熱血硬派くにおくん外伝 イカすぜ!小林さん 公式サイト | ARC SYSTEM WORKS
9回クリアしたので、
『熱血硬派くにおくん外伝 イカすぜ!小林さん』のレビュー行くぜ!
全然イカしてない、ただヤバいだけのゲームだったな!
メーカー:アークシステムワークス
機種:PS4/Switch/Xbox One/PC
ジャンル:SF格闘アクション
発売日:2019/11/7
価格(税込):1500円
『熱血硬派くにおくん』シリーズに登場する、
マッハチョップの「小林」を主人公にしたスピンオフ作品だ。
『ダウンタウン熱血物語』では工場のボスとして登場した冷峰四天王の1人ね。
開発協力にプロデューサーやディレクターとして、
数々のテクノスジャパン作品に関わってきた岸本良久氏と、
『ダウンタウン熱血物語』の原作者であるもけけ関本氏のタッグを迎え、
グラフィックも一新したシリーズ初のSFアクションとなっている。
発売前のPVが大分不安な感じだったので期待値低めで買ってみたんだが、
予想を下回る完成度の低さ……。
構成してる要素がガッタガタの衝突事故を起こしている悲惨な内容で、
『熱血硬派くにおくん外伝』というより『ダウンタウン熱血交通事故』だったよ!
物語は小林さんが悪の未来人が率いる謎の組織と戦うために、
くにおくんに協力を仰ぐところからスタート。
協力者である未来から来た謎の少年である溝口くんや、
暗躍する謎の人物、謎の組織の敵幹部、謎の黒幕など、
複雑な人間関係と陰謀が絡み合う死闘が幕を開ける!
ちなみに小林さんと溝口くんがどういう経緯で出会って
未来人との戦いが始まったのか、
なんでくにおくんを呼んだのかはまったくわからないが、
そんなことがどうでも良くなるくらいストーリーはヤバいぞ!
最初に主人公の名前を入力するシーンがあるのだが、
なんとこの主人公は「敵にさらわれる人質」として登場する!斬新!
性別に加えて、小林さんに対する気持ちを友情か愛情かで選べる。
男で小林さんに愛情を抱いてる設定にも出来るし、エンディングも変化だ。
2人プレイが基本のベルトスクロールアクション。
ボタン連打で出るコンボ攻撃、
ボタン長押しで溜めるほど強くなるスペシャルアタック、
特定の敵を倒すと溜まるゲージを消費して使う装備アイテムなどを駆使して戦う。
ジャンプやサイドステップもあるし、
相手をコンボで吹っ飛ばした時にジャンプボタンを押すと、
自動で高速追尾して更に攻撃を加える追い打ちもある。
常に仲間キャラと2人で進む構成になっており、操作キャラはボタン一つで変更可能。
小林さんは絶対に入れないといけないが、
自分が溝口くんを使ってCPUに小林さんを使わせることも出来る。
溝口くんはくにおくんと入れ替えることも出来るし、
ゲームが進めばダブルドラゴン兄弟ことりゅういち・りゅうじも登場だ。
装備アイテムで召喚する扱いだが、一時的に4人で戦う事になる。
自由に移動できるフィールドには様々な敵が登場する。
色違いの戦闘員が5種類存在しており、30体倒すと対応したボスが登場。
すべてのボスを倒すとラスボス戦が始まり、倒せばゲームクリアだ。
そんな内容だが、どこから突っ込めばいいのか分からないくらいガタガタ。
フィールドはマップは見れないし無駄に広いし、
お店や話しかけられる通行人などは何も無いというスカスカな構造。
とにかくザコ戦闘員を規定数倒すために走り回るだけのゲーム内容。
出現場所は決まっているので、
「戦闘員を倒す→画面を切り替えて戻る→戦闘員が復活しているので倒す」
をボスが出るまでやるだけ。
また、これまでのくにおくんシリーズであった武器での攻撃や、
倒れた敵への追い打ちが存在しないため、アクションが単調。
そのための吹っ飛ばしからのジャンプ追い打ちで、
最初はスピード感あって爽快なんだけど、
同じようなザコ敵を同じようなアクションで倒し続けるだけなのですぐ飽きる……。
相手の攻撃に合わせて攻撃ボタンを押すとガードになるとか、
HPが0になってもタイミング良く受け身を取れば死なないなど、
テクニカルな要素もあるんだが活用できる場所がほとんどない。
ボス戦もワープ攻撃とか、予備動作の分かりにくい攻撃とか、
やたら攻撃範囲が広くて当たるとお手玉で多段ヒットするビーム攻撃とか、
遊んでてつまらない攻撃ばかり。
通常コンボの攻撃力が低くて1周目だと倒すのに時間が掛かるせいもあり、
結局、どうやっても
「コンボ攻撃でボスをダウンさせ、起き上がりに溜め攻撃を重ねる」
以外の攻略にならないから本当にだるい。
たまにフライングマシンというUFOに乗って敵と戦うイベントが発生するが、
退屈な上にクリアしても何もいいことが無いのでテンポを悪くしてるだけ。
アクションゲームで乗り物を使って戦うシーンってワクワクするはずなんだが、
本作はため息しか出ない。
ちなみに通常のザコ敵としてフライングマシンが登場することもあり、
ジャンプで飛び乗れば奪取可能。
そのままボス戦まで行けばビームでボスを一方的にハメ殺せます!
一新されて等身が高くなったキャラのドットもイマイチ。
特にくにおくんのカクカクした枚数の少ないマッハキックのカッコ悪さと来たら……。
シリーズで多用されてきたファミコン風ドットから脱却を図っているのは良いし、
技発動時のポーズなどカッコいいところもあるんだが、全体的に安っぽい。
あえてレトロ風にしてるっぽいメカ系の敵もダサいだけだわ。
ボス撃破やクリアボーナスで手に入る☆を消費することでキャラを強化したり、
新しい装備アイテムを入手可能で、これは次の周回プレイにも引き継がれる。
1周が短く、繰り返しプレイすることでキャラが強くなっていく仕様だ。
クリアしなくても、タイトル画面で「はじめから」を選択すれば
現在の成長を引き継いだまま最初からやり直せるので、
ボスが強すぎると感じたらこれを活用しよう。
しかし、この成長バランスもあまりに雑。
過去のくにおくんシリーズだと、育成することで技が増えたり出来たが、
本作はそういう要素は無くステータスが上がるだけ。
しかも上がり幅が極端過ぎるので、
ちょっと強化しただけで溜め攻撃でボスを瞬殺できるようになるし、
ちょっと装備アイテムを買うだけで体力をバンバン回復できるようになる。
そして今回は装備アイテムで一定時間呼べるダブルドラゴン兄弟が、
何故かファイガとブリザガを使い、それがザコ戦で超絶強いという仕様。
ほぼ全画面攻撃に近いので、だるい戦闘員退治がすぐ終わる。
つまり、ザコ戦はファイガとブリザガを連発して処理、
ボスは溜め攻撃で瞬殺して終了。すぐにこれを繰り返すだけのゲームになるのだ。
慣れると1回クリアに30分も掛からなくなるボリュームなので、
どんどん周回してマルチエンディングを見て欲しい!という作りになっているんだが、
アクションの幅が狭すぎてつまらない、ゲーム展開が単調、
キャラを育てても技が増えない、ちょっと育てるだけでボス瞬殺で、
周回する楽しさ以前の問題。3時間もやれば完全にゲームの底が見えるバランス。
キャラをしっかり育てないと勝てないような隠しボスや裏ルート、
高難易度モードなどは一切存在しないため、
あとは無駄に20種類もあるエンディングを埋めるだけの作業が始まる。
はっきり言って「ラスボスちょっと理不尽過ぎない?!」と、
キレながら遊んでた最初の1周目が一番楽しかったよ……。
育てれば楽しくなるかなと思ったら余計つまらなくなった!
普通に遊んでいれば真エンディングも2周目で見れる。
じゃあエンディングとそれに関連したストーリーは?となるが、
これは「ヤバい」としか形容出来ないほどヤバい。
突然出て来たキャラが思わせぶりなだけの会話を長々として、
そのまま思わせぶりにフェードアウト!を延々と繰り返すだけのストーリー。
知らない奴がいきなり出て来て、知らない事件の話をして、
実はその事件の裏には計画があったんだ!とか言い出してバトルが始まるとか。
倒すと思わせぶりなことを長々と喋って死ぬとか。もうなんなんだよ!
とにかく会話のテンポが悪い上に回数が多く、
語られる設定やポエムもめちゃくちゃ陳腐で見ていて恥ずかしくなってくる……。
相手が一方的に喋るシーンばかりで何故か小林さんはたまにしか喋らないし、
威勢の良いことを言っていたくにおくんはなんとOP以外セリフ無し。
ダブルドラゴン兄弟は最初から最後まで一度も喋らない……なんなんだこのゲーム。
おかげでストーリーが更に分からない。
原作者が以前同人で出した設定本を読むと多少は理解できるらしいんだが……。
最初に名前を入力した主人公はラスボス戦でやっと登場。
なぜか小林さんと急にいちゃつき始めてエンディング。
真エンディングもそんな内容なので、結局ストーリーの核心的な謎や、
未来世界の具体的なことはまったく分からない。
にも拘らずエンディングは無駄に20種類。
厳密にはA~Eランクの5種類で、性別と気持ちで差分があるってだけかな。
会話イベントで判明する簡単な条件を満たせば真エンドであるAランク。
B~Dに関しては条件を満たさずクリアした時のスコアで決まる。
あんだけ思わせぶりなイベントだらけなのに、ただのスコア分岐なの?!
スコア調整作業が必要なだけのダルい分岐だ!
最悪のバッドエンドらしいEランクだけはPS4だとトロフィー0%で、
誰も見れた人がいないのでこれだけやたらややこしい条件の模様……。
褒められるところは
小林さん、くにおくん、ダブルドラゴン兄弟による4人乱戦が楽しめるところかな。
4人で進むシリーズ作品や、4人対戦出来るパーティゲームはあったものの、
4人同時に敵と戦えるアクションゲームはこれが初なのでそこは嬉しかった。
音楽も評価できる点。アレンジ曲やエンディングで流れるボーカル曲どちらも良いぞ。
ボーカル曲はエンディング毎に4種類も用意されてるけど、
他に凝るとこあったんじゃねーかな!
ずっとこんな感じでプレイしてた。
「素材は良いけど調理がマズかった」とかそういう話ではなく、
「素材は腐ってるし調理も失敗している」という作品。
ドットやシステムの一新、
声優を使った多数のボイスなどこれまでにない試みは評価したいが、
くにおくんらしいハチャメチャな面白さはまるで無く、メチャメチャなだけ。
それでいて新しいアクションゲームとして見ても褒めるところが全く無い。
中途半端な主人公システムなど、本当はもっと凝りたかったけど、
予算やスケジュールとかで出来なかった感じなのだろうか……。
「1500円ならこんなもの」という言い訳も、
1500円の完全新作で面白いゲームが沢山ある昨今では通じないぜ。
『River City Girls』『ダウンタウン乱闘行進曲マッハ』と、
3か月連続で新作を発売してきたくにおくんシリーズのシメがこれとは悲しい。
次は方向性や開発体制を見直して欲しい!