探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.4「白鷺に紅の羽」 - G-MODEアーカイブス
『探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.4「白鷺に紅の羽」』のレビュー行くぜ!
パブリッシャー:ジー・モード
機種:Switch
ジャンル:アドベンチャー
発売日:2021/06/24
価格(税込):500円
ガラケーの名作を広く復刻する『G-MODEアーカイブス+』の1本だ。
2005年に元気モバイルから配信されていたタイトルで、
ガラケー時代に好評を博した推理アドベンチャー、
『探偵・癸生川凌介事件譚』シリーズの4作目となる。
探偵助手・白鷺洲伊綱の知られざる過去を描いた本編の前日譚。
過去作のレビューは以下を参照。
□舞台は悪夢の遊園地!広がるシリーズ3作目!『G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.3「死者の楽園」』レビュー!【Switch】 - 絶対SIMPLE主義
□海底の密室に挑め!味わい深まる2作目!『G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.2「海楼館殺人事件」』レビュー!【Switch】 - 絶対SIMPLE主義
□幻のシリーズ1作目が復刻!『G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1「仮面幻想殺人事件」 』レビュー!【Switch】 - 絶対SIMPLE主義
このシリーズ、ここまでは独立したエピソードなのでどこからでも大丈夫!
という作りなんだけど、今回の「白鷺に紅の羽」に関しては
「お馴染みのあのキャラにこんな過去が!」という構成になっている。
前日譚とはいえ、他の作品を遊んでから触れて欲しいところだ。
短編ながら複雑な人間関係と、プレイヤーの想像に委ねた物語の余韻、
見返すほどに味わい深いオープニングと、密度が凄い!
俺は今回が初プレイだったんだが、
移植が決まった時にシリーズファンが歓喜していたのも納得の1本だったぜ。
物語はとある山奥の村で、怪我をしていた記憶喪失の主人公が、
「大鳳院伊綱(タイホウインイヅナ)」という女子高校生に助けられるところが起点だ。
そこから村で渦巻く遺産相続問題に巻き込まれ、様々な謎に関わっていく。
こう書くと『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』みたいなあらすじだが、
実際遊ぶと受ける印象は全然違う内容になっているぞ。
でも駅員さんと会話して情報収集とか少し影響は感じる!
今回もオーソドックスなコマンド式のADVで一本道。
あちこち歩き回って情報を集め、フラグを立てることでストーリーが進行する。
特に難しいところも無い形式だ。
物語が現在から始まり、法事で故郷に向かう伊綱さんの衝撃の告白、
謎の人物との会話からオープニングに入り、雰囲気たっぷりのメインテーマと共に
過去に遡っていく構成でもう引き込まれた。
「これは気合入ってるな……!」と身構えたぜ!
記憶喪失の主人公の目を通して、
山奥でありながら様々な施設がある異質な百白村を掘り下げ、
絶対ワケ有りな人たちと会話していくうちに、
歪みと陰謀がじわじわと滲み出し、凄惨な事件へと繋がっていく。
短編ながら登場人物が多い上に関係や行動が複雑で、混乱する場面もあり、
さすがにちょっと詰め込み過ぎではと思うところもあったが、
序盤から連なる伏線を一気に回収する展開と、
あえて重要な部分をプレイヤーの解釈に委ねた作りが絶妙。
今回はプレイヤーが物語の構造を推理するゲームなのだった。
クリアまでは2時間くらい。
癸生川シリーズは5作目までプレイ済みだけど、
物語の密度や見せ方に関しては頭一つ抜けてた。
伊綱さんの決意に至るまでの流れや、あの人物の活躍っぷりなどお見事。
遊び終えた後にもう1度最初からやり直して、
「なるほど……」となった勢いでもう1周したくなるゲームだったね。
みんなも行こう!百白村!