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【レビュー】ライトにして王道の推理ADV!「過去視」で30年前の事件を解決せよ!『ミステリーの歩き方』【Switch】

 

ミステリーの歩き方| Nintendo Switch

 

『ミステリーの歩き方』のレビュー行くぜ!

 


パブリッシャー:イマジニア

機種:Switch

ジャンル:ミステリーアドベンチャー

発売日:2024/12/12

価格:5980


 

イマジニアとトイボックスが送る完全新作の推理アドベンチャーだ。「過去視」の力を持つ主人公と、その仲間たちが未解決事件に挑む!『Fit Boxing』のヒットで勢いに乗るイマジニアの社長肝入りの企画で、三部作の一作目という風呂敷の広げっぷり。本作への思いはインタビューで語られている。

 

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シナリオは『ワールドエンドシンドローム』などを手掛けた金沢十三男 氏が担当しているぞ。ややクセは強いが新作として丁寧な仕上がりで、素直に続編が楽しみな内容になっていたぜ。

 

 

主人公たちは大学のミステリー研究会のメンバー。

顧問である皆戸彩芽准教授から「30年前の未解決事件を調べろ」と課題を出され、避暑地で有名な鳴美沢へと向かう。主人公が持つ特殊能力「過去視」によって眠っていた真実が次々に明らかになり、その過程でミス研メンバーの過去に関しても掘り下げられる。

三部作の一作目なので持ち越しの伏線は多いが、今回の「30年前の未解決事件」についてはしっかりとケリが付く構成だ。

 

ゲーム自体はオーソドックスな一本道のノベルゲームで、たまに軽い画面内を調べるパートや、正しい証拠を指摘する推理パートなどが挟まる。クリア評価があるので推理パートはセーブ&ロードして常に完璧を目指そう!

 

 

シルエットで表現された事件説明ムービーなども挿入されて臨場感ある。グリグリ動くので現場の位置関係や、被害者の動きが分かりやすい映像になっているぞ。

 

事件は画家である内田水龍が山鳴荘という館で殺害され、原因がハッキリしないまま被疑者死亡で幕を下ろしている。所謂「館モノ」で、複雑な人間関係や確執などが山盛り。関係者への調査によって点と点が繋がり、真相が浮かび上がる王道的なシナリオ。

 

 

背景美術が凝っているから、冒頭の電車の時点で引き込まれるし、避暑地の雰囲気も良く出てる。

 

 

基本はミステリー研究会のドタバタ会話で進行するライトなノリ。ボケとツッコミの掛け合いでテンポ良く進行する。立ち絵での会話シーンでも画面に角度を付けたり、キャラの立ち位置で奥行きを出したりしており、画が単調にならない工夫を感じる。

 

 

ミス研メンバーはクセモノ揃いで、態度だけは名探偵で推理はさっぱりな東野陽炎に、女好きキャラでお調子者の井沢幸太郎などなど。

 

 

メインヒロインで主人公をサポートする南条アリスは、「ミステリーサラブレッド」とかそこそこ恥ずかしい異名を持つ。洞察力はあるが他のミス研メンバーに振り回されてよくイライラしてる。たまに分かりやすくあざといところ見せたり、容赦なく権力を振るったりするところ好き。

 

 

ミス研メンバー以外でもちょいちょい時代掛かった言い回しをする内田渚に、主人公の妹で勝手に付いてきた赤沢魅月など。明るいキャラが多くて賑やかだ。

 

公式サイトに置かれてる内田渚のサンプルボイス、1個目が「かたじけねぇ!」で2個目が「よろしく申す!」でどういうチョイスだよ可愛いな。

 

 

主人公は事件調査中に紫色のオーラが見える時があり、これに触れると「過去視」が発動。過去パートへ飛び、誰かの視点で情報を集めることになる。

 

 

過去パートは「過去」なのでレトロ風の表現。見せ方は面白いが……雰囲気が全然レトロっぽくねぇ!これを「古き良きドット絵(ストアページに書いてある)」と言って出してくるのは時間警察案件だぞ!

 

 

過去視のことは秘密にしているため、過去で得た情報ということは伏せ、それとなく仲間たちに伝える流れになってる。

推理パートではそれを踏まえて選択肢で会話を誘導する必要があったり、推理が鋭すぎて怪しまれたりする展開があったりするのが独自の味。

 

 

ただ、過去パートは総当たりのコマンド式ADVに、制限時間を強引にくっ付けただけ。時間切れになっても最初からやり直すだけなので、ゲームとしてかなり安直な作りに感じてしまった。やり直しが手間なだけだ。

 

推理パートも全体的にかなり簡単かつ、大詰めで「そこはプレイヤーにやらせて欲しかった」と思う箇所もあった。手軽ではあるが物足りなさもあったね。

 

 

クリアまでは8~10時間ほど。

ミステリー作品としてはシステム、シナリオ共に丁寧な作りで、フルボイスで堪能できる声優陣の演技も文句無し。

ゲーム1本掛けて30年前の事件を追う構成なので展開がややゆったりしているが、徐々に真相が明らかになっていく流れはしっかりしてるし、各話事にOP、ED、次回予告を付けて1クールのアニメっぽい構成にしてるのも上手くハマってる。

 

登場キャラのノリが「30年前とはいえ、殺人事件の調査してるのにその態度は失礼じゃね?」と感じる描写もあったが、ゲームが進む毎に愛嬌が見えてくるキャラも多く、個人的にはどんどん楽しくなっていった。

 

三部作の一作目ということで、メインキャラの過去に関する伏線や謎はほぼ持ち越しになっているが、最初に書いた通り「30年前の殺人事件」に関してはしっかり解決してるし、逆に「三部作の一作目でもうそこに触れるのか!」と思う箇所もある。良い意味で続きが気になる構成。

完全新作のライトな推理アドベンチャーゲーム一発目としてはまずまずの1本だったぞ。

 

問題は続編がいつ出るのかまったく分からないところだな!遊んだ感じだと、続編まだ全然出来てない印象になる……!とりあえず2025年の1月のアップデートで探索パートが追加されるので、そこに期待しておこう。