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【レビュー】質量が歯応えと間口の広さを生む!規格外の英雄譚『ユニコーンオーバーロード』【PS4/PS5/Switch/XBOX】

 

ユニコーンオーバーロード - 公式サイト

 

『ユニコーンオーバーロード』のレビュー行くぜ!

 


パブリッシャー:アトラス

機種:PS4/PS5/Switch/XBOX

ジャンル:シミュレーションRPG

発売日:2024/3/8

価格:8778円


 

『十三機兵防衛圏』『ドラゴンズクラウン』などでお馴染みのヴァニラウェア最新作!

1990年代のシミュレーションRPGの魅力を継承した完全新作……というか初代『伝説のオウガバトル』を強く意識したであろう内容だ。

 

快適かつテンポの良いゲーム展開と、戦略次第で格上の敵も仕留められる手応えの匙加減が絶妙。そして尋常じゃない拘りで作られた2Dのグラフィックも圧巻だ。次々に登場する60以上のキャラに君の性癖は耐えられるか!?

 

この物量と質量だから成立した、王道かつ規格外のシミュレーションRPGだったぞ!

 

 

ストーリーは亡国の王家の血を引くカリスマ王子が仲間を増やして、めっちゃヤバい古代魔法を使う悪い皇帝を倒す!という分かりやすい英雄譚。ゲーム開始時点で舞台となる大陸全土が邪悪な皇帝ガレリウスに統一されているため、反乱軍としてちょっとずつ開放していく。

 

エルフが人間を嫌ってる描写や教会周りの話はあるものの、政治・民族・宗教でのゴタゴタやドロドロ展開が強くない。とはいえ薄味ということはなく、個々のエピソードを丁寧に描いた60人以上のキャラでしっかり魅せるシナリオだ。

 

 

主人公の母である女王イレニア最後の戦いがチュートリアルになってるが、良デザインのキャラたちがグリグリ動く戦闘でいきなり引き込まれる。

クリア後に改めて見直すと、知ってるキャラしかいなくて面白いな……。

 

 

ジャンルはSRPGだが、2Dのフィールドを自由に歩き回って冒険する構成。メインシナリオを追うも良し、大陸を隅々まで回って徹底的に仲間キャラ集めや育成をしても良し。序盤から最終決戦に挑むことも可能となっている。

 

ちょっとボスを倒したら終わりの短いステージがフィールドの各地にあったり、シナリオの節目に挑むような大決戦ステージも、そこまで長時間のマップは無かったりと、全体的にテンポ良くサクサク遊べる作り。

 

 

SRPGパートはリアルタイムで進行。

回復や部隊の出撃に使える拠点や、弓兵を強化する高台、進行の要となる橋の取り合いを行い、点在している1回だけ回復に使えるキャンプなども活用しながら、敵の本拠地に待ち受けるボスの撃破を目指す。

ステージによってはトラップが道を塞いでいて進行ルートを考える必要があるし、敵が使ってくる投石器やバリスタを奪って使用することも可能だ。投石器やバリスタ、めっちゃ強いから敵が使うと厄介で、味方が使うと超爽快!

 

 

移動中に味方ユニットと敵ユニットが接触したら戦闘開始。戦闘はフルオートなの見てるだけ。一定回数行動したら戦闘終了となる。

 

 

好きなキャラで部隊を編成する面白さに振った作りで、ズラリと並んだキャラと装備を眺めながら、ステージ合わせた最適な編成に頭を悩ませるのが実に楽しい。

相性が重要なゲームなので上手く組めばほぼノーダメージで完封できるし、逆に相性が悪いと格下の相手でもボロ負けする。

 

ステージ開始した後も拠点で部隊編成が自由自在なので、守りの堅いボスの前でじっくりと編成を吟味出来る。戦闘前に結果を確認できるから「レベルの高いメンバーをボスにぶつけるぞ!……相性でダメージ10しか与えられないじゃん!組み直し!」などもラクラク。

 

感覚としてはトレーディングカードゲームのデッキ構築に近く、そこに育成やお気に入りのキャラといった要素が乗っかるので中毒性がヤバい。

 

戦闘すると部隊ごとに設定されたスタミナが減り、ゼロになると一定時間行動できなくなる仕様や、敵の撃破などで溜まるブレイブゲージを使うことで、フィールド上で回復や攻撃のスキルを使える要素もあるため、強いパーティでのゴリ押しがし辛く、でも上手く動かせばスキルで圧倒出来るバランスにもなっている。

 

 

敵と接触した時の戦闘中は見てるだけだが、キャラの行動条件は細かく設定が可能だ。

仲間のHPが設定した割合を切ったら優先して回復魔法、特定の職業の敵を狙ってデバフを掛けるなどなど。びっくりするくらい細かく設定できる。装備アイテムをちょっと変えるだけでキャラのスキルや性能が大きく変わるゲームなので、編成を凝れば凝るほど物凄い力を発揮できるバランスになっているぞ。

 

とはいえ、行動条件に関してはガッツリ弄らなくても立ち回りや育成で十分カバー出来るので、そこはライトさも残してある。ヘルプやオート機能も充実しているため、間口は広く、奥行きは深いシステムになっているぞ。

 

 

そして60人以上いるキャラがとにかくすごい!人間、獣人、エルフ、天使など種族が多彩で、細かいモーションまでめちゃくちゃ作り込まれてる。戦闘中のちょっと仕草の豊富さを見ると、どんだけ労力掛かってるんだ!?って驚かされるわ。

 

 

序盤は仲間になるのがおっさんばかりだなあ……おっさんはおっさんで良いけど……と思っていたら、次々にえっちなキャラが出てくるし、エルフの森に突入したら方向性の違うえっちなエルフが仲間に加わる!隙を生じぬ二段構え。

 

 

キャラが仲間になる理由は平和のため、国のため、名誉のため、金のため、保身のためなど様々でバチバチにキャラが立ってるし、特定のキャラの組み合わせで好感度を上げると掘り下げになる会話も見れる。

 

更に、ゲームが進むと好感度の高いキャラに「乙女の指輪」を渡して、主人公のパートナーにすることが可能だ。渡せる相手は性別、種族問わず!メインヒロインに渡すも良し、主人公を幼い頃から支えてきた老騎士に渡すも良し、割と勢いで仲間に加わったチンピラみたいなやつに渡すも良し!えっ、これ本編で仲間になるキャラ全部にセリフ差分用意してあるんですか……?と戦慄する凝りっぷり。

 

プレイヤーの様々な「好き」に全力で答える作りが素晴らしい。

仲間キャラ1人1人に物凄い労力を掛けているからこそ、集めて戦闘で使うのが楽しい。ステージに合わせて様々な部隊を編成して運用するゲームだから「出撃させたいのに枠が足りない」なんてことにもならないぞ。

 

 

ちなみに俺のお気に入りはメリザンドです。仲間にすると王になることが確定してるアレインに妾にしてくれと迫ってくる。でも仲が深まるとちょっと卑しいこと言ってくるのが好き。

 

 

仲間にならない敵将やちょっとしたモブもしっかりキャラが立っていて、出番が少なくても印象を強く残してくれる。

 

 

ちなみにイベント加入する仲間以外に、モブの傭兵を雇用することも可能だ。イベント加入だけだと割と職業が偏るので、バランスを考えると傭兵を活用するのもアリ。モブの傭兵もまた動きが凝ってる!

 

 

しっかり遊んでクリアまで40時間以上。

難易度ノーマルだと育成でゴリ押しが効きやすいので、SRPG好きな人なら難易度エキスパートで初めてちょうど良いくらいかも。気が遠くなるような作り込みがしっかり面白さやキャラの魅力に繋がっているゲームで、「これしかない!」というエンディングも含めて大満足。

飛行系ユニットがやや強すぎる点と、一度編成した部隊をお気に入り登録できる機能が無い点、オンライン対戦用の闘技場があんまり面白くないのは気になったが、早送り機能やUIなど基本的に快適性もよく考えられてた。

 

やっぱり手間の掛かったゲームは違うぜ……満足!