絶対SIMPLE主義

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怪獣×ご当地映画の怪作『怪獣ヤロウ!』見てきた!

 

映画「怪獣ヤロウ!」公式サイト

 

『怪獣ヤロウ!』公開日に見てきたので軽く感想書くぞ!

 

岐阜県関市の観光課に努める公務員が、市長から「ご当地映画」の製作を命じられて大慌て。なんとか撮影を進めるがデータが全部吹き飛んでしまい、それを機につまらないありきたりなご当地映画ではなく、子供の頃からの夢だった「怪獣映画」を作ると暴走を始め、大騒動に発展していく……!

 

という内容。この映画自体が「岐阜県関市を題材にしたご当地映画」であり、実際に自治体の協力を得て作られているメタ構造なのが面白いところ。

 

 

ちなみに実在するご当地怪獣映画だと岐阜県を舞台にした『アユラ』が撮影中で……って、これも岐阜県じゃねーか!?

岐阜以外だと熱海怪獣映画祭も有名だね。

 

『怪獣ヤロウ!』の主演はお笑いコンビである「春とヒコーキ」のぐんぴぃ。

街頭インタビューで「バキバキ童貞です!」と答えたシーンが大バズりしてネットのおもちゃにされた芸人だ。そこから変人仲間と一緒にYoutube『バキ童チャンネル』を立ち上げ、持ち前の企画力で登録者数180万人を突破。更に現在は『大病院占拠』など俳優方面でも活躍中である。

 

監督・脚本はタイタン所属でぐんぴぃのマネージャーでもある八木順一朗で、かねてから抱えていた怪獣映画を撮りたい!という気持ちをそのままシナリオにぶつけた経緯だ。

 

俺は特撮ファンかつバキ童チャンネルのファンなので、両方の視点から見ていくぜ!

 

 

鑑賞したのはゴジラが鎮座する新宿のTOHOシネマズ。ガンダムとキャプテンアメリカも並んでいてお祭り状態だ。新作の怪獣映画がここで公開されると箔が付く感じする。

 

 

物販ではE.T.の横にぐんぴぃが並んでいて、間違った世界線に入り込んでしまったのかと思った。バキバキ映画スターじゃん!このぐんぴぃグッズにカップルや若者が普通に群がっていて、やはり間違った世界線なのでは!?

客も若い層が中心でビックリ。ジークアクス初日よりも明らかに客層が若かった。実際のバキ童人気を肌で感じたぜ……!

 

シナリオ的には周りから笑われても自分を貫け!という王道的な作り。キャスト陣がしっかりしてるので安っぽさはなかったし、主人公に無茶振りをするやりたい放題の市長を清水ミチコ、貫禄たっぷりに登場する伝説の怪獣映画監督を麿赤兒が演じており、ここは見ていて圧倒された。

 

ご当地映画製作の報が街に広がるシーンで、新聞輪転機の映像に文字が被さる昭和映画的な演出から、街での井戸端会議、若者のLINE会話へと広がっていく描写が細かいけどかなり好き。HEROみたいなBGMでぐんぴぃが走るシーンもなんだか見てて爽快。

 

特撮ファン的にはいかにも怪獣映画的なBGMに、近年のウルトラマンシリーズにも小道具で関わっている武富洸斗によるミニチュアワークが見所だ。「かつて怪獣映画に使われた小道具」がズラリと並ぶ特撮ラボの密度と、それを見て子供みたいにはしゃぐぐんぴぃが良いんだわ。

 

とはいえ、伝説の怪獣映画監督が寂れた自分の特撮ラボで「CGのバケモノが暴れるようになって、着ぐるみとミニチュア怪獣は時代遅れになった」なんて主張するシーンは、やっぱりセンスがあまりに古く感じてしまったなあ。昭和の怪獣映画全盛期に比べればそりゃ数は少ないだろうが……。今やってるウルトラマンとフェス・ゴジラを見ろ!

 

バキ童チャンネルで散々見せられた「アンタいつからそうなったん!」のシーンは笑うシーンじゃないのにやっぱり笑いそうになったし、なんならぐんぴぃがバイクで走ってるだけのシーンも仮面ライダーパロのOP思い出して耐えられなかったよ!バキ童ファンへのファンサービスも良かった。こういう分かりやすいファンサービスは大事。

 

脚本はぐんぴぃ当て書きだったと監督が語るように、良くも悪くも「バキバキ童貞」としてネットでいじられていたぐんぴぃありき。溜め込んだ想い、あるいは溜め込んだ世の中への恨みを解き放ち、怪獣のような凄いパワーで周りを飲み込んでいく!という展開の味わい深さと説得力、怪獣みたいな体つきで暴れる姿は確かにぐんぴぃならでは。

 

しかしそこに頼り過ぎで「これでなんとかなるの!?」「これが大ウケしてんの!?」という後半の強引さや、脚本の甘さなども目に付く。ここは最初からもっとギャグに振っていた方が飲み込みやすかったかも。市長のキャラももうちょっと活かせたと思う。

 

とはいえ、終盤で「一体何を見せられているんだ……」と思わされつつも、オタクっぽくはなりすぎず、でもこだわってる部分はあり、シナリオ自体は分かりやすい。歪だけど見やすい映画に仕上がっていて、個人的にはそれなりに楽しめる映画だった。

 

ぐんぴぃのファンムービーとしては十分に〇。怪獣を題材にした映画としては「もうちょっとこう……」と思うところはあるが、「怪獣」だからこそのパワーはあったね。

全体的には怪獣映画要素より「ご当地映画」への皮肉の方が切れ味鋭かったかも。

 

 

鑑賞後はせっかくなのでパンフレットとぐんぴぃのアクスタ、関係ないけどジークアクスの豪華パンフを購入して帰宅。

パンフレットは八木順一朗監督と、言わずと知れた『平成ガメラ』の監督である金子修介監督の対談もあって読み応えあった。金子監督にそこそこ内容のダメ出しされてるの笑う。

続編を作りたいと考えてるそうなので待ってます!