『思い出して/思い出せなくて 罪』のレビュー行くぜーーーーッ!
そんなテンションでレビューするゲームじゃない気がしてきた。
パブリッシャー:uehara
機種:PC
ジャンル:テキストアドベンチャー
発売日:2023/2/24
価格(税込):400円
個人開発者の上原氏によるアドベンチャーゲームだ。
高次脳機能障害になり、
何故か「人殺し」と罵られた主人公が自らの過去を探っていくストーリー。
ポケモンとペルソナ2を足したようなタイトルだが内容は重い。
1時間ほどで終わる一本道の短編だがセンスと演出力が光る内容で、
ただ重いだけのシナリオではなく、
点と点が繋がっていくミステリーとしてしっかり面白かったぜ。
冒頭で2年間の昏睡状態から目覚めた主人公。
高次脳機能障害を患っており、自分の過去を思い出すことが出来ない。
刑事を名乗る怪しげな人物が会いに来るし、
ようやくリハビリを追えて施設から出てみると
「人殺し」「あんたが娘を殺した」と罵る謎の人物に遭遇する。
主人公の過去に何があったのか、
なぜ記憶障害になったのか、彼は本当に悪人なのか。
何も分からない状態で少しずつ情報を集めていくことになる。
リハビリ担当の海江田さんがかわいい。
ゲーム自体は正解の選択肢を選ぶ場面がたまに挟まるくらいで難しい要素は無く、
終盤の分岐を除けば一本道のテキストアドベンチャーだ。
ゲーム中に得た人物やアイテムの情報はメモリーノートに記録されるので、
それで情報を確認しながらゲームは進行していく。
メモリーノートは実際の記憶障害の補助にも使われているもので、
それをアドベンチャーゲームのメモ機能として上手く落とし込んでるね。
会話シーンの大半であえて相手のセリフを細かく描写せず、
基本的に主人公の主観による
「~という話をしてくれた」「~と言ってくれた」
とかで済ませているのが、
テンポ良いし信頼できない語り手の表現として上手い作り。
主人公の身の回りには明らかに不審な点が多く、
出会う人たちもどこか信用がおけない。
何もかもが不確かなまま、
それでも着実に情報が集まって物語の全容が見えてくる構成に引き込まれる。
独特のイラストや画面レイアウトも強烈で印象に残る。
これただのセーブ&ロード画面だからね!
シナリオ構成にタイトルの意味、終盤の展開など演出力が高く、
400円の短編ミステリーとしてなかなか面白かった。
BGMはフリー音源を使っているけど、
寂し気な曲調がゲームの雰囲気に上手くマッチしてるね。
随所からセンスを感じる作りで、製作者の次回作があるなら是非遊んでみたい。
オススメ!