるのが面白いシステムだ。
各地の宝箱(日を改めると復活する)からザクザク取れる装備アイテムにも様々な固有スキルが付いており、弾薬関係の初期値がアップする効果があったり、攻撃回数がアップする二刀流スキルなんてのも。キャラ固有のスキルと組み合わせたコンボ構築を狙うのだ。1個1個に説明テキストが付いてて、妙な武器がそこそこもあるのも楽しい。
節分用に職人が作りだした即席散弾銃ってなんだよ!鬼への殺意が高い。
戦闘は表示速度を最大で3倍速に出来るのでテンポ良好。一度選択したコマンドの記録も出来るので、パーティの戦い方が完成したらサクサク進めるぜ。
戦闘BGMかっちょいい #METROQUESTER pic.twitter.com/nDa3Ldms6K
— ゲームブロガー双葉ラー油 (@daikai6) February 8, 2024
戦闘BGMがカッコいいのも注目点。転調がたまんねぇ!
演出もテキストも最小限で地味なゲームだが、コツコツと行動範囲を広げてパーティを強化し、強力なボスを打ち破る面白さがある。敵が強いと感じたらひたすら宝箱を開けてレア装備を集めて脳汁を出せ!
図鑑で見れる敵のデータには「第一発見者」という項目があり、これはクラウドファンディングで支援した人の名前が入っているんだが、ラスボスの第一発見者が「竹下功一」で笑った。G-MODE取締役の竹下さんですか!?ラスボスに喰われとる……。
どこかトボけたノリのクリーチャーデザインは全体的に良いんだけど、ラスボスは体勢や周囲の描写で、他の敵とは一線を画した不気味さを感じられて一番好き。
コンセプトを分かりやすくてまとめているゲームなんだが、スキルや装備が揃っていない手探りの序盤が一番難しく、攻撃パターンが完成する中盤くらいからは単調になりがち。マップも広いわりに仕掛けなどが全然なく、装備の種類もやってると少なく感じるため、遊んでるとちょっとダレてくる。
個人的に一番気になったのは道を塞ぐ瓦礫の概念。
通過すると燃料を大きく消費するウザい地形で、一度通過すれば消えて二度と出現しない。繰り返しプレイで快適になることを実感しやすい要素なんだが、この瓦礫があまりに多くて道を塞ぎまくり。無駄にプレイ時間を引き延ばされてる印象を受けてしまった。
扉を開くカギ探しとか、苦労してボスを倒すとカギが手に入るとかは、探索の面白さに繋がっているんだけど……。
装備のまとめ売り機能がないとか、ソートに入手順が無いとか、UIもちょっと引っかかるところが多かった。
トロフィー/実績はマップを埋めながらクリアすればほぼコンプ出来るが、モンスター図鑑のコンプだけは罠。「序盤のボス戦だけに低確率で出現する、そこそこの確率で逃げる敵」というヤツがいて、普通に遊ぶとまず見落とす。
逃すと2周目まで取れなくなる面倒さなので、コンプ狙う人は注意だ。
クリアまでは10時間以上20時間未満くらい。クリア後にはデータを引き継いだ2周目があるのでやり込みは可能だ。探索や強化周りにもう一押し欲しいのと、描写不足かつ続編前提な世界観&シナリオは不満だったが、全体的には面白い1本だった。
バリバリのレトロゲーマーというよりは、カジュアルにレトロっぽい雰囲気を味わいたい人なら楽しめるかな。
続編の『QUESTER | OSAKA』にも期待しとこう!