コンプしたので『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』のレビュー行くぜ!
俺がプレイしたのはNintendo Switch版ね。
パブリッシャー:アニプレックス
機種:Switch/PC
ジャンル:“極限”と“絶望”のADV
発売日:2025/4/24
価格(税込):7700円
トゥーキョーゲームズ、メディアビジョン、アニプレックスで送る完全新作ADV。
人類防衛の要である「最終防衛学園」を、正体不明の敵「侵校生」から守り抜く100日間の物語を描く内容だ。個性豊かな生徒たちを使い分けて戦うシミュレーションパートと、交流を深める学園パート。そして100のエンディングに分岐する物語が特徴となっている。
『ダンガンロンパ』小高和剛と『極限脱出』打越鋼太郎が初めてタッグを組んだ作品でもあり、下ネタがめちゃくちゃキツくなるのでは?と思ったらその通りだったぜ!
凄まじい分量のシナリオに挑み、世界観と物語の全貌を少しずつ探り、プレイヤーそれぞれの結末を見つけるゲーム。
試みと物量は凄まじいが、それが追いついてない箇所も多い。手放しに褒められないものの、規格外の面白さがあるのは間違いない1本だった。

なお、今回のレビューは序盤である1周目のネタバレを含みます。
さすがに序盤ネタバレしないとレビュー出来ねぇから!
- 超パワーを得た少年少女たちが、最終防衛学園を守る死闘を繰り広げる!
- 100日間のADV+シミュレーションRPG。濃ゆいキャラ達と訓練して戦闘に備えよ!
- ネタバレすると本番は……。
- 果てしなき広がりを見せる規格外のシナリオ!スチル枚数もスゴい!
- 大体みんな好きだけど特に好きなキャラはコイツら!
- 面白いが、面白さが頭打ちになるまでが早い戦闘パート。
- ゲーム部分の大半がスキップ前提の作りでダレてくる。
- 1周目の甘さとルートの当たり外れのデカさ、雑エンディングに苦しめられる……!
- 文句は幾らでも付けられるけど、規格外の体験ができるゲームだった!
超パワーを得た少年少女たちが、最終防衛学園を守る死闘を繰り広げる!

規則正しく建てられた団地、ドームで覆われた空、管理された放送と共にやってくる朝。ナレーションで平凡を強調してるが、明らかに平凡じゃない「東京団地」に住む主人公の澄野拓海。彼の平和な日々は正体不明の襲撃者「侵校生」によって突如崩れ去る。

窮地を救ったのは、今回のマスコットキャラ枠にしては見た目がキモい「SIREI」だ。
こいつの導きで異能の力「我駆力」に覚醒して侵校生を退けた澄野拓海は、最終防衛学園へと転校することになる。なんだか分からないが、ここを100日間守り抜かないと人類は終わる!

『ダンガンロンパ』ファンへの目くばせを忘れない教室での目覚めシーンを経て、何も知らずに集まった少年少女たちが、最終防衛学園を守るための死闘へ身を投じることになる……というストーリーだ。
超人の学生たちが戦う作品だから用語が「我駆力(がくりょく)」「侵校生(しんこうせい)」とかなのは中島かずきっぽいセンス。
あっちは「壊惨総戦挙(かいさんそうせんきょ)」「襲学旅行(しゅうがくりょこう)」とか更にキレッキレだけども。
100日間のADV+シミュレーションRPG。濃ゆいキャラ達と訓練して戦闘に備えよ!

ゲームは100日間で構成されたADV+シミュレーションRPG。
マップを自由に移動して仲間と交流し、絆を深めて個別会話を見たり能力を上げたり。VR訓練で経験値を稼いだり。仲間へのプレゼントを作るために、探索という名のスゴロクパートで素材集めをする要素もある。日数が進むとシナリオに沿って敵が襲撃するので、鍛えた仲間たちで防衛戦を繰り広げる。
戦闘の難易度は低く、シミュレーションゲームが苦手な人のために簡単モードも用意されている。物足りない人にはVR訓練に高難易度ステージが用意してあるぞ。

エキセントリックなキャラたちと、謎が謎呼ぶ展開で引っ張るシナリオはこのスタッフのお手の物。
敵である侵校生の正体とは。最終防衛学園に眠る謎とは。主人公たちの境遇や行動の裏に関する謎も織り交ぜてグイグイ引っ張っていく。

ここのスタッフの手癖みたいなパロネタと下ネタとメタネタが多すぎるのは難点だが……。
言う奴が1人でも多いのに4人くらいいる!

定期的に登場する信校生の部隊長はそれぞれ強力な特殊能力を持っており、シナリオ的にもゲーム的にも対処法が必要となる。霧を出してくる奴、特殊音波でかく乱してくる奴などなど。特殊能力持ちでイカしたデザインの巨大ボスを、どう対処するか頭を巡らせる。怪獣特撮みたいなワクワク感があるね。
ネタバレすると本番は……。

ネタバレしちゃうと本作はループ作品で2周目が本番!
1周目のラストで2周目に繋がる展開となり、選択肢によるストーリー分岐とチャプターセレクトが解禁される。ここから本当の『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』ってわけだ。1周目で選択肢が全然出ないわけだよ!

仲間への重大な決断を迫られることもあれば、今食べたいのは焼肉か寿司か……なんてしょうもなさすぎる選択肢で怒涛の分岐するから困る。
果てしなき広がりを見せる規格外のシナリオ!スチル枚数もスゴい!

果てしなく分岐するシナリオはSF要素が強いものから、ホラー要素マシマシのもの、お約束のデスゲームに、ギャグや恋愛に振り切ったものまで盛り沢山。
仲間が死にまくって明らかなバッドエンドルートかな……と思ったら予想も付かない方向にストーリーが展開して普通に100日まで続いたりと、本当に読めない。
好きなルートだとなんだかんだデスゲーム編は完成度高くて面白かったし、ノモケバ編も終わり方の絶妙さがさぁ……!インパクトだと「〇〇たくさん編」があまりに強烈。話のまとまりとしては「独裁〇〇編」も好きだった。「箱」関連のシナリオもホラー色が強くて展開としては気に入ってるな。「青春編」や「恋しちゃった編」も清涼剤。

実際遊ぶとエンディングの多さよりスチル枚数の多さにビックリする。数百枚あるぞ!
気持ちが盛り上がる凝ったスチル出てきて、希望の未来へレディーゴー!かと思いきや凄惨なバッドエンドに移行して意表を突かれたり。どうでもいいギャグシーンにスチルあったり。こちらも物量を活かした予測不能の演出をかましてくる。
大体みんな好きだけど特に好きなキャラはコイツら!

好きなキャラはやっぱり主人公である澄野拓海。
無数に広がる可能性の世界のそれぞれで、理不尽な目に合いながらもハッピーエンドを目指し続ける。仲間のために命を賭ける姿も、決断に悩む姿も、アホなところもダサいところも、擦り切れてしまうところも、まったく別人に変わってしまうところも見ることになるので、好きになるよそりゃ!

シナリオ上のメインヒロインである霧藤希も好きなんだが、通して遊ぶと雫原比留子の方が……ってなっちゃうな。戦闘ではバトルアックスを振り回すおっかない眼鏡女。性格は冷酷無比で効率重視。人の気持ちを考えず強引にチームを引っ張ろうとする。無数の分岐に隠された彼女の本心と真実を知ってしまうとなぁ!
稀にボケ会話に乗ってくれるところも好き。

本作を語る上で絶対に外せないのが蒼月衛人。
多くは語らないが、小高和剛は今もこういうキャラを生み出せるなら、ナンボでも食っていけるな!と思えたぜ。

面影歪は殺し屋稼業やってる快楽殺人者でやべー実験ばかりしてるけど、感性は常識人寄りでツッコミに回ることもあり、実は友情にも厚い。さらっと言ってるけど、お前めちゃくちゃ仲間想いじゃん……!ってシーンが多くてグッと来る。でも快楽殺人者の殺し屋。まさに歪なキャラ造詣が絶妙でめっちゃ面白い。脇役寄りの立ち位置だけどかなり気に入ってる。

飴宮怠美は躁鬱が激しいメンヘラ地雷系女。デスゲームと古のエロゲー好きでメタ発言多数。ビジュアル一点突破の賑やかしかと思いきや、メイン回であるノモケバ編が強すぎる!
「見てるか見てないかでキャラへの印象が全然違う」ってルートが多数あるのも本作の醍醐味。

凶鳥狂死香はセリフの大半がジャンプ漫画ネタのサムライ女で、こちらも過去が分かるルートを見た後だと一気に好きになれる。イロモノ枠だけど、優しさがにじみ出る節々のセリフ回しが良いキャラなんすよ!
ただ、持ってる日本刀で自慰するのを周りから弄られるのが持ちネタなだけで……。
こういうところでスタッフの悪いところ出てるんだよ!

他のキャラもやればやるほどに好きになれるし、やればやるほど好感度が下がっていく丸子も一周回ってなんか好きになってくる。
コンプした上で言うけどお前マジでロクなことしないな!DJありがとう。

敵の総大将であるヴェシネスも存在感バツグン。
尊大にして悪逆非道な超強敵。デザイン含めてボスキャラとして文句無しの造詣だったし、ルートによっては展開の都合でサクッと死ぬのも味わい深い。
面白いが、面白さが頭打ちになるまでが早い戦闘パート。

戦闘は多方向から押し寄せるザコの群れと戦う形式で、バリア装置を破壊されたら敗北となる。
行動力となるAPをどう使うか?というシステムで、複数のキャラをバランス良く動かすことも、1人のキャラに連続行動させることも出来る。

単体攻撃に特化したキャラもいれば、飛行してる敵に強いキャラ、範囲攻撃に長けたキャラ、行動する度に特性が変わるキャラなんてのもいる。
死んでも復活出来るから命を削る大技もガンガン使えるし、中型の敵を倒すと行動力が回復するのも面白い仕様だ。
日常パートでアイテムを作成すれば、一時的なステータスアップや地形無視の移動も可能。
育成して仕様を理解するほどに、一撃の破壊力と行動回数が高まり、アイテムやスキルを活用した無双がしやすくなるのが遊んでいて気持ち良い作り。
仲間の支援を受けられるエールに気づくと世界が一変するぞ!

まあ、川奈つばさに任せれば大体なんとかなるところあるが……。
メカニック設定を活かしたサポート特化キャラなのに、バイク乗った暴走族より機動力があって、ガトリングガン背負ったヤツより殲滅力があって、サポートスキルもあるお前なんなんだよ!

シナリオ上でもこいつの発明でなんとかしてる箇所が多い気がする!ゲロを吐くことと引き換えにドラえもんと化した女。メカニックとハッカーはチートキャラになるのがお約束。

ただ、戦闘が面白いのは1周目くらい。
かなり早い段階で育成が頭打ちになるし、2周目以降は同じ敵と繰り返し戦う展開がほとんど。
シミュレーションゲームとして厳密に見ると、予告なしのしつこい増援で難易度上げてるのも気になるところだ。戦闘前に細かいメンバー編成が出来ないのは、限られたメンバーで迎え撃つゲームとして納得は出来るが……。
ゲーム部分の大半がスキップ前提の作りでダレてくる。

素材集めや一部のイベントでやるスゴロクパートが破滅的につまらないのもキツい。プレイ時間の引き延ばし以外の何物でもないぞ!

戦闘は2週目に入ると似たようなバトルをすっ飛ばせるスキップ機能が解禁されるし、スゴロクもアップデートでスキップ出来る箇所が増えたし、素材集めもおまかせでほどほどに集めてくれる機能があるし、遊んでると単調になってくる日常パートも、自室のベットを調べるとすっ飛ばせる。

つまりゲームを構成する要素の大半は、ちょっと遊んだら全スキップ前提になる。
シナリオを読むのに集中できるのは良いけど不毛だわ……。こうなるとスキップ出来ない細かい演出なども気になって来るんだが、アプデでちょこちょこ改善はされてる。
最初のバージョンだと「連続防衛編」のバトルがスキップ出来なかったってマジなんですか……?
1周目の甘さとルートの当たり外れのデカさ、雑エンディングに苦しめられる……!

シナリオ面で気になる点も多々ある。
2周目からが本番なんだが、それにしても1周目の作りが甘い。
というのも「100日間の物語」「100のエンディング」って言われてるのに、選択肢が出ないまま、戦わない仲間を一人ずつ説得する展開で日数をダラダラ消費する。こりゃ最後にループでもしないと成立しないなと読めてしまう。
話が進んでる時はワクワクするんだけど、話が進まねぇ……!

ルートによるシナリオの当たり外れが大きく、しかも外れルートもかなりボリュームがあるからしんどい。1周目を終えて「ここからが本当の最終防衛学園だ!」と意気込んで即コメディ編に突入した時は、トゥーキョーゲームスに殴り込みかけようかと思ったぞ!
テンポ良く一気に駆け抜けるならともかく、日常パートや共通の演出を挟んできっちり進めるから余計にしんどく感じる……。
ルート毎にジャンルがガラッと変わるのは長所でもあるが、複数ライターなのでキャラの性格に少々ブレがあるし、基本設定でる「死んでも復活できるが、失った血の量によっては復活出来ない」の判定ブレはさすがに気になった。ルートによって「これで復活不可能なの!?」って時もあれば「これで復活出来るの!?」って時もあって、話の都合感がバリバリである!

発売前では100のエンディングすべての意味があり、安易なバッドエンドは無いと豪語していたがまったくの嘘。
「まったくの嘘」って表現していいくらいには嘘で、選択肢ミスで一発アウトみたいな終わり方も普通に沢山あるし、なんならエンディングの数を水増すためにでっち上げたようなルートも複数存在する。広告詐欺って言っても許されるだろ……!
セールの時に「1つのエンディングあたり53.9円!」とか宣伝してたの、コンプした人間はキレていいと思う。
キレてる!!!!!!!!!!
何が分岐編だこの野郎!!!!!!!!!!!
お前の脳みそを左脳と右脳に分けてやろうか!!!!!!
文句は幾らでも付けられるけど、規格外の体験ができるゲームだった!

全エンディングコンプまで遊んで軽く100時間以上。
凄まじいゲームではあったが……。ルート毎の当り外れの大きさや、大ボリュームのシナリオをまったく支え切れていないゲーム部分とUIの悪さなどなど。文句は幾らでも付けられる。放置するにはデカすぎる伏線が、コンプしても放置されたままだったりな!
このボリュームだからこその面白さがあるのは確かなんだが「その面白さは使う時間に見合ってるか?」と聞かれると難しいところだし、そもそもUIの悪さや同じようなシーンの繰り返し、スキップ出来ない細かい演出でプレイ時間が嵩んでいる。
現在は繰り返しのアップデートで快適性は大分マシになってるものの、そもそもの設計が悪すぎた。
「選択肢の手前から」を選択した際に、選択肢の直前から開始できるように変更
なんて悪い冗談みたいなアプデもされたからな!アプデ前は全然直前からじゃなかったのだ。

しかし、予想外の広がりを見せる広大な物語に翻弄され「この単語どっかで一度だけ聞いたことある!どこだ!?どのルートだ!?」と悩みながら情報を繋ぎ合わせ、全貌を掴んでいく構成は、本当に自分が主人公になってループを繰り返している感覚だった。
このボリュームじゃないと出せないところだし、70時間遊んで知らないキャラが出てきた時の興奮は今も忘れられない。
戦闘がシミュレーションゲーム形式なのは良し悪しあるが、だからこその見せ方も出来てる。
特に一部のボス戦で挿入歌として流れる「RUMBLE feat. Masato from coldrain」はゲキアツ。曲調があまりにも合ってて感情がぐちゃぐちゃになる!転調でダークなロックと静かなパートが切り替わるのが、ターン制で動かし方をじっくり考えるシステムにもハマってる。あまりにピッタリなので、前からある曲を使ったタイアップだと知った時は本当に驚いた。マジで!?
描き下ろし曲である「セダム」の方も染みたなぁ……。繰り返し聞くことになり、その度に歌詞がどんどん心に刻み込まれる名曲だった。
そして遊ぶほどに思い入れが深まる特防隊のみんな。

色々あったけど、すべてを終えた今は寂しさが強い。
無数に広がる世界のどこかで理不尽さに抗い、今も100日間を戦い続ける彼らに思いを馳せる。
オススメはし辛いが、このゲームならではの体験をさせて貰った。
ありがとう……さよなら最終防衛学園!