『キラキラミラ 8人の遺伝子異常者と血の幽霊』のレビュー行くぜ!
パブリッシャー:令城鈴(Reijo)
機種:PC
ジャンル:ビジュアルノベル
発売日:2022/10/27
価格(税込):1480~1540円
個人クリエイターである令城鈴氏が手掛けたビジュアルノベル。
内容は特殊能力を持った学生が集まる学校を舞台にしたミステリーだ。
人に憑りつき人を殺す幽霊が、能力者たちに憑りついて殺人事件を起こす。
幽霊に憑りつかれた犯人は誰か?
グラフィックはかなり荒削りに見えるが、
実際遊ぶとシナリオと演出力でこちらをグイグイ引き込んできて
最後まで飽きさせない。めっちゃ面白かったぜ!
舞台となるのは、遺伝子異常で特殊能力を発現する子供が定期的に現れる国。
主人公のミシェルは物覚えの悪い落ちこぼれだったが、
遺伝子異常を発症し、完全記憶能力である「メモライズ」を身に着ける。
特殊能力持ちの子供はすべて同じ学校に通う決まりがあるため、
ミシェルもそこに入学することになる。
新しい学校で新しい仲間たちと出会い、
ここからミシェルの新生活が始まるかと思いきや、そうは問屋が卸さない。
学校には集まった生徒以外の人間が誰もおらず、
入り口も閉鎖されて閉じ込められてしまう。
そして流れ出す「ミラ」という幽霊によるアナウンス。
8人の誰かに憑りつき、その人物に成り代わって殺人を行うという宣言だ。
困惑していると本当に殺人事件が発生。
集まった生徒たちは殺人者の特定と、
脱出方法探しの両方を行なわなければならなくなる。
特殊能力を持った生徒たちが集まっているので、犯人捜しは色々と厄介。
殺人におあつらえ向き過ぎる能力を持ってて怪しい奴から、
能力の使い道が狭すぎて逆に怪しい奴。
1人だけ能力を持ってなくて怪しい奴。
能力を教えてくれなくて怪しい奴。みんな怪しいぜ!
最初の自己紹介パートで主人公であるミシェルが、
手から猛毒を出すチヅルと握手を交わす優しさを見せたり。
残留思念を読める能力を持ったアマノくんが、
この学校の道具からは思念がまったく読めなくておかしい、
と不気味さを強調してきたり。導入から展開がうまいなぁと感じさせる。
オネエで変身能力持ってるサムエルとか、
手から電気出せるメイドでメイド精神が染みついてるエリザベータとか。
キャラもみんな個性的なので会話が面白い。
イラストはかなり荒いタッチだが、
実際に遊ぶと鬼気迫る表情やホラー表現、構図などが上手いし、
枚数がめちゃくちゃ多いから引き込まれる。
RPGっぽい移動パートで進む箇所もあるが、
重要シーンはずっと一枚絵が続くので、
マンガを読んでいるような感覚で遊べたね。
「ここをチラ見せしてくるの上手い!最悪な意味で!」
「この表情だけですべてが伝わってくるな……」
と、節々で唸らせられたので本当に演出力が高い。
ゲーム自体は一本道の作りで、
マーカーを追いながら事件現場や怪しい場所を調べ、
ある程度証拠や証言が集まったら推理パートへ移行。
会話の流れに沿って正しい証拠品を選択するオーソドックスな作りだ。
推理周りでもシナリオの組み立て方が上手くて、
あの能力者ならこれ出来るんじゃない?
こういう設定ならこういうことになるんじゃないの?
と、プレイヤーが疑問に思うところをしっかり言及した上で、
事件が二転三転していくので目が離せなくなる。
重要な部分でかなりご都合主義な展開があったのは気になったが、
全体的にはよく出来たシナリオでオチも綺麗だったね。
気になったのは任意セーブが無くオートセーブのみという仕様だ。
オートセーブされるタイミングがまちまちなので、途中で止めづらい。
特に最終話は長いのに全然オートセーブされないので、一気に遊ばないとダメ。
一回休憩して再開したら、かなり戻されて「こっから!?」ってなったぜ……。
クリアまで5~6時間ほど。
能力者だらけの学校で殺人事件を調査する……という設定だけ聞くと
『ダンガンロンパ』フォロワーっぽいけどオリジナリティあるし、
大量のイラストにスピード感あるシナリオ展開、演出からは、
作り手の熱量がしっかりと伝わってくる。
絵は荒いけど面白いwebマンガを読み始めてドハマリするような感覚で、
一気に最後まで遊べたぜ。能力系ミステリーとしてオススメしたいッ!