WATCH DOGS LEGION - ウォッチドッグス レギオン | Ubisoft
『ウォッチドッグス レギオン』のレビュー行くぜ!
メーカー:UBIソフト
機種:PS4/PS5/Xbox/PC
ジャンル:オープンワールドアクション
発売日:2020/10/29
価格(税込):8400円
超絶ハッカーとしての能力を駆使して戦う、人気オープンワールドの3作目だ。
シカゴ、サンフランシスコと来て今回の舞台はロンドン!
「ロンドンの住人すべてを仲間に出来る」
という、果てしないワクワク感に溢れた新システムを引っ提げての登場となるぞ。
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コンセプトがあまりにツボだったので、過去2作を予習してからプレイしたぜ。
面白かったが過去作で出来たことが出来なくなっていたり、
意欲的なコンセプトの弊害もあったりと……。
良くも悪くも「外伝作」って印象だったなぁ。
あらゆる都市システムがネットワークに繋がっている近未来。
舞台となっているロンドンは警察組織が崩壊しており、
軍事企業であるアルビオンによって街の管理をしている。
少しでも反抗的な市民は厳しく取り締まられ、
金をばら撒く犯罪組織は幅を利かせるという最悪の状態に。
ハッカー集団デッドセックはロンドンの自由を取り戻すために戦っていたが、
オープニングで大規模爆破事件の犯人という濡れ衣を着せられ、
構成メンバーのほとんども失ってしまうのだ。
壊滅したデッドセックの立て直し、
ロンドンに巣くう悪党どもの退治、「ゼロデイ」と名乗る黒幕の捜索。
それらすべてをやっていくのが今回の『ウォッチドッグスレギオン』というわけね。
人手がいくらあっても足りないぜ。
オープニングが終わった後に、
様々なキャラから「最初の一人」を選んでゲーム本編が始まる。
キャラの名前やプロフィールはプレイヤーによってランダムの模様。
よし!俺はこのロンドン動物園を生涯出入り禁止処分になっていて、
固有スキルでサブマシンガンを標準装備してる19歳のリアリティ番組スターだ!
属性が多い……!
メタデータを読むと両親が殺される現場を目撃していたり、
売人と知り合いだったりで更にキャラが濃いぜ。
広大な街を歩き回りながら、メインストーリーを進めるも良し、
サブクエストを進めるも良し、キャラを強くするも良し、
そこら辺の車を盗んでドライブするも良しの作り。
最新のゲームなのでファストトラベルなども快適だ。
基本はオーソドックスなオープンワールドのアクションだが、
そこに「スマホ一つで様々なものをハッキング出来る」という要素を加えることで、
独自の面白さを引き出したのがウォッチドッグスシリーズ。
車泥棒は朝飯前。監視カメラを乗っ取って敵の配置を確認。
配電盤をハッキングして吹っ飛ばす。敵の携帯にニセメッセージを送って陽動。
ドローンを操縦して敵情視察。
スパイ映画のようなガジェットを使いこなして敵を翻弄するなど。
ハッキングを上手く立ち回りに繋げていくのが楽しいゲームだ。
まあ、ハッキングで気を引いて、
後ろからぶん殴って気絶させるのが昔から一番使いやすいんだがな!
これがウォッチドッグス流、
ハッキングと殴打を組み合わせたまったく新しい格闘技である。
街を歩く通行人の個人情報は閲覧可能。
プロフィールや固有スキルを確認して、お気に入りのキャラがいたら勧誘。
勧誘ミッションをクリアすれば、工作員として仲間に加わってくれるのだ。
こうやってチームをどんどん大きくしていく。
通行人の個人情報を見るだけなら過去作でも出来たけど、
今回はそこから1歩進んだシステムになっているね。
政治家や警察、軍人から、見た目からして胡散臭い催眠術師、
銅像のフリをしているパフォーマー、ゲーム開発者まで。
とにかく仲間に出来るキャラが多彩で、街を歩いてるだけでめっちゃ楽しい。
火器を隠し持ってる奴とか、バリバリに犯罪してる奴とか、
石を投げるとヤベー奴に当たるレベル!治安の悪さを実感するな!
よし!このアニメーターを仲間にしたぞ!
喰らえ!アニメーターの締め落とし攻撃!
これでアルビオンの連中もイチコロってわけさ。
キャラによって立ち回りが変わってくるため、
潜入する場所に合わせた工作員の選択が重要だ。
制服着用してるキャラだったら気づかれにくいとか。
銃撃戦が多くなりそうだったら、火器を標準で持ってるキャラにするとかね。
仲間キャラは固有スキルで性能差がハッキリしているが、
全キャラ共有の能力であるテクノロジーという要素があり、
こっちを強化していけばチーム全体が強くなっていく。
火器の装備や、強力な攻撃ドローン、一定時間透明になれるガジェットなどあるぞ。
メインストーリーやサブミッションクリアで溜まるポイントを消費して、
好きなものからアンロック可能だ。
本作の素晴らしいところは本当に通行人をすべて仲間に出来るところで、
敵対勢力も「深層プロファイルツール」というガジェットをアンロックすれば仲間に出来る。
そして仲間に出来るのは使える人材だけではなく、
無職で何のスキルも持ってないとか、
それどころかギャンブル中毒で突然死することがあるという、
マイナススキルしか持ってない役立たずもいる。
しかし、こういう人生が終わってる連中でも仲間に出来るし、
仲間キャラ全員が主人公なので、操作している間は主役としてセリフもある。
最後は立派にロンドンを救うことが出来る。
ここがこのゲームの一番素晴らしいところだと思うね。
まあ、突然死んじゃって、何も救えないまま次の工作員に交代することもあるが……!
「使い物にならないキャラも主役に出来る」というのは紛れもなく本作の長所だが、
街を探索していると、有能な人材をスカウトするランダムミッションも発生する。
それはそれとして強いキャラが欲しいって人はこっちをこなせばOKだ。
メタデータを見ると、何気なく勧誘したキャラに意外な過去や趣味があることも。
頭に入れておくと思い入れが深まるぜ。
俺はこの「007に憧れてるただの一般人っぽいけど、実は本当にスパイ」な、
レミー・ウォンをよく使ってた。
仲間に出来る通行人以外にもメインキャラは設定されていて、
基本はAIであるバグリーのサポートを受けながら進行する。
超有能だし、本場の皮肉たっぷりなブリティッシュジョークを言いまくるぜ。
操作するキャラによってバグリーのジョークに乗ったりスルーしたりと、
反応が微妙に異なるのも面白い、
次々に出てくる悪党共もなかなか濃い。
ビジュアルなら凶暴凶悪マフィアババァのメアリー・ケリーがお気に入りだな。
一目で犯罪集団のボスなのが分かる!
小物感たっぷりだったナイジェル・キャスも、
「お前はメタルギアシリーズのボスキャラか!」と言いたくなる幕切れが割と好き。
まあ、イベントが一番強烈だったのはやっぱりスカイ・ラーセンだけどな!
マップの作り込みも申し分なし。さすが最新作と唸る細かさだ。
あちこちに立体看板などがある近未来のロンドンを、観光気分で隅々まで歩き回れるぜ。
フォトモードも搭載しているのでスクショ撮影が捗る。
そんなわけでシリーズお馴染みの要素を引き継ぎつつ、
意欲的な新要素を盛り込んだ内容になっているが、欠点も目立つ。
個々の人物描写や舞台には面白いところがあるものの、
任意加入の仲間キャラが話のメインになるため、どうしてもストーリーが薄味。
仲間も似たようなセリフが多かったりはするし、
ミッションもメイン、サブ共に似たようなものが多いぜ。
シナリオはロンドン市民が一丸となって巨悪に立ち向かうノリかと思いきや、
とあるキャラクター1人の話に収束していく。
そのキャラは好きなんだけど「あれ、そういうゲームだっけ?」って思ったし、
結末も含めてやたらこじんまりした印象を受けてしまった。
前作はドローンがかなり強力だったが、
今回は更に拍車がかかって建築ドローンが強すぎる。
上に乗って移動可能な大型ドローンで、地形も敵配置をほとんど無視できちゃう。
そのせいで、建築ドローンをいつでも呼べるスキルを持ってるキャラが最強だ。
スキル持ってないキャラを使ってみても、
結局「ドローン置き場から建築ドローンが使える」という場所も多いので、大分大味。
カーチェイス中に敵の車両を妨害する手段が減っていたり、
飛んで追っかけてくる監視ドローンの追跡が鬱陶しかったりと、
過去作に比べて出来ることが減っていると感じる場面も度々あった。
お馴染みの回路図を繋げて機械を動かすパズルも健在で、
これあんまり面白くないからもっとテコ入れして欲しいわ!
回路を繋げてる仲間を防衛するイベントがあってそこは好きだったが。
吹き替えは問題ないんだが、
字幕が会話の途中でプチプチと途切れることが多くて気になる……。
ハッキングの面白さは健在だしシステムは意欲的なものの、
良くも悪くも「3ではなくて外伝」な1本だった。
「膨大な通行人から好きなキャラを集めて、自分だけのチームを作れる」
という点にどれだけ魅力を感じられるか。それが評価の分かれ目だね。
キャラのプロフィール見て、色々妄想しながら戦ったり、
作り込まれた街を歩き回るのが好きな人ならハマると思う。
ストーリーは独立していて、1と2やってなくても問題なく入れる内容にはなってるので、
興味があれば是非!ってとこかな。
2021年にオンラインモードが追加される大型アップデートや、
過去作の主人公が登場するDLCの配信も予定されているので、
そっちが来たらまた評価が少し変わりそうだ。