絶対SIMPLE主義

Switch/PS4のダウンロード専用ソフトを中心に全方位でゲーム紹介するブログ。SIMPLEシリーズも応援中。

VRで挑む遥か未来の難事件!右手で謎に触れ、左手で過去に飛べ!『ディスクロニア: CA Episode I』レビュー!【Meta Quest 2】

 

 

「DYSCHRONIA: Chronos Alternate(ディスクロニア クロノスオルタネイト)」 | Oculusストア

 

DYSCHRONIA: Chronos Alternate(ディスクロニア クロノスオルタネイト)公式サイト

 

『ディスクロニア: CA エピソード1』のレビュー行くぜ!

 


パブリッシャー:MyDearest & IzanagiGames

機種:Meta Quest 2

ジャンル:VRノンストップ捜査アクション

発売日:2022/9/23

価格(税込):2208円


 

海上都市で起きた未解決事件に挑むVR捜査アクションゲームだ。

『東京クロノス』『ALTDEUS: Beyond Chronos』を手掛けたMyDearestの最新作。

本作はepisode1で、episode2は2022年冬、

episode3は2023年春以降に予定されているぞ。

 

無人の渋谷で謎と青春が踊る!圧巻のVRミステリー『東京クロノス』レビュー!【PSVR/PC】 - 絶対SIMPLE主義

 

血と涙が沸騰する。最高の百合SFにして最高のVRエンタメ!『ALTDEUS: Beyond Chronos(アルトデウス: ビヨンドクロノス)』レビュー!【PSVR/PC】 - 絶対SIMPLE主義

 

最高だった過去作はアニメの世界を

そのままVRで体感できるビジュアルノベルって作りだったが、

今回は色々な場所を調査したり、事件解決に繋がる証拠品を探したり、

集めた証拠を元に謎解きをしたりと、

VRを使った本格的な推理ゲームを目指した作りになっているぞ。

 

VRタイトルだが対応機種はMeta Quest 2のみ。

2023年春以降に、全エピソードを収録した非VRタイトルである

Nintendo Switch版が予定されている。

クオリティを高めるためにMeta Quest 2に絞ったということらしいが、

Switch版を同時発表してるのはかなりトリッキーな売り方だ。

 

感想としては面白かった!

VRだからこその没入感は相変わらず凄いし、

ジャンルが変わったことでゲームとしての幅もグッと広がっている。

なるほどMyDearestの最新作だ!

半面、ビジュアルノベルから探索ゲームになったことで

気になる点も増えてしまってはいたな。

 

 

今回はVRで3D空間を動き回るゲームということで、

酔わない様にかなり手厚いオプションが用意されている。

 

俺はスムーズ移動、トネリング中、方向転換フェード有効、

方向転換スタイルスナップ、スナップ回転速度30でプレイした。

VRゲームは前からやってるけど

「方向展開をスムーズ」にするとちょっときつかったのでね。

 

 

舞台となるのは海上都市「アストラム・クローズ」。

人類が一度文明を失ってから200年後という遥か未来で、

人々が安全に暮らせるように作られた場所だ。

住人全員が夢という形で意識を共有しているため、犯罪発生率は0.001%。

ディストピア的だが平和な場所になっている。

 

しかしそこで30年ぶりの犯罪が、

しかも都市創始者が殺されるという大事件が起こってしまう。

特別監察官に着任したばかりの主人公「ハル」は、

都市からの依頼で「ありえない殺人事件」の解決に挑む!

というストーリーだ。

 

 

主人公の友人であるアッシュが

街の安全っぷりを説明した後に殺人事件が起こるので綺麗なフラグ回収。

30年ぶりの犯罪が食い逃げとかショボい事件じゃなくて良かった。

良くねーよ!人が死んでんだぞ!

 

 

本作で目を見張るのは「拡張夢」の表現。

生体ナノマシンを打ち込まれた「アストラム・クローズ」の住人達が

夢を共有している仮想空間で、

ここで住人の監視とメンタルケアの両方が行われている。

この「現実」と「拡張夢」の行き来がシステムとして取り入れられていて、

ボタンを押せば切り替え可能。

人気のない殺風景な現実の中央広場でボタンを押すと……。

 

 

建物はそのままで、人の意識が光り輝く魚群で表現された拡張夢へ!

発売前からウリにしていた部分だが実際スゴイ。

深海を思わせる深い空の下を、

美しい魚群が滑らかに泳ぎ回る色彩の暴力に圧倒されるぜ。

煌びやかな装飾と演出で欺瞞を覆い隠し、

個々人の夢と自由を引き換えに得られた人類最後の揺り籠。圧巻だ。

 

 

OPムービーも見事。

主題歌である星街すいせいの『7days』に乗せて、

シルエットで表現された登場人物や事件、アクション、思わせぶりな演出を、

一気に見せるスピード感とカッコ良さと画の奥行きにクラクラ。

クリア後にいつでも見れるようになるので、

改めて見返すと更に味わい深くなる。まず主題歌が名曲過ぎるぜ!

 

過去2作のOPは登場キャラが出てくる平面のムービーから始まって、

途中から立体的なムービーに切り替わるという構成だったが、

今回は最初からすべてシルエットの登場人物と

立体的なムービーで統一されている。

ここでも方向性の違いを感じるところ。

前から思ってるがMyDearest作品のOPムービーは

すべてのVR機器にプリインストールしとくべき。

 

 

今回もLAM氏によるキャラデザと

豪華声優陣による存在感ある登場人物たちがズラリだ。

 

 

Episode Iの範囲だとどのキャラも謎だらけで何とも言えないが……。

 

 

一番印象的だったのはやはりナビゲーターロボであるリリィ!

直球のあざといマスコットっぷり炸裂でめっちゃかわいい。

会話シーンでいちいち細かい動きしてるし、なでなでも出来る。

常に一緒に行動するから一番思い入れ強くなるわ。

 

主人公のハルは過去の記憶を失っていて色々不安定だし、

人間は味方も敵も胡散臭い連中ばかり。

そんな中で場を明るくしてグイグイ引っ張ってくれるのが心強いね。

 

 

というか職務上はパートナーであるアッシュが

割とフラフラしててあんまり会えねぇ!

もっとこの3人でワチャワチャしながら捜査したかったな。

 

 

関係者の1人である「あやしいおじさん」ことケイスもお気に入り。

都市の外からやってきた旅人で、紅茶を愛する趣味人。片手は義手になっている。

CV諏訪部順一の飄々としたイケオジが嫌いな人いねぇよなぁ!?

というパワーに溢れたあやしいおじさんである。

 

 

主人公であるハルは3年前に記憶を失っているし、

都市で過去にあった事件についてや、

同居しているマイアとノエルという2人の家族についてなど。

分からないことだらけで始まる。

これを演出やロマンティックな回想シーンで引っ張りながら少しずつ埋めていき

捜査の過程でハルの失われた過去に関しても掘り下げていく。

説明不足でやや取っつきづらく感じたところもあるが、

遊んでいて続きが気になる構成になってるね。

 

会話シーンでの瞳や体の演技の細かさもVRゲームとして楽しいところ。

銃を向けられてる状態での会話シーンで銃口がブレた時に

「おっ、こいつ動揺したな」って感覚で理解できるところなんかがいい。

 

 

ゲームは方向スティックで3D空間を動き回り、

探索できる場所を回って証拠品を集めて、フラグを立ててシナリオを進めていく。

アドベンチャーゲームとしては古典的な作りだが、

自分の視点と手で色々調べられる臨場感はやはりVRゲームならでは。

 

 

証拠品の杖をブンブン振り回したりも出来ちゃう。

次に行く場所はマーカーが出るし、リリィに話しかければヒントも貰える。

画面内をスキャンして調べられる場所を表示する機能もあるので、そこは親切設計。

 

 

そして本作最大の特徴はハルが「量子干渉能力者」である点だ。

証拠品に残された記憶を読み取って過去に飛び、

持ち主の視点で過去の出来事を見ることが出来る。

通常操作では手に入らない重要な情報を手に入れられるのだ。

 

ここまでならよくあるサイコメトリー能力だが、

更に「過去を書き換えて現在を変える」事すら可能になっている。

犯罪の捜査を絶対任せちゃいけない主人公だ!

まあ管理側としては何でもいいから犯人を見つけて

街を平穏に出来ればいいってことだろうね。

 

とはいえ、科学的な証拠以外は認めないと法律で決まっているので、

「過去を見たけどこいつは犯人じゃありません!」は通らない。

過去を書き換えられるのは特定の物とタイミングだけと縛りも多い。

過去改変も楽じゃないぜ!

 

やることは過去に飛んでロックされたPCの認証を弄って、

現代に戻ってアクセスできるようにするとかなんだが、

「過去を書き換えられるタイミング」の基準が提示されないので、

ここはちょっとご都合感あるかな。今後説明はあるのだろうか。

 

 

過去に飛べる証拠品は見た目で分かるようになっていて、

左手で触れてトリガーを引き続けることで能力が発動する。

この時、左手の装置に時計と歯車を組み合わせたようなエフェクトが浮かび上がり、

音を立ててブン回りながら過去に飛ぶ!という演出がたまらない!

これに限らず本作はUIのスタイリッシュさで

「なりきり感」を高めてくるのが素晴らしい。

 

 

フローチャート機能で一度見たシーンに戻ったり、

分岐のあるところまで戻る時も、

幻想的な謎空間で舵輪のついたデカい装置をグルグル回す作りなのが凝ってる。

単純にフローチャートとして分かりやすいのも良いね。

『ALTDEUS: Beyond Chronos』の星座フローチャート、

かっこいいけど見辛かったから……。

 

 

探索パートでは右手で証拠を集め、

左手で過去を読みながら進めていくことになるが、

やることは部屋を探し回って集めたピースをチェス盤に置くパズルとか、

光を反射させて装置のロックを解くとか、

いかにも脱出ゲームでよくある謎解きばかりなので、そこはやや肩透かし。

難易度も低く、部屋内をグルッと見回せば答えがそのまま書いてある。

 

まあ分かりやすさ優先として悪い作りではないし、

部屋全体を使った大仕掛けとか、蓄音機をプレイヤーの手でグルグル回させるとか、

謎解きはありがちでも、

演出やギミックでハッタリを利かせて面白くしてるところは非常に良かった。

過去に飛んだ時に、指輪や義手といった手の造形の違いで

「別の人間の視点」ってのを分かりやすくしてるのも好きなところ。

 

 

探索パートではサブクエストとして、

殺人事件で動揺してる住人のメンタルケアもこなす必要がある。

ただ、内容は街を歩き回って赤く光ってる住人を探して話しかけ、

空中に浮いたパネルをお手本通りに叩くミニゲームをこなす単調なもの。

ゲーム進行でいる場所が変わるし、

これをしっかりこなさないと世界観を掘り下げるアーカイブが閲覧が出来ないので、

面倒さの方が強かったね。

 

探索パートでは追跡者から逃げるステルスパートが挟まることもある。

物を投げて銃を持った追跡者の気を逸らし、うまく脱出する内容だ。

しかしダッシュ出来ないのでモタモタした動きになりがちなのと、

失敗した時に直前からリトライできなかったりでこれもストレス溜まったぜ。

 

 

そうやって探索パートを進めていくと、

ラストで証拠を元に真相を解明する解決パートが始まる。

推理を展開して真犯人を見つけ出す。

この手の推理ゲームで一番盛り上がるところだが、

ホログラムで表現された事件現場のジオラマを、

プレイヤーが両手で掴んでグッと広げると視界いっぱいに巨大化し、

そのままジオラマが実体化して

現場検証に移行する導入でまずめちゃくちゃシビれた。

 

正しい推理で都市を管理するAIを納得させられるか?

という得点制のルールになっていて、

最初に提示された得点以上を獲得すればクリアとなる。

 

犯人の視点で現場を歩き回りながら、

「どの出口から逃げたのか?」

「この部屋の何を使って殺害を実行したのか?」

を一つ一つ説明していき、選択を間違えたり、

「犯人なら逃げる時にこの行動をしているはずだ」

みたいなのを見落とすと減点だ。

 

基本的にプレイヤーの行動が正解か間違いかはハッキリ表示されないが、

周りのキャラが「死体の位置こうだっけ?」とか、

「証拠とも一致している」とか言ってくれるので、そこで判断できる。

 

最終結果でクリア出来なかった時のやり直しが面倒なのは気になった点だが、

「犯人視点」で複数の部屋を移動して、

行動を追いながら推理していくのは非常に楽しいし、

この形式だからこそ事件の流れが頭に入ってきやすかった。

VR使った推理ゲームならではの魅力に溢れてるね。良かったぜ。

 

 

クリアまでは6~7時間。

Episode Iということで話としてはまだまだ導入だし、

細かい読み込みや少しテンポ悪いところは気になったが、

それでも満足度はお値段以上だった!

推理アドベンチャーとしてはオーソドックスではあるものの、

VRであることを活かした画作りや

盛り沢山のギミックでこちらを引き込んでくるし、

最初の事件は一応解決したものの、

めちゃくちゃ気になるところで次回に引くから待ち切れねぇよ!

 

現状だとMeta Quest 2のみなのでかなり人を選んでしまうが、

これは是非体験して欲しいね。続きは2023年冬!期待して待つ!

 

しかし本作、VRゲームとしては非常に良かったものの、

「これNintendo Switchにそのまま移植して面白くなるかな……?」

というのが正直な感想なのでどう落とし込んでくるかも気になるなぁ。

Switch版はまだ先だが、出たら買うのでそっちも頑張って欲しいぜ。