土曜日に『100日間生きたワニ』行ってきたわに!
というわけで感想書いておくぜ!Twitterで爆発的人気になったものの、
その後の商業展開を完全にしくじったマンガの劇場アニメ化だ!
原作は1日1回更新されるなんてことない日常4コマに「死まであと〇〇日」という、
リアルタイムでのカウントダウンを付けることで、
めちゃくちゃ味わい深くする形式が発明だった作品だ。
なので、後からまとめての映画化……というか、
そもそも終わってからの商業展開自体が向いてない作品に思えるんだが、
俺はリアルタイムで楽しんだし、
これまた俺の好きな『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督が
それをどう料理するのか気になって見に行ったのだ。
実際見てみると、 あの原作を再構成した映画化として良くまとまってた。
絶賛するほどではないけどワニをリアルタイムで追ってた人や、
上田慎一郎監督の新作が気になる人は見てもいいと思うな。面白かったよ。
構成としては原作再現パートと、
オリジナルキャラを交えて原作の「その後」を描いたパートの二部構成なんだけど、
こんなに「間」だけで語る?!ってくらい直接的なセリフや派手なシーンを避けてて、
キャラの細かな演技となんてことない会話、
原作の絵柄をそのまま動かしつつ、密度を上げた背景で語る作りが面白かった。
本当にどうでもいいようなダラッとした会話の繰り返しで、
キャラの内面を静かに積み上げていく。
アニメではなく邦画な作りを目指したそうで、これはよほど画に自信ないとできない。
ここら辺はスタッフとして名を連ねているレジェンドアニメーター湖川友謙の力か。
「ダラッとした会話」や「ぎこちない会話」をちゃんと映像に出来てるのも、
豪華キャストだからこそと言える。
原作の8日目と14日目をまとめて流れを作ってるところや
34日目の会話内容を
「先輩はロッカールームで話していて、ドアの窓からそれを聞くワニくんの影だけ見える」
にして、ワニくんの動揺を最小限の動きで表現してるのは好きなところ。
原作の「ワニのヤツ能天気なこと言ってるけどお前〇〇日後に死ぬんだが~?!」
的な笑いはほぼ無くなってるが、
ここはリアルタイムのカウントダウンじゃないと面白さが薄いから
1本の映画として統一感出すためのアレンジとしては良いと思う。
元がシンプルな線の日常マンガなのでそりゃ動きは少ないけど、
原作そのままの絵柄で奥行きを出した画作りは間違いなく拘ってた。
ここら辺は作画マニアの感想を聞きたいところだな。
スタッフロールのフォントまで見たら、
決して手を抜いて作られた作品じゃないことが分かる。
「線は少ないけど背景の構図とか凝ってるな……」と思ってたら
映画館の『ドクターアニマル2』で
めちゃくちゃカッコいい背景が出てきて「カッケェ!」ってなった。
音響も凝ってて、靴と裸足の足音がすぐ聞き分けられるのも細かい。
ただ、裸足で歩いてる奴がやたら多いから、
「なんでこいつは裸足なんだ?」という疑問も湧いてくる。
裸足で歩いてる奴多いし、そもそもワニくんが半裸なのも気になってくる!
気になった点と言えば劇中の対戦ゲーム描写が、
コントローラーの形状含めていい加減過ぎて凄かった。
やっぱりこういう時は『鉄拳』を使って貰わないとな!(特撮オタク視点)
淡々とした日常を描いた原作の空気感を最後まで表現してるので、
ここを「間の取り方が良い」と感じるか
「間が過剰過ぎて退屈」と感じるかで好き嫌いハッキリ分かれるだろうし、
オリキャラであるカエルのウザキャラっぷりも好み分かれる点。
演じる山田裕貴が「こういう奴、いる!」と思わず言いたくなる、
ウザキャラ・オブ・ザイヤー受賞級の演技で既存キャラたちをひっかきまわす!
これはキツいぜ!
でも俺はカエルはこのキャラだからこそだと思うし、
ネズミくんとのやり取りも好きだったので十分にアリだなぁ。
ここは全体の尺が短いせいもあるか。
もっと長い映画で出番多かったら印象悪くなっていたかも。
徹底して「多くを語らない」演出を貫いていて、
日常生活の中で「友人が死んだ話」なんてよほどの理由が無ければしないでしょ?
とでも言いたげな構成だからこそ、「喪失」を描いた作品としてよくまとまっていたし、
最後に流れる題名も歌詞もストレートないきものがかりの『TSUZUKU』が映える。
こうやって書いてると、
俺、原作の『100日後に死んだワニ』のこと結構好きだったんだなぁ……。
などとしみじみ思ってしまった。見に行って良かったよ。