絶対SIMPLE主義

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【レビュー】ただのリメイクではない!原作リスペクト溢れる37年越しの完結編『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ~追憶の流氷・涙のニポポ人形~』【Switch/PC】

 

北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ ~追憶の流氷・涙のニポポ人形~ - G-MODE

 

『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ~追憶の流氷・涙のニポポ人形~』のレビュー行くぜ!何気にSteamでも出ているが俺はNintendo Switchで遊んだぞ。

元の内容がうろ覚えだったので、ファミコン版もしっかり予習して挑みました。

 


パブリッシャー:ジー・モード

機種:Switch/PC

ジャンル:コマンド選択式テキストアドベンチャー

発売日:2024/9/12

価格:4800円(ダウンロード版)8800円(パッケージ版)


 

堀井雄二がシナリオを手掛け、80年代に大ヒットしたアドベンチャーゲーム『オホーツクに消ゆ』のリメイクだ。オリジナルは1984年のPC版で、そこから色んなバージョンが発売されたが、本作は1987年のファミコン版をベースにしている。

キャラデザである荒井清和のイラストやカットをそのまま使う形でグラフィックを一新し、堀井雄二が監修した完全新規の追加エピソードも追加。

 

追加エピソードはちょっとした話かと思いきや、なんと本編と同等のボリュームで、完結編としてガッツリ作り込んだ内容。これを持って『オホーツクに消ゆ』は完結したと言えるくらいのクオリティになっていたぞ。

リメイクと続編のセットじゃねーか!?

 

企画・制作はオリオン・プロジェクトで、開発はroom6とゲームスタジオが担当しているんだが、原作の持ち味をしっかり活かしつつ、よくぞここまで……!と感嘆する完成度だったぞ!

 

なんでパッケージ版が8800円するの?

 

本作、パッケージ版が8800円とダウンロード版の倍になっているが、限定特典としてファミコン版『オホーツクに消ゆ』をソフト内に収録しており、特典としてここだけのアレンジ曲を収録したスペシャルCDと、当時のパソコン雑誌『LOGiN』の貴重な資料と新ネタを収録した冊子が付属している。その分の価格だ!

 

冊子は堀井雄二による北海道取材旅行のレポートや、ゲームのコンセプトについての話など当時の記事そのまま収録しててすげー面白かった。当時の広告だと「ドラゴンクエストIIに続くボクの4作目です(堀井雄二)」ってのを強く押し出していて、そういう立ち位置だったのかと。

 

 

ちなみにファミコン版ほぼベタ移植だが、4つのセーブスロットへの任意セーブが可能なので少し親切。開発をD4エンタープライズがやってるので、エディアから出てるコレクションタイトルと同じ作りだ。ファミコン版のマニュアルもソフト内に収録してるのが嬉しい。

 

 

パッケージを開くと昭和が襲い掛かってくるぞ!ウワーッ!2000円ポッキリ!

ただのネタではなく、最初の証拠品である「キャバレーのチラシ」を再現してるので、ここからゲームが始まる演出にもなってるのだ。

ゲームはまさかの2024年からスタート!そこから37年前のあの事件へ……!

 

ゲームは「2024年」からスタート!

定年退職した元刑事である主人公の元に、まりなという女性が訪ねて来る。父親が巻き込まれた事件に、1984年の「オホーツク連鎖殺人事件」が関わっている可能性が高いという話で、かつてボスと呼ばれた主人公はその事件を語り始める。

37年前の回想という形で、37年前のゲーム本編がスタートする構成になっているぞ。

 

こう来たか~!という導入!時間の流れをシナリオに織り込んであるのだ。

 

 

1987年の「オホーツク連鎖殺人事件」は、東京湾沖に男の遺体が上がったところから始まる。証拠品から遺体の身元が北海道と判明したため、刑事である主人公は北海道へと飛ぶ。北海道警の刑事であるシュンとコンビを組んで事件を調査することになったが、新たな殺人が次々に発生。この事件に関連性はあるのか。北海道を飛び回り、事件の真相を見つけ出せ!

というのが本編のストーリー。

 

 

80年代の作品なので今見ると人物の掘り下げがあっさりしているが、個性豊かな登場キャラたちに、テンポ良く手に入る新情報、シリアスとギャグの緩急が絶妙なテキスト、新展開がある度に調査中のBGMが変化する演出、点と点が繋がり、終盤で一気に畳みかけてくるシナリオと、今遊んでも構成が上手く感じるのはさすが「THE YUJI HORII MYSTERY」!

 

 

たまに口が悪くなるシュンくんもいい味出してる。頼れるシーンではきっちり頼りになるし、物言わぬ主人公の代わりに感情を表現する姿はいい相棒だわ。

昔と同じコマンド総当たり式。しかし快適になった部分も

 

ゲーム自体は昔と同じ由緒正しいコマンド式のアドベンチャーゲームだ。あちこち移動して聞き込みをし、画面内を調べて証拠品を集めて物語を進めていく。主人公はドラクエよろしく喋らず、相棒であるシュンに行動を指示をする形で進行していくぞ。

 

 

基本的にはファミコン版と同じ構成だが、あちこち親切になっている。

番号をすべて手動入力する必要だった電話は、記録された番号を選択すればOKになった。それはそれとして手動入力も残っており、特定の番号を入力すると本編に関係ないメッセージが聞けるおまけ要素も健在だ。

 

 

勝利すると進行ヒントが貰えるミニゲームのブラックジャックは、ファミコン版だとコイン15枚勝負でMAXBETが5枚だったため、最低でも3勝しないといけなかった。リメイクだと5枚勝負なので1発で勝負が決まるのがありがたい。シュンがよくバーストで自爆するし。「詰まったらミニゲームで勝てばヒントが貰える」という説明も最初に大きく表示されるぞ。

 

その他、画面内を調べる時に反応があるポイントだとカーソル表示が変わったり、全体的に操作レスポンスが良くなっていたり、終盤登場する3Dダンジョンにオートマップが付いたり、特定のタイミングで一回ゲーム終了させないといけないポイントが無くなったりと、時代に合わせて色々快適になってる。

新要素であるご当地感マシマシのマップ機能と、人物相関図に注目!

 

新要素として、観光マップ……じゃなかった捜査マップが追加。行ける場所が増える度に更新され、解説テキストが読める。元々北海道各地の有名所を巡るストーリーだったが、更にご当地感アップだ!

 

まあ、位置関係が明確になったことで、主人公たちがとんでもない距離をポンポン移動してるのは気になるが……。劇中でいつの間にか日付が変わってる時あったけど納得だぜ!

 

 

ゲーム進行に合わせて細かく更新される人物相関図も凝ってる。新情報でレイアウトが大きく変わったりするので、事件を整理するのにピッタリ。

物語の解像度が高くなった美麗グラフィック!

 

ドットから一新されたビジュアルは非常に良く出来ていて、よりリアルになった背景と、荒井清和のイラストをそのまま落とし込んだ柔らかいキャラ絵どちらも見事。静止画だと分からないがちょっとしたエフェクトや動きも付いてるので、実際遊ぶとなかなか見栄えする。

 

 

最初のシーンでもう「おっ!」ってなった。被害者の顔がこの時点でしっかり見えてる。

 

 

ファミコン版だとこんな感じで死体の顔が見えず……。

 

 

直後に顔写真を見るシーンで、初めてこういう顔なんだなと分かる流れだった。最新リメイクで解像度上がってるなあ。

 

 

コロポックリ店内とか腹減ってくるぜ!最初から他の店員さんがいるのも良いね。

 

 

本作の顔である「まきこ」と「めぐみ」もイラストそのままの可愛さ!

ダブルヒロインみたいなイラストが多いけど、実際はめぐみさんの出番少ないんだよな……。昔の2時間ドラマのお色気担当みたいなとこある。

 

 

伝説となっている温泉のシーンも完全リメイクだ!

もちろん「めぐみのバスタオル」も完全再現されていて、リメイク版スタッフの本気を感じたぜ。どのくらい完全再現かは君たちの目で確かめてくれ!

豪華声優陣によるフルボイス!気になるゲスト声優の扱いは……?

 

ちょっとしたモブキャラまで完全フルボイスで喋るのも特徴で、メインキャラや印象深いキャラは安定感ある豪華声優陣で固めてある。ルブランのルナの声を氷上恭子がやってるからビックリだよ!

 

https://x.com/okhotskMITF/status/1810947441354756316

 

俺もずっと気になっていたのがゲスト声優陣。ゲーム実況者に漫画家にメディアの副編集長に……。話題作りにしても意味不明過ぎる雑多な顔ぶれでめっちゃ不安!

 

実際遊んでみたら大半が間違い電話のネタボイスとしての登場で、普通にストーリーを進める上で気になる場面はほとんど無かったぞ。良かったぁ!

本番はクリア後の追加エピソード!37年越しの完結編!

 

本編だけでもリメイクとして満足感あるんだが、その後の完全新作ストーリーが本番だ!37年の時を経て変化した「2024年の北海道」を舞台に、新しい事件に挑む。本編で残っていた大きな謎を軸に物語を広げたシナリオは見事で、当時からこの構想あったのかな?と思ってしまうほど綺麗にまとまった完結編。監修の堀井雄二どのくらい関わってるんだろう。

 

数十年ぶりの続編となるとテキストのノリが違ったり、本編のオマージュに終始するような内容になったりしないか気がかりだが、そこもバッチリだ。

会話に違和感はないし、「まさかここまでやるとは!」と言いたくなる徹底したファンサービスをやった上で、プレイヤーが予想もつかない展開をぶつけてくる。まさに「期待に応え、予想は裏切る」シナリオ展開だったぜ。

ファン向けだが見事なリメイク+完結編。悩んでいるなら買えッ!

 

ボリュームはほぼ倍になっているが、元がファミコンのADVなので、それでもクリアまでは8時間掛からないくらいかな?

 

快適になっているものの、基本的には昔と同じで歩き回ってフラグ立てるADVで、ヒント機能がミニゲームだけなのも一緒。そこまで理不尽な箇所はないものの、現代編はミニゲームのヒントが無くなってるのもやや不便。この時代のアドベンチャーゲームに慣れてないとちょっとイライラするとは思う。

 

なので、ある程度ファン向けにはなるが、オリジナルへのリスペクト溢れるリメイクとしても、当時のファンに向けた完結編としても完璧!今の目でも見所は多いので、新規でも不便さを踏まえた上で遊ぶ価値はあるかな。

主人公=プレイヤーがコマンドを選んで物語を追いかけ謎を解く。これこそ「コマンド選択式テキストアドベンチャー」だ。

 

『オホーツクに消ゆ』は世代じゃないからそこまで思い入れあるわけじゃないが、それでもこのクオリティは胸が熱くなる1本だった。

悩んでいるファンは即買って良しッ!