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【レビュー】恐怖の部屋は超展開の玉手箱!『アパシー 男子校であった怖い話』【Switch】

 

アパシー 男子校であった怖い話 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)

 

『アパシー 男子校であった怖い話』のレビュー行くぜ!

 

パブリッシャー:メビウス

機種:Switch

ジャンル:テキストアドベンチャー

発売日:2024/12/19

価格:7678円

 

とある男子校を舞台にしたアドベンチャーゲーム。学校の地下に存在する「狭間の部屋」を起点に様々なストーリーが楽しめる内容だ。

 

1995年に発売された『学校であった怖い話』から続く『アパシー』シリーズの最新作。長らく同人で展開されてきたシリーズで、近年はNintendo Switch向けにリブート展開がスタート。本作も過去に同人で発表された同名タイトルのリメイク版となるぞ。

 

前作『アパシー 鳴神学園七不思議』は超面白かった!シナリオのボリュームとジャンルの幅広さが半端じゃなく、遊んでも遊んでも終わらない!

 

 

俺のレビュー

想像を凌駕する「怖い話」の底なし沼!『アパシー 鳴神学園七不思議』レビュー!【Switch】 - 絶対SIMPLE主義

 

それに比べると『アパシー 男子校であった怖い話』はボリューム控えめ。テキストは読ませるし主人公の視点の違いは独自性だが、良くも悪くもファンディスクっぽい構成だったね。

 

タイトルからBLゲーと勘違いされそうだが、あくまでも男子校を舞台にしているだけであり、BL要素は……無くは無いです!

 

 

舞台となるのは『アパシー 鳴神学園七不思議』とは別の学校となる笹ヶ岡学園だ。

主人公は女性恐怖症だけど今年の夏こそ彼女が欲しい!と息巻く一年生の守山成樹。親友二人とバカ話に花を咲かせていたが、話は学校に眠る怪しげな都市伝説に。戦時中の旧日本軍が学校の地下に埋蔵金を埋めたという噂だ。関連して行方不明者も出ている。

 

 

ひょんなことからその存在を裏付ける暗号ノートを手に入れた三馬鹿だったが、それを激ヤバな先輩2人に聞かれてしまう。学校の地下に存在する「狭間の部屋」を目指すことになった高校生たちの命運は……!?というストーリーだ。

 

 

ファミレスでこのファッションの先輩に絡まれるの幽霊より怖い。

中身もヤバいのでナメた態度の選択肢を選ぶと、ボコられてバッドエンドになることもあるぞ!普通にスタンガンとかそれ以上の武器とかを持ちだしてくるから怖い。

 

メインキャラが立っていて暗号の謎解きや情報の裏取りの面白さもあり、地下に入る前からワクワクさせるのはさすが。

 

 

ゲームとしては非常にオーソドックスなノベルゲームで、テキストを読み進めて選択肢を選んで分岐する物語を楽しむ。複雑なシステムは無しだ。

 

 

過去作同様、選択肢一つで世界観やキャラの性格や根幹設定までガラリと変わるのが持ち味。

「狭間の部屋」を起点に極限状態でのデスゲーム、幽霊が絡むホラーからSF、ファンタジー、ギャグ、バトル物までバラエティ豊かなシナリオが展開されるぞ。プレイヤーの選択一つでビックリするくらい話が別物になるという、黎明期のサウンドノベルを思わせるカオスな構成。いきなり死んだり、いきなりサイコ野郎になったり、いきなり超展開がはじまって投げっぱなしで終わったり、いきなり寒いギャグを見せられて終わったり。

 

一体何を見せられているんだ……と困惑しつつ、「じゃあこの選択肢だったらどうなるんだ?」と分岐を潰す手が止まらなくなるゲームだ。見世物小屋的なチープな怪しさと面白さが詰まってる。

 

ルートによっては「狭間の部屋」を目指さずナンパや合コンに参加する展開もあるが、どう転んでも主人公がボロカスな目に合うぜ!

 

 

過去作は色々なキャラの視点で進行していたが、今回は基本的に主人公である守山成樹視点で進む。仲間との熱い友情や本人の成長を感じる展開が多いので、遊んでると思い入れが深まっていく。女性の前に出るとガチガチになっちゃうけど、彼女は欲しいから仲間と奮闘する姿が微笑ましい。

オリジナルの同人版だと生々しい下ネタが多かったらしいんだが、本作はそういう要素はほとんど無かった。

 

 

親友二人も良い味出してる。

ロックンローラーを目指し「世界の是枝」を自称する是枝はただのお調子物と思わせて、コンプまで遊ぶと「さすが世界の是枝だわ……」と納得!

 

 

都築遊は人気お笑い芸人の一人息子で、すかした態度だが父親へのコンプレックスが見え隠れ。

この三馬鹿のやり取りが良くて、選択肢によって世界観がガラリと変わる中で展開される友情や裏切りがどんどん味わい深くなっていく。

 

 

サブキャラも濃ゆいキャラだらけでキリが無いんだが、1人挙げると特定のルートで登場する生徒会長の皇輝羅良(すめらぎ さらら)はお気に入り。名前も髪型も喋り方も全部凄い。貫禄あるが「お、お前そんなキャラなの……!?」ってところもあって笑えた

 

 

シナリオ的には「影の街」編が一番好きだった。不気味さがありつつ、メインキャラの内面を掘り下げる構成で、ある程度遊べないと辿りつけないのも良い立ち位置。トゥルーエンドもコテコテではあるものの、そこまでの流れで三馬鹿が好きになれてたのでグッと来たね。

 

ただ、過去作を遊んでることを前提としたシナリオも多く、悪乗り気味なギャグもあったりで内輪ネタ感が強めだ。

 

 

主人公がナンパしてたらうっかり岩下さんに声かけて酷い目に合うとか。大笑いしたけど過去作やってないと分かんねーって!他にもナンパの選択肢によって、前作に出てきたヤバい女が次々に出てきてヤバいことになる。住みたくない街にもほどがあるだろ。

 

殺人クラブが学校襲撃してクロスオーバーなバトル物になるシナリオもあり、かなり面白かったけどめっちゃ前作ユーザー向け。

 

 

システム面で難点もある。

一度選んだ選択肢にチェックが付くのと、セーブデータを99個残せるのは良いが、フローチャートが無いのはかなり痛い。前作は分岐とシナリオ数が膨大で攻略本も同時発売だったので、作業量的にフローチャート無いのは止む無しと大目に見れたが……。大目に見つつ攻略本の誤字がすげぇ多かったのはどうかと思ったが……。

 

それはさておき!

本作は普通のアドベンチャーゲームに近いボリュームと構成なので、フローチャートはあってしかるべき。攻略情報無いと見つけ辛い分岐もいくつかあり、分かんないから同人版の攻略情報を漁って「分かるかよ!」ってなったりした。あのしょうもないギターの話が分岐に関係あるのかよ!

 

 

何十人もキャラがいるのにキャラクターリストに乗るのはメインキャラ7人だけで、ちょっと遊んだだけで100%になるのはバグかと思ったわ。

 

 

攻略情報入れて遊んでクリアまで15時間くらい。

良い意味で安っぽい、見世物小屋的な魅力にあふれたカオスなノベルゲーム。主人公を固定したことによって強調される友情と青春が光る1本。個人的には十分楽しめたが、ボリューム面も含め、良くも悪くも「デカいファンディスク」的な面白さだったね。

前作ユーザーは買って良し!未プレイなら前作から遊んでくれ!